公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう

カミツドリ

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7話 突然の再会 1

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「つまりそういうことだから……」

「うふふ、とても楽しいですわね」

「だろう? 今度、一緒に見に行かないか? 馬術訓練は貴族の嗜みとしても重要になるかもしれないぞ?」

「左様でございますか、シグレ様がそのようにおっしゃるのであれば、喜んでお付き合いさせていただきます」

「よし、決まりだな」

「はいっ!」


 私とシグレ第五王子殿下との交際は順調に進んでいた。ルック兄さまとドレーク兄さまに促された日から、数週間が経過している。シグレ様と他愛もない会話をしているだけで、心が晴れやかになっていくのを感じていた。

 なんというのか……彼は、自分の使用人達全てに敬意を払っていて、その使用人からの評判も良い。その一点を見るだけでも、彼とは気が合うのだと確信できた。シグレ様が次期国王陛下になったとしたら、この国はもっと良くなるんじゃないだろうか?

「シグレ様は次期国王陛下になられるご予定はあるのでしょうか?」

「いや、特には考えていない。私は第五王子ではあるが、王位継承権で言うならば7位になるからな。兄上や姉上たちは、非常に優れている。そこから、国王になるのは難しいだろう」

「左様でございますか……」


 そういえば、国王陛下にはご息女として、王女殿下が3人いらっしゃるわね。彼女達も含めれば、王位継承権は7位……なるほど、普通に考えるとなかなか逆転は出来そうにないわね。でも、使用人達にここまで敬意ある態度を取れるお方は珍しい。彼が国王陛下になれば、ある意味で、革命的なことが出来そうなのに。

 なんだか、勿体ない気がしてしまう。


「ところで、レミーラ嬢。其方の以前の婚約者だが……」

「はい、シグレ様。マグロ・フォルクス公爵様ですか……?」

「ああ、その通りだ。あれから、特に連絡などはないか?」

「そうですね……特に連絡を貰ったことはございませんが」

「そうか……なら、よいのだが」


 一体、シグレ様は何が言いたかったのだろうか? マグロ・フォルクス公爵様が連絡を私にとっていないかを、心配しているようだったけれど……結局、その時は彼の真意は分からずじまいだった。



「それでは、シグレ様。失礼いたします」

「ああ、気を付けてな」

「はい、畏まりました」


 私は挨拶をして、宮殿内にある応接室から出て行った。本来は宮殿の正門まで送ってくれるのだけれど、流石に毎回見送りしてもらうのは申し訳なかったので、その日は断ったのだ。それが、運の尽きになるとも知らずに……。


「レミーラ、ようやく会えたね。君の馬車が宮殿の外に止まっていたから、中に居るとは思っていたけど。かなり待ったよ」

「えっ、マグロ様……?」


 正門の外の止めていた馬車に近づいた時、その横からマグロ・フォルクス公爵が現れたのだ。どういうこと……? 私は驚きを通り越してしまっていた……それはまるで、闇討ちに遭っているような感覚に襲われてしまったからだ。
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