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2部:2年生
第18話
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広瀬さんがバイトを辞めるにあたって、今日はその祝賀会だ。パーティールームを貸し切ってわいわい騒ぐだけだ。キッチンもホールもパートの人達が回ってくれたから学生だけで楽しむ会になってる。広瀬さんは、地方の大学に進学するみたいだから、しばらくは会わないだろう。
「今回は広瀬さん高校卒業、大学入学、バイトお疲れ様でした会です!皆楽しみましょーう!!かんぱーい!!」
「かんぱーい!!」
ここにいる13人は全員学生なので、一応全員ジュースだ。ビールを飲まなくなって久しいから、こういう機会になるとビール飲みたいなぁって思う。成人したばっかはビールなんて美味しく無いって思ってたけど、玉ねぎみたいに急に転換点みたいなのがあって美味しく感じるようになった。
けど今日はジンジャエールかコーラで我慢だ。ちなみに俺はカラオケ店でバイトしてるけど、歌が上手く無い上に流行りの曲がわからない。だから、勉強して今日に挑んだ。主役は広瀬さんなので、俺が歌う場面はそんな来ないはずだ。
それに13人もいれば歌わなくてもバレないだろう。ジュースに、ポテトやからあげなどが運ばれてきてやっとカラオケパートに入った。最初は主役の広瀬さんだ。高校生の女の子らしく、恋愛曲から歌うみたいだ。
「"あなたは 気づかない 初めて会った時から 心奪われてたなんて”」
今更だけど、広瀬さんもなかなか良い声してる気がするな。すみれちゃんの声がまぁ最推しなんだけどさ。ていうか歌上手いな、羨ましい。
「"距離の縮まらない 帰り道 手を伸ばすけど あなたには届かない”」
聞いたことない曲だけど、最近はこういうのが流行ってんのか…なんて思って聞いてた。けどふと、気づいた。
(これ俺のこと思って歌ってない?)
自過剰かと思うけど、多分そんな気がする。確かに最初の出会いがきっかけで、広瀬さんは更生したわけだし、駅までよく送ってるし。気づくとそういう意味にしか聞こえてこない。Bメロは耳に入ってこなかったけど、サビが近づいてくる、どんなサビなんだ…なんとなく緊張してしまう。
「"私は あなたが好きなのに あなたは 私を1番にはしてくれない 私は 永遠に2番手 あなたが私の手を 取ることはない でも好きではいさせて”」
え、俺すみれちゃんのこと話したっけって思ってしまった。いや、ただ単に歌詞がそう思わせてくるだけだろう。最後まで耳をツーと通過していくだけで、広瀬さんの初手は終わった。
「広瀬ちゃん、この曲難しいのに上手―!!」
「それな!さすが今日の主役!」
「いえ、何度も聞いて口ずさんでたら上手くなっただけなので、そう言ってもらえると嬉しいです」
何度も口ずさんで…やっぱ重ねてる?その後もやもやとした気持ちが続いて、パーティーなんて全然楽しめなかった。おかげで俺の番が回ってきた時、上手く歌えなかったって言い訳したい。
================================
全員で写真を撮ったり色紙渡したり、なんだりして会はお開きになった。会が終わった後、広瀬さんは店長に挨拶に行くと言って行ってしまった。皆も散り散りに帰り始めていたが、とりあえず俺はトイレ休憩をしにトイレに行った。
トイレで、さっきの歌を思い出す。たしかに広瀬さんの思いには答えられない。広瀬さんはエロゲキャラなんだろうけど、好意に確信のない状況で振るのもおかしい。そんなことを思いながらパーティールームに戻ると、もうすでに誰もいなくなっていた。
(こんなに解散早いことある!?)
びっくりだけど、広瀬さんと2人で話す機会ができて好都合かもしれない。そう思ってると、店長に挨拶を済ませた広瀬さんが帰ってきた。
「田中さん…今日の曲全部、あなたを思ったものだけを歌いました。もうわかってるかもしれませんが…私は田中さんのことが好きです。私が両親と上手くいかなかった時期にちゃんと向き合ってくれたのは田中さんだけでした。付き合ってほしいですけど…」
今日の曲全部俺のために歌ってたなんて、気づかなかった。1曲目はそうかな?って思ったけど。それよりも話の続きが気になって催促してしまった。
「けど…何?」
「田中さんは他に好きな子がいらっしゃいますよね。いつも誰かのことを思い浮かべて、帰り道お話しされてるように感じます。だから、最後のお願いです。名前を呼ばせて、梨子って呼んで…抱きしめさせてほしいです」
そんなバレバレなのも驚きだが、お願いが他のエロゲキャラと違ってソフトなことも驚きだ。他の上谷さんとか確実にもっとすごい要求するぞ。
「これで、最後にするので…!和樹くん、ぎゅってしてっ」
そんな泣きながら言われたら、さすがに俺も可哀想になってしまい抱きしめてしまった。
「り、梨子ちゃん、ごめん…俺も好きな人がいるから、梨子ちゃんの想いには応えられない」
「あり、がとうござい、ました。さよならっ!!」
そう言って広瀬さんは去ってしまった。ホワイトデー直後ていうこともあって、なんとなく期待させたかもしれないって思って俺は反省するのだった。
「今回は広瀬さん高校卒業、大学入学、バイトお疲れ様でした会です!皆楽しみましょーう!!かんぱーい!!」
「かんぱーい!!」
ここにいる13人は全員学生なので、一応全員ジュースだ。ビールを飲まなくなって久しいから、こういう機会になるとビール飲みたいなぁって思う。成人したばっかはビールなんて美味しく無いって思ってたけど、玉ねぎみたいに急に転換点みたいなのがあって美味しく感じるようになった。
けど今日はジンジャエールかコーラで我慢だ。ちなみに俺はカラオケ店でバイトしてるけど、歌が上手く無い上に流行りの曲がわからない。だから、勉強して今日に挑んだ。主役は広瀬さんなので、俺が歌う場面はそんな来ないはずだ。
それに13人もいれば歌わなくてもバレないだろう。ジュースに、ポテトやからあげなどが運ばれてきてやっとカラオケパートに入った。最初は主役の広瀬さんだ。高校生の女の子らしく、恋愛曲から歌うみたいだ。
「"あなたは 気づかない 初めて会った時から 心奪われてたなんて”」
今更だけど、広瀬さんもなかなか良い声してる気がするな。すみれちゃんの声がまぁ最推しなんだけどさ。ていうか歌上手いな、羨ましい。
「"距離の縮まらない 帰り道 手を伸ばすけど あなたには届かない”」
聞いたことない曲だけど、最近はこういうのが流行ってんのか…なんて思って聞いてた。けどふと、気づいた。
(これ俺のこと思って歌ってない?)
自過剰かと思うけど、多分そんな気がする。確かに最初の出会いがきっかけで、広瀬さんは更生したわけだし、駅までよく送ってるし。気づくとそういう意味にしか聞こえてこない。Bメロは耳に入ってこなかったけど、サビが近づいてくる、どんなサビなんだ…なんとなく緊張してしまう。
「"私は あなたが好きなのに あなたは 私を1番にはしてくれない 私は 永遠に2番手 あなたが私の手を 取ることはない でも好きではいさせて”」
え、俺すみれちゃんのこと話したっけって思ってしまった。いや、ただ単に歌詞がそう思わせてくるだけだろう。最後まで耳をツーと通過していくだけで、広瀬さんの初手は終わった。
「広瀬ちゃん、この曲難しいのに上手―!!」
「それな!さすが今日の主役!」
「いえ、何度も聞いて口ずさんでたら上手くなっただけなので、そう言ってもらえると嬉しいです」
何度も口ずさんで…やっぱ重ねてる?その後もやもやとした気持ちが続いて、パーティーなんて全然楽しめなかった。おかげで俺の番が回ってきた時、上手く歌えなかったって言い訳したい。
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全員で写真を撮ったり色紙渡したり、なんだりして会はお開きになった。会が終わった後、広瀬さんは店長に挨拶に行くと言って行ってしまった。皆も散り散りに帰り始めていたが、とりあえず俺はトイレ休憩をしにトイレに行った。
トイレで、さっきの歌を思い出す。たしかに広瀬さんの思いには答えられない。広瀬さんはエロゲキャラなんだろうけど、好意に確信のない状況で振るのもおかしい。そんなことを思いながらパーティールームに戻ると、もうすでに誰もいなくなっていた。
(こんなに解散早いことある!?)
びっくりだけど、広瀬さんと2人で話す機会ができて好都合かもしれない。そう思ってると、店長に挨拶を済ませた広瀬さんが帰ってきた。
「田中さん…今日の曲全部、あなたを思ったものだけを歌いました。もうわかってるかもしれませんが…私は田中さんのことが好きです。私が両親と上手くいかなかった時期にちゃんと向き合ってくれたのは田中さんだけでした。付き合ってほしいですけど…」
今日の曲全部俺のために歌ってたなんて、気づかなかった。1曲目はそうかな?って思ったけど。それよりも話の続きが気になって催促してしまった。
「けど…何?」
「田中さんは他に好きな子がいらっしゃいますよね。いつも誰かのことを思い浮かべて、帰り道お話しされてるように感じます。だから、最後のお願いです。名前を呼ばせて、梨子って呼んで…抱きしめさせてほしいです」
そんなバレバレなのも驚きだが、お願いが他のエロゲキャラと違ってソフトなことも驚きだ。他の上谷さんとか確実にもっとすごい要求するぞ。
「これで、最後にするので…!和樹くん、ぎゅってしてっ」
そんな泣きながら言われたら、さすがに俺も可哀想になってしまい抱きしめてしまった。
「り、梨子ちゃん、ごめん…俺も好きな人がいるから、梨子ちゃんの想いには応えられない」
「あり、がとうござい、ました。さよならっ!!」
そう言って広瀬さんは去ってしまった。ホワイトデー直後ていうこともあって、なんとなく期待させたかもしれないって思って俺は反省するのだった。
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