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3部:3年生
第15話
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本来受けるであろう受験の終わったクラスでは、開放感に溢れていた。そんな中だった。上谷さんからラインで呼び出されたのは。
<今日の6限終わって、16時半になったら体育館裏に来て欲しい!>
<大事な話があるの>
<わかった>
大事な話ってなんだ…もしかして体育館裏だし、告白?そんなありがちな展開なわけない。きっと違うに決まってる。動揺でおかしくなってしまっただけだ。平常心に戻れ、俺。
=================================
今日は上谷さんのラインもあり、なんだか気もそぞろなまま1日を終えてしまった。16時25分になり、体育館裏へと向かう。あえて5分前行動をしなかったのは、告白だったらと一瞬考えてしまったからだ。告白って相手が後から登場するもんじゃん?って思う。
「かずくん、来てくれてありがとう。今日は私の話を聞いて欲しくて来てもらったの。寒い中ありがとう、お茶あげる」
「あとでメッセージで請求送っといてほしい。送金しとくから。それに俺のほうこそ遅れてごめんね」
お茶はぬるかったので、相当この寒い中立たせてしまったことに後悔する。やっぱ早く来ればよかったかな。
「それでね、話っていうのは…私、私ね!かずくんとちゃんと付き合いたい!恋人同士になって明るい空の下手を繋いで歩いてみたいし、色んなところにも行ってみたい!…やっぱり諦められない!すみれちゃんが好きなのは知ってる!けど…セフレでいいの。2番目でもいいからかずくんとの何かが離れたくない!私かずくんがどうしても好きなの!けどかずくんはすみれちゃんが好き、なんだよね?」
「…否定はしないよ。うん、俺は西野さんが好きだよ」
口からサラリと言えたことに驚く。あんなに躊躇していたのに、いざ口にしてしまったらすみれちゃんが好きだと言う事実をスッと受け入れてしまえた。
「やっぱり2番目でもダメ?セフレにもしてくれない?私、かずくんとひとつになってみたい!なんて心地良いんだろうって想像しちゃう…でも、私が好きになったかずくんはそんな不誠実なことしない人だからきっとセフレにはしないって言うんだよね。ほんと、こんな自分が嫌になる。すみれちゃんに嫉妬して自己嫌悪して…ねぇかずくん。どうしてくれるの!責任とってよ!」
「ごめんなさい。俺は上谷さんをセフレなんかにはできない。でも想いに応えることもできない。ごめんなさい」
ごめんなさい、しか言えない。そんな俺は居た堪れなくなってしまった時だった。
「2番目でもダメ…なの?私…!私…!っ、かずくんのことずっとずっと好きだったよ!」
そう言って俯いていた俺にキスをして、上谷さんは去って行った。最後の言葉は鼻声だったし、お茶を持っていた手には水が滴り落ちてきた。
「また、俺のせいで女の子泣かせちゃったな…心臓がつらい」
手の甲の涙を拭こうとして、手に持っていたお茶をみるとパッケージに『かずくん大好きだよ 真莉』と書いてあった。
「捨てられないじゃんか…」
寒空の中俺は、冷めたお茶を持って立ち尽くすのだった。
<今日の6限終わって、16時半になったら体育館裏に来て欲しい!>
<大事な話があるの>
<わかった>
大事な話ってなんだ…もしかして体育館裏だし、告白?そんなありがちな展開なわけない。きっと違うに決まってる。動揺でおかしくなってしまっただけだ。平常心に戻れ、俺。
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今日は上谷さんのラインもあり、なんだか気もそぞろなまま1日を終えてしまった。16時25分になり、体育館裏へと向かう。あえて5分前行動をしなかったのは、告白だったらと一瞬考えてしまったからだ。告白って相手が後から登場するもんじゃん?って思う。
「かずくん、来てくれてありがとう。今日は私の話を聞いて欲しくて来てもらったの。寒い中ありがとう、お茶あげる」
「あとでメッセージで請求送っといてほしい。送金しとくから。それに俺のほうこそ遅れてごめんね」
お茶はぬるかったので、相当この寒い中立たせてしまったことに後悔する。やっぱ早く来ればよかったかな。
「それでね、話っていうのは…私、私ね!かずくんとちゃんと付き合いたい!恋人同士になって明るい空の下手を繋いで歩いてみたいし、色んなところにも行ってみたい!…やっぱり諦められない!すみれちゃんが好きなのは知ってる!けど…セフレでいいの。2番目でもいいからかずくんとの何かが離れたくない!私かずくんがどうしても好きなの!けどかずくんはすみれちゃんが好き、なんだよね?」
「…否定はしないよ。うん、俺は西野さんが好きだよ」
口からサラリと言えたことに驚く。あんなに躊躇していたのに、いざ口にしてしまったらすみれちゃんが好きだと言う事実をスッと受け入れてしまえた。
「やっぱり2番目でもダメ?セフレにもしてくれない?私、かずくんとひとつになってみたい!なんて心地良いんだろうって想像しちゃう…でも、私が好きになったかずくんはそんな不誠実なことしない人だからきっとセフレにはしないって言うんだよね。ほんと、こんな自分が嫌になる。すみれちゃんに嫉妬して自己嫌悪して…ねぇかずくん。どうしてくれるの!責任とってよ!」
「ごめんなさい。俺は上谷さんをセフレなんかにはできない。でも想いに応えることもできない。ごめんなさい」
ごめんなさい、しか言えない。そんな俺は居た堪れなくなってしまった時だった。
「2番目でもダメ…なの?私…!私…!っ、かずくんのことずっとずっと好きだったよ!」
そう言って俯いていた俺にキスをして、上谷さんは去って行った。最後の言葉は鼻声だったし、お茶を持っていた手には水が滴り落ちてきた。
「また、俺のせいで女の子泣かせちゃったな…心臓がつらい」
手の甲の涙を拭こうとして、手に持っていたお茶をみるとパッケージに『かずくん大好きだよ 真莉』と書いてあった。
「捨てられないじゃんか…」
寒空の中俺は、冷めたお茶を持って立ち尽くすのだった。
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