いじっぱりなシークレットムーン

奏多

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  Final Moon 2

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 ***


 あたしの傷も大事にならず瘡蓋かさぶたとなり、ひりひりとした痛みも引いた。

 ただ瘡蓋の位置が前髪の生え際に近かったために、前髪は垂らしておかないと目立ってしまう。

 まあそんなんで、元々中途半端にしかなかった前髪をきっちりと作ったのは、小学生以来。

 元々童顔なのに前髪があったら余計幼く見えるが、これはこれでここまでしなければならなかったというインパクトがあると、沙紀さんと衣里が前髪を作ってくれた。

「陽菜ちゃん、その髪型で着物着ていたら、大正時代とかのお嬢様みたい」

「あははは、陽菜、いいよそれ。年の差恋愛なんてまったく感じさせないよ、あははははは」

 ……馬鹿にされているのかどうか微妙だけれど、鏡の中のあたしは、ぎりぎり許容出来る程度だった。本当にぎりぎりだけど。

 そんなのを自撮りしたのをLINEで送ったら、"可愛い"と目がハートマークの白猫スタンプが。

 そして朱羽もすぐ専務と映った写真を送ってくれた。
 ふたりは笑っていて、なんとか元気にやっているらしい。沙紀さんと嬉しくなって飛び跳ねた。

 衣里と結城と木島くんと杏奈も来た時、全員で集合写真を撮ったところ、"近い"と怒りマークで来た。

 "木島くんに妬かないでよ~"といれたら、"結城さん!"とまた怒りマークで来た。

 だってあたしが真ん中にいるんだから、結城がところにいても同じなんだけれど、朱羽からそのあと三つ、怒りマークだけのLINEが来たから、来た分以上のハートマークを送ると、ようやくにこにこ笑う白猫のスタンプが来た。

 そんなやりとりをしていたのだけど、ある時を境にぱったりと既読マークすら出なくなり、応答がまるでなくなった。

 それは朱羽と離れて二日目の昼のことだった。

 いつかはと覚悟の上とはいえ、繋がりがひとつ断たれたようで辛い。
 朱羽がそのLINEで窮地に陥っていないことだけを切に願う。

 朱羽に会いたい――。

 あたしは朱羽の腕時計に口づけながら、神様に祈る。

 どうか、朱羽に会わせて下さい。
 どうか、朱羽の熱を下さい。
 

 朱羽と連絡がつかなかったことを話すと、名取川文乃は始めましょうと言った。

「このままだと、朱羽さんが辛い立場になる。それを庇って渉さんもきっと。最悪の事態を招かないために、今日午後から当主を呼びます。いいですね、陽菜さん、沙紀さん」

「「はい!!」」

 明日は当主が謝罪にくるだけだ。

 そしてあさって……、場所は前と同じ帝王ホテルにて、監視役が披露される。

 安穏としていられるのは今だけだ。

 明日、監視役が当主についてしまったのなら、あたしは朱羽を喪う。


 そして、次の日。
 名取川家に当主がひとりで来た。

 プライドが高そうなのに、たとえ謝罪であっても約束したことを守ろうとする姿は、男気があるとは思ったが、それでも厳格さ、なのだろう……常軌を逸しているかのような狂気を宿しているようにも思えて、あたしはぞくりとした。

 名取川家の奥座敷に進むにつれて、彼の顔から優しさが消えていくようだ。それは警戒のようであり、破壊衝動でもあり、そんなぎりぎりなところで当主は歩いているように思えた。

 名取川家が嫌いなのだろうか。
 旧知であったふたりの関係は、なんで途絶えてしまっていたのだろう。

 どう見ても、久しぶりにあったと口では言うのに、そこには懐かしむようなものはなく、名取川文乃もまた、表情が固いのだ。

 沙紀さんが、背広にズボンという男の姿になって現われた。

 確かに声を低めれば、違和感がない。

 彼女も見守る中、当主はあたしに頭を下げた。
 そこまでしなくてもいいと思うくらい、畳に額をこすりつけたのだ。

 これでは――。

「もうよろしいです、当主。顔をあげて下さい。血は止まりましたので!」

 そう言ったあたしの横で、名取川文乃の冷淡な声が聞こえた。

「傷物になりました。針で縫うほどの大けがです。それをどうしてくれるのでしょうか」

 ……針でなど縫っていない。
 ただ止血して、消毒剤と絆創膏で勝手に治ったもの。

 そして今日は、血など出ていないのに、大仰に赤いインクがちょっとついているガーゼを丸めたものを、額にテープでとめて、前髪が跳ね上がっている状況だ。

 勿論、名取川文乃の指示だ。
 
「うちの娘を、傷物にした責任はどうするのです!」

 バアアアアン!!

 名取川文乃が、畳を片手で叩いた。

「そ、それは……」

「傷害事件に致しましょうか、忍月のご当主。うちの娘を傷物にして、謝ればすむと本気で思ってここに来たのですか!!」

 ……名取川文乃は、勿論演技だ。
 だけど演技に思えないほど迫真めいているのは、当主が必要以上に恐縮しているせいもある。

 これなら、ただ白髪の老人を、彼女がいじめてやりこめているような図ともいえる。

「こちらが、診断書です!」

 あたしもびっくり。

 医者にもかかっていないのに、診断書!

「なにが……望みだ」

「それはご存知でしょう、ご当主。親は子供の幸せを願うもの」

「………」

「朱羽さんとの婚姻です。ご当主の責任を、朱羽さんにとって頂きます」

「……それは駄目だ! 朱羽は然るべきところの娘」

「あら、私の娘が然るべきところの娘ではないと?」

「あなたと血が繋がって……」

「おほほほほ!! 血が繋がっていてもまるで似ていない親子もおりますことよ。それはご当主。あなたが一番おわかりになっているのでは?」

 当主は言葉を詰まらせた。

「それならば血よりも濃い関係で結ばれている私と陽菜の方が、よほど親子だと思いますが。一体陽菜のなにが不服で?」

「それは……っ」

「あの子の礼儀作法のどこが、美幸夫人に劣ると?」

 彼女は凄い。
 あたしの現実を知りながら、これは嘘を突き通すはったり。

「礼儀作法は、その者の心根を表わすもの。確かあなたは昔、そう仰っていましたよね。信条変えですか?」

「……っ」

「私が娘にしようと思ったまでの陽菜の、一体どこがお気に召さないのか!」

 バアアアアン!!

 凄い。

 これは……彼女は、あたしに見せているんだ。
 当主に有効な怒り方を。

「……陽菜さんは、朱羽には相応しくない」

 当主の声。

 胸の核心を突かれたように、苦しい。

「その理由は」

「彼女の過去!」

 心が痛い。

 一番言われたくなかったものをまず言われてしまった。

 あたしのことを調べたのだろう。
 名取川さんが養女にまでしてくれたのに……。

「朱羽に相応しくない!」

「あははははは!!」

 しかし彼女は負けなかった。

「ならばそんな陽菜を娘にした私は、なんなんですか、ご当主!」

「……っ、それは……」

「陽菜は私が惚れ抜いて養女にした女性。ええ、私も存じ上げてますことよ? 彼女の家族がどうなっていたのか、精神科にまでかかっていたとか」

 耐えろ。耐えるんだ。

「それがわかってて……」

「だからなんなんですか、ご当主! 目の前で家族を喪って、精神科にかかることが、なんで陽菜の人格否定になるんです! それくらい陽菜の心が大変だったということじゃないですか!」

「だったら! その後の、男遊びは!」

 痛い、痛い。

「名取川さん。そんなレベルで朱羽をひっかけようとしていただけです、その女は!」

「だまらっしゃぁぁぁい!!」

 バアアアアン!!

「あなたの目はそこまで腐りましたか、ご当主。そこまであなたを変えた忍月の重圧をわかっていながら、なんで朱羽さんと陽菜の気持ちを考えないんですか!!」

「っ」

「なんで私達は別れたんですか、ご当主!! あなたは、自分の血が繋がる者に、自分のように苦しめとでも仰られるんですか!? それとも私のことなどもう忘れましたか、ええそうですものね、あんなホステスに言いようにされるくらいに骨抜きになってしまったのなら!!」

 もしかして、彼女と当主は……。
 
「ひとがひとを好きになるのに、理屈が必要ですかっ!? 相応しい相応しくないなんて、誰がどんな権利があって決めるものですかっ!!」

 あたしの目から涙が零れる。

「誰に、愛するふたりを切り裂く権利がありますか!!」

 彼女は、あたしのために、心の傷を曝け出したんだ。

「あなたは、あの時苦しまなかったんですか!? 朱羽さんの気持ちが、まるでわからないんですか!?」

 きっと誰にも触れて欲しくなかっただろう。誰にも見られたくなかっただろう。政界にも顔がきく彼女の弱点、彼女の人間らしさ。

「ご当主……」

 もう見ていられなかった。
 彼女が、あたしにしてくれたそれを、あたしはただ黙って聞いているわけにはいかなかった。

「ご当主。私は……妹の前で実の父親に犯されました」

「そんなこと言わなくてもいいのよ!!」

 悲鳴のような彼女の声をあたしは退けた。

「目の前で、妹と妹と関係していたあたしの恋人が事故で死にました。あたしは辛くて閉じこもり、そして母は……父と無理心中。それすら記憶に残らないほど、あたしの精神は病んでいました」

 心を伝えるには、真実しかない。
 どんなに取り繕っても、真実には無効だ。

「それを今あたしが勤めるシークレットムーン、そうです、宮坂専務が忍月コーポレーション傘下に引き上げてくれたその会社の、今は会長になった元社長……月代が助けてくれました。ただあたしは精神科医から催眠療法を受け、事実を知らずに過ごしてきました。しかし満月の夜だけ、あたしは……狂いました」

 言いたくない、朱羽のおじいさんにこんなこと。

 だけど――。

「セックス中毒のようになっていました。満月限定で、原因不明の特殊な病気だとずっと思っていました」

 なにも声がしない。
 呆れているのか、怒っているのか。

「朱羽さんを好きになるにつれ、あたしはその満月が苦しくてたまらなかった。だけど……朱羽さんは、あたしのすべての告白を許してくれました。そしてこう言いました。逃げるのではなく、戦えと。そしてあたしは、十年も封じられていた記憶と真向かい、満月の夜に起こった……家族を喪った時のことを思い出しました」

 声が震える。
 泣いちゃ駄目だ。

「朱羽さんがいなければ、あたしは満月を病気としてずっと逃げ回っていたでしょう。苦しい事実を知らずにいれば、年十二回の苦しみですむ。だけど朱羽さんは、その苦しみも克服しろと、背中を押してくれて……満月を克服出来ました。朱羽さんはどんなあたしでも裏切らないと思った瞬間、精神の呪縛から、そして精神科医の催眠からも、自力で抜け出ることができました」

 あたしの身体が震える。

「ご当主は、たかが恋愛と思うかも知れません。人生での血迷い事だと。時期さえ過ぎれば落ち着くものと。……だけど、あたしにとっては違うんです。男として好きという以上に、あたしがあたしであるために、朱羽さんが必要なんです。初めてあたしは……男性を好きになれた。それまでは満月のことで、あたしは穢れていると思っていたから。恋愛する資格もないと。朱羽さんは、そんなあたしをまるごと愛してくれたんです」

 止められない涙が、ぼたぼたと畳に落ちる。

「朱羽さんをあたしから奪わないで下さい。朱羽さんと肩を並べて笑い合える些細な幸せを、奪わないで下さい!」

「……誰もがうらやむ財閥の当主の地位になることで、朱羽は幸せになれないとでも言うのか」

 それは、意識的に鎮められた声だった。

「ご当主は、名取川さんと別れて忍月の当主の地位にいて、幸せでしたか?」

 朱羽で鍛えられた、質問返し。

「もしも、名取川さんと家を忘れて結ばれたら、どれだけ充実していた毎日だったのかと、一度も考えられたことはありませんか?」

 当主は……言葉を出さなかった。

「朱羽はあたしにとっても、会社にとっても必要なんです。ひとりだった朱羽にも友達が出来たんです。仲間が出来て、信用されて信用して。朱羽のあの嬉しそうな顔を、お祖父様にまず、見せてあげたい」

「………」

「朱羽もお祖父様も納得出来る、その道を見つけて下さい」

「見つかると、思うのか」

「見つかります!! だって血が繋がっているんですから!」

 あたしは顔を上げた。

「家族を喪ったあたしには、もうどんなに会いたくても、実の家族に会えません。朱羽だって母親を亡くして、お祖父様だけなんです。専務だってそうです。心に傷を抱えているんです。傷は力で屈服出来ないんです。それをどうかおわかり下さい!」

 当主は目をそらした。

「出来ないのではなく、出来るように努力して下さい。相手の意見も考慮して下さい。そうしたら朱羽や専務だって、妥協案を考えるはずです。忍月財閥に背を向けるのではなく、迎合する道も開かれるんです!」

 あたしは、訴え続けた。

 当主はあたしを罵らなかった。
 あたしの言葉のどんな要素が彼の心の琴線に触れたのかよくわからないが、彼は唐突にこう言った。

「……美幸を納得させられる自信があるか?」

「え?」

「美幸を理解できるか?」

 朱羽と専務の母親を殺した女など、理解もしたくないけれど。

「朱羽と専務の幸せのために必要であるのなら」

 すると当主は立ち上がった。

「まず明日。監視役が朱羽を認めたら、また改める。朱羽がそこまで会社にもお前にも必要なのか」

「はい」

「厳しいことは言っているがね、陽菜さん」

「はい?」

「この年になると、色々と思うところもあるのだ。どうしてワシには家族がいないのかと。ワシがなにをしたと。……思い当たるのがたくさんすぎて、考えがまとまらぬ」

 当主は笑った。

「当主のワシには、陽菜さんは鬼門だ。だが、朱羽達の祖父としては、心動かされる部分があるのだと、それだけは言っておこう」

「ありがとうございます!!」

「なにがともあれ、美幸だ。あの女を追い出すことが出来ないワシとしては、一番厄介な種。陽菜さんがなんとかしてくれるのなら、話し合いの席に着こうじゃないか」

「はい!!」

「ワシはね、傷を持つものが悪いとは言わない。だが、傷を持つことでへんに身構えたり、おかしく偏ったりする者を多くみてきたから、そこを懸念する。ワシ自身がそうじゃった。文乃と別れた後、壊れていったから……。文乃を愛する代わりに、家だけを愛してきたから」

 名取川文乃は、じっと当主の後ろ姿を見ている。

「あの時のワシが一番、幸せだったことを……思い出した」

 彼女は見えない。
 厳格で非情な彼の目から落ちた涙を。

「ではまた明日。帰るぞ、もう君もいいから。吾川くん」

「はい。ではお世話になりました」

 当主は、沙紀さんを連れて帰っていく。
 もう外部に連絡取ろうとしようがどうでもいいということなんだろう。

 もしかすると、その結末を当主は既に見越しているのか。

 当主の言うとおりに、監視役ふたりが頷くか。
 それともあたし達の味方になるのか。
 
 結果はひとつしかない。

 入って来た時とはまるで違う、当主の小さく丸まった背中。
 そこには哀愁が漂っていて、なんだか孫に拒まれる現況が気の毒にも思えたのだった。
 
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