いじっぱりなシークレットムーン

奏多

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  Full Moon 4

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 ~Eri side~

 なんで残業をしなくちゃならないのか、なんで結城が元気ないのか、こうやって陽菜と新任課長を見ていたら、なんとなくわかる気がした。

 お互いに必要以上近づこうとしないのが、わざとらしすぎる。

 相手を意識しているのは、陽菜も同じだ。

 昨日会ったばかりの上司に、そこまで意地を張る必要がある?

 たとえば香月課長に陽菜が弱みを握られて、陽菜が困っている……にしては、陽菜の態度が大きすぎる。
 陽菜はいつも上司には従順なのに、あの課長に対してだけは素の意地っぱりさを見せて居る気がする。

「ねぇ、結城。本当にあの香月課長のこと、知らないの? あんたの方が私より陽菜との付き合い長いんでしょ?」

 休憩室――。

 自販機から「眠眠打破」を買って飲んでいる結城に声をかけた。

 自販機で「カフェオレ珈琲」を飲もうとしたら、売り切れランプがついていた。思わずむっとした私に、横から伸びた結城の手。カフェオレ珈琲の缶をふたつもっている。

 こいつか、最後を奪ったのは。

「やる」

 怪しげな名前の小さな黒い瓶を呷りながら、流し目状態で私を見下ろす結城の顔には疲労感が強く出ている。

「さんきゅ。これは私と……」

「鹿沼。俺はそんな甘ったるい液は飲めない」

 甘ったるい液って……、なんだか身体に悪そう。

「陽菜に差し入れ出して、香月課長に出さないって、アウト? セーフ?」

「セーフだろ。俺は野郎には自腹切らない」

「フェミニスト気取ってるのに、陽菜のおごりには食いつくんだ? 惚れてる女にたかるなんて、あんたクズね」

 結城はぶほっと変な音をたてた後、咳を繰り返した。

「な……ゲホゲホッ、なに……お前なに……ゲホゲホッ」

「なにその動揺。まさかそれで隠してるつもりだったの?」

「い、いつから!?」

「そんなの、ムーンに入った時から」

 さらに結城は咽せた。

「だから言ってたじゃない。陽菜をあげないわよ、ただの友達で満足しろって。あんた私の言葉聞いてたの!?」

「いや、それ……本気だとは思ってなくて」

「私、あんたに冗談言うほど仲良しだったっけ、ん? それに陽菜に男が出来ないのは、あんたの暗躍のせいだって私知ってるし。陽菜に気がある男に先手打って呼び出して、なにしてたのよ。あんたがそんなことしてるおかげで、陽菜はすっかりおとぼけカワウソよ」

 結城は瓶をゴミ捨てに投げて、ぽりぽりと頭をかいた。

「言うなよ?」

 その顔はうっすらと赤い。

 なに可愛い男ぶってるのよ、28にもなって。

「わからない陽菜の方が変だと思うわ。あんたの恋路に異議を唱えるつもりもなければ、応援するつもりはないから。私に協力を求めないでね。ま、簡単に言えば、勝手に青春やってろ? みたいな」

「別にお前に助けを求める気はないけど、きっつー」

 結城は苦笑する。

「あんたがチャラかったら断固反対したけど、一応まがりなりとも6年営業の同期しているんだから、あんたは陽菜を傷つけないとわかっているからこそ、こう言うのよ。それとあんた達ふたりのプライベートがどれだけ進展しているかとか、根掘り葉掘り聞かないから安心して」

「ははは……」

「もうひとつ言えば、私はあんたのことどころじゃないの」

 どこか悲しげな目に、思わず私も自分のことを口にしてしまった。

「え?」

 結城なら人に広める男ではないから、触りだけならいいか。

「私は私のことで手一杯。言い方を変えれば、私はあんたと同じ立場だから、諦めろとか残酷なことをいうつもりはないわ。ちなみに、私は会社入る前からよ、我ながら忍耐力あると思うわ」

「は、お前……誰だよ、それ! お前、そんな素振り……」

「そりゃあ私だって色々あるし、大人なんだし。陽菜も知らないわ。こんな風に完璧に隠さなきゃ駄目よ、営業課長!」

 髪を掻き上げて笑い、先に行こうとしたら結城が言った。

「お前の目から見て、あの課長……どう思う?」

 その声が頼りなげだったから、私は思わず足を止めて振り返る。

「どうって? 随分やり手だな、とか、年下に見えないわ、とか、頭いいとかそういう類いの感想を求めてる?」

「なわけねぇだろ。お前も会議で聞いてたろ、あいつの案。あれが無能だったら、俺営業降りるわ。社長が"化学変化を期待"と言ったわけがわかった。俺は、俺達でシークレットムーン盛り立てた自負あるけど、あの課長でまた変わる気がする」

 結城のいいところは、"俺が盛り立てた"と言わないところだ。
 結城だって夜中まで駆け回って営業していたことあるのに、それを持ち出すことなく、あくまで"俺達"だ。

「へぇ、まだ二日でそんな高評価しちゃってるんだ?」

「ったり前だろ。結局すべては鹿沼を楽させるためだけの案で、あそこまで動けるんだ。俺達に話した時には既に、社長決裁貰ってたよ」

「あの課長、私と同じ訳ありと見てる。人を信用していない気がする、陽菜に対しても。あの子はへこたれる子じゃないし、純粋に楽しんでいるのに。二日で陽菜のなにがわかるって言うのか」

「………」

「結城、用心しな。あの香月課長は陽菜を意識してる、男の目で」

「……っ」

「私はどちらもつく気はないわ。陽菜の決定に従うだけ。……それからね、あんたのその"想像"はあたってると思う。あれは、前からの陽菜の知り合いよ。他人の振りするくらいの仲だと言えばいいのかしらね」

 結城の瞳が揺れた。

「まだ私も今日見たばかりだからなんとも言えないけれど、荒れそうな気がする。結城、ちゃんと舵とらないと、陽菜がどこに行くかわからないよ?」

「………」

「とりあえずは、陽菜たっての希望なんだし、ふたりにさせない。さあ、もう皆帰っただろうし、出陣!」

「ああ……」

 結城はなにやら考え込んでいた。
 まさかこの後、陽菜を探す羽目になるとは、この時の私達は知らない。

 ***


 資料室――。

 四つの部すべての関係書類を綴じた幅広の青いファイルが、コの字型の通路になるように設置された棚にびっしりと並べられている。

 IT会社の書類がいまだ紙というのが遅れているのではないかと、書類のデジタル化の方針が会議で決まったのは、シークレットムーンになってから。

 簡単にデジタル化といっても、それまでにするには人間の手が必要だ。本来仕事に向かうはずの労力を、未来に投資するようなもの。

 ムーン時代の大量の書類を、コピーをとるように一枚一枚スキャナに読み込んでデジタル化するのと、それを誰もが検索しやすいようにパソコン上できちんと区分けして保存するのがかなり時間と手間がかかるのと、回覧や重役の決裁にはやはり紙と印判のスタイルを崩せなかったため、完全デジタル化までの道は遠い。

 そう、そのデジタル化の労力を怠ったために、あたしはコの字型の奥、ここで死んでいてもすぐには見つからないような、一応閲覧席としてもうけられていた小さな机に、香月課長と並んでパイプ椅子に座る羽目に陥っている。

 資料室は基本人がいない。該当ファイルを席に持っていく人がほとんどだから、ここに複数の人間が閲覧している可能性はきわめて異例なこと。

 ああ、満月も近いし、ふたりきりの残業を回避したはずなのに、昨日より距離が縮まった場所でふたりきり。

 な ぜ こ う な っ た!

 あたしと課長の距離はわずか二十センチ。左に座るあたしが目一杯左端に寄った結果がそれである。もし彼が右の壁に身体をつけてくれたら三十二センチは開くのに!!

 不幸中の幸いは、この部屋には窓がないことだ。

 こんな距離でいることにあたしが耐えようと思うのは、あたしを惑わせるあの月が見えないから不埒なことにならないと思えるからだ。

 たとえこんなふたりきりのみつかりにくい場所でも、月がなければ上司と部下で最後までいれる。こんな横暴上司に欲情などするものか。

 昨日のあれはこの課長のフェロモンにやられたのではなく、あの中坊とは思えぬ華麗なるテクを思い出したからでもなく、月の魔力のせいだから!

 月が見えないのなら、さっさと今日の分終わらせて帰る。楽しい楽しい同期会するんだもん!

 ……などというあたしの叫びは一切顔に出さぬようにして、あたしはいつものように余裕ぶったように説明を続ける。昨日よりかなり早口で。

「……次、このT組合には、うちはネットワーク環境と会員システムを納めてます。会員のランクによってHP上からも検索出来るように……」

 見てる。
 見てる。

 資料より、あたしの顔をじっと見てる。
 月の光を浴びると琥珀色になる、昨日吸い込まれてしまった茶色い瞳で。

 あたしが喋るから見ているんでしょうけれど、だけどこれ仕事なの。喋らなかったら終わらないの、わかる? あなたがこちらを見ているなら、あたしが目をそらすわけにはいかないでしょう!?

 こっち見るな、穴があくではないか!!

 その心の叫びが通じたのか、課長は静かに頭を動かして反対側を向くと、ぶほっと変な音を出した。

「課長、なにか?」

 今、笑った? ねぇ、あたしの真剣さに吹き出したの!?

「いえ、続けて下さい」

 しかしまた向いた顔は、どこにも笑みなど浮かんでいない。いつも通りの冷ややかな表情だった。

 どうやら気のせいだったらしい。

 上着だけを席に置いてきた。同期ふたりに帰ってないよアピールしたつもりが、その上着にスマホを入れたままだったことを忘れてしまい、SOSを求める手段がない状況だ。

 ここは鉄腕OL、ひとりで切り抜けないと。

 この部屋の外にはふたりがいると思うだけでも心強い。

 鹿沼陽菜、乗り越えてみせます!

 だから喋る。とにかく喋る。声が枯れてもつっかえても咳をしても。

 終われ、終われ。
 神様、仕事放棄したり説明に手を抜いていないのだから、時間を早送りにして下さい。出来れば十倍速で。

「このT組合には営業が? それとも紹介で? 主任もいかれたんですか?」

 しかしそういう時に限り、明日でもあさってでもいいようなことを質問してくる。しかも反論を受け付けない鉄面皮のままで。

 このペースだったら、今日の分も終わらないじゃないか。分厚いファイルあと五冊もあるのに、まだ一冊の五分の一もいってない。

 ああ……、まだ七時前なのに、あたし泣きそう。
 今まで頑張って仕事してここまできたのに、この課長のせいで泣きそう。

 思わず顔を俯かせて声が震えると、課長が言った。

「お手洗いなら、どうぞ?」

「違います、行きたいとも思ってません!!」

 失礼な彼を、思わず睨み付けた。

「ああ、喉が渇いて死に途中ですか?」

「生きてますし、喉乾いてないですから!!」

 見ればわかるだろうに、生きてるからこんな残業しているんだ。出来るなら死にたいよ、死んでこの氷の男がいない暖かいところでゆっくり寝ていたいよ。

「仕事放棄して、逃げだそうとしているとか?」

「逃げたいの我慢して頑張ってます!!」

 すべては責任感ゆえに!!

 鼻息荒くそう言い切ると、彼は薄い口元に笑みを浮かべて言った。

「問題ないのでしたら、では続きをどうぞ」

 にやりと、嘲るように笑ったのを見て、ようやくあたしは気づいた。
 
 ああ、しまった!!

 どうしてあたし、せめて、トイレに行きたいとか飲み物買ってきたいとか言えなかったのか。これで出て行くチャンスを失った。

 誘導尋問か、性格悪っ!!

「九年前――」

 突然、忌避していた単語が彼によってもたらされる。

 どきっ!

 心臓が口から出てきそうなくらい、心臓が大きく跳ねた。

「私は十五歳で――」

 やばい、やばいよこれ、あたしの死亡フラグが立っちゃったよ!!

 どこで間違えた!?

 これは、先手必勝でダメージを最小限で抑えるべし!!

「あのですね!! 九年前のことは……」

 思わず立ち上がって弁解を始めたあたしの前で、座ったままの彼の綺麗な人差し指が動く。

 それは――。

「はい? 九年前がなにか?」

 今開かれているT組合のファイル資料、T組合の創立年月日だ。
 それは九年前の日付だった。

「なんでもありません!!」

 あたしは怒りと羞恥に赤くなって座った。

 くすくす笑う課長の顔なんて見られない。絶対わかっていてあたしをからかったんだ。

 言わない。
 絶対あたしは九年前のこと、言わないし謝らないから!

「鹿沼主任は、素直なのか意地っ張りなのかわかりませんね」

 意外なほど穏やかな声が聞こえて、思わず眉間に皺を寄せたまま隣を見た。

「凄い顔。可愛い顔が台無しです」

「……お口がお上手ですこと!」

 ふん、と横を向いた。
 このひと、冷たい外見でも軟派男なのか。

「ああ、眠いからおかしいこと口走っているかもしれませんね」

「はい!?」

 思わずいきりたって課長の方を見る前に、右肩にずっしりと重いものがきた。

「課長?」

 香月課長の頭が、あたしの肩にある。

 彼の呼吸を感じた肩が熱い。

 なんで残業で、こんなシチュエーション!?

「課長、ちょっとどうしちゃったんですか?」

 肩をゆさゆさ揺らしてみると、目だけが開いた。

 長いまつげに縁取られた、奥二重の切れ長の目――。

「どうしました? 具合でも悪いんですか?」

 琥珀色になりきらない……透き通るような茶色い瞳がじっとこちらを見ている。

 彼の黒髪が揺れて、あたしの首筋を擽った。

 あんなに鉄面皮なのに、髪は柔らかい。
 九年前と同じように。

 フラッシュバックのように、九年前の満月、快楽に喘ぎながらこの髪を抱きしめるようにしてまさぐっていたことを思い出し、無意識に手を動かしていたあたしは焦った。

 身体は、彼を思い出している――。

「あの、眠いなら今日は終わりに……」

「……ひとが、信じられなくなりました」

「え?」

 寝ぼけているのだろうか。

 だけどその視線は痛いくらいに強いもので。
 ……見ているこちらが切なくなるほど、悲しいもので。


「あなたにとって、俺は過ち?」


 きっと九年前のことを言っている――。

 一人称を変えて絞り出された彼の言葉は、切実な響きがあった。

 どくりと、心臓が脈打つ。


「俺は――」



 彼が辛そうに目を細めて口を開いた時、 


「陽菜、ここ!?」


 衣里の声がした。

 現実に返ったあたしがその声に返事をすると、彼は何もなかったかのように突然に立ち上がり言った。

「もう残業はいりません。だからそうやって警戒しないで結構です、私はなにもしませんので。営業の要を巻き込むのはやめて下さい」

 わかられていたらしい。

 それを語る彼の表情は、どこにも先ほどまでの苦しげなものがなかった。
 彼の感情がなにも見えない、鉄面皮なものに戻っている。

「だけど仕事……」

「必要ありません。昨日ここの資料は大体読みましたから」

「はい!?」

「あなたが先に帰った後、ずっと読んでました。そんなことでもして気を紛らわせていないと、やってられませんでしたので。だけど結局、家に帰ったら眠ることができなかった」

 怒りを含んだ切ない声に、ただ見ているしかあたしは出来なかった。

「陽菜~、探したんだよ!! って、香月課長!?」

「残業は終わりです。楽しんできて下さい、同期会」

 いつものような氷の笑いを見せると、香月課長は資料室から出て行った。

――警戒しないで結構です。 

 ねぇ。

――残業は必要ありません。

 なんで必要ない残業を、ここでしようと思ったの?

――……ひとが、信じられなくなりました。

 それは、九年前の……あたしのせい?

 あたしが逃げてしまったから?
 それだけで?

――あなたにとって、俺は過ち?

 胸がズキズキ痛む。

――俺は……。


「大丈夫、陽菜。なんで泣いてるの!?」

「わからない。わからないけど……」


 彼がいなくなった途端――、あたしがこの九年、彼とのことを黒歴史として忘れ去って生きてきたことが無性に恥ずかしい気がして、そして彼が去ったことに悲しい気分になったんだ。


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