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男が俺を抱き上げる
50近いと言うのにこの男の筋力は衰えを知らない。生来のΩに比べ元αだった俺はそれなりに重量があるのに。まだまだこの男が最上位αのポテンシャルを保持しているという所を見せ付けられる。
男が猪瀬を見た。冷たい瞳
開きかけた口を塞ぐ様に唇を合わせた。俺から舌を絡ませる。やがて男が離れた
「猪瀬、陸の提案に乗らなかった事は評価してやる。それと、私と陸の明日の予定をキャンセルしておけ。」
「……はい」
猪瀬を見逃す交換条件を提示された。
そして、俺は従うしかないのだ。
男が俺を抱き上げたまま、リビングを出る。
そこには、架向がいた。
青ざめた架向だ。聞かれていたのだ。
思わず顔を伏せた。見られたくない。息子にこんな情けない姿なんて見られたくは無かった。
清廉潔白であれと、同時に、強くなれと、大切なものを守れるだけの強さを持てるように努めろと、架向には言ってきた。
なのに…
男の欲を頼りに慈悲を乞う姿を見られた。情けない俺を見て架向は…
「守るモノが増えた君は弱いね。……架向、月曜まで友人の家にでもいろ」
「……はい」
怖い。架向の顔が見れない。俺が週明けまで娼婦のように対価を求めて股を開く事が架向にも伝わったろう。父親のみっともない姿に何を思うのだろう。
親子が壊れる……
男は架向には見向きもせずに猪瀬の家を出て向かいにある我が家へと移動する。
俺の家。
京極家には相応しくもない小さな家。俺が幼い頃から思い描いていた幸せな家をこの男は建てた。セキュリティや費用を考えると、京極に見合ったサイズの屋敷の方が正解なのに俺の夢の家を建てた。
閑静な住宅街…。けれど実際には区分されてもいない全て京極貴嗣の土地で。なんの変哲もない片側一車線の歩道つきの道路、これだって行政的には私道ではなく庭なのだ。俺から見えない道の端にはゲートがあるが、俺が使う道はごく普通の道にしか見えないようになっている。そう、まやかしの住宅街…そしてまやかしだった俺の家。俺の、家………
「陸…」
そのまま寝室に連れ込まれた。
「私の不安を解消してくれるんだよね?」
ベッドの端に座った男が俺に動けと言う。
男の服を脱がす。
男のモノに手を伸ばした。一緒、男がピクリと震えたが、一瞬だ。懸命に手を動かしても男が反応する事はない。普段はしょうもない事でおっ勃ててるくせに
……今まで、俺からこの男を誘った事はない。今はΩとはいえ元々はαの男だから性的指向は女性が対象だ。ヒートの時は別として、普段受け入れる側としてのセックスをしたいと思った事はない。
「安心させてくれないのか?」
余裕綽々で男が言う。
先程からフェロモンをぶつけているが反応はない。僅かに眉を潜めたから意図的に散らしているのだろう。
ラットになってくれればこちらの心理的負担も減るのに。ジジイになっても最上位のポテンシャルは健在か。番の、しかもかなり上位Ωの誘引フェロモンに抗えているのだから流石としか言いようがない。
「……」
シャツを脱ぐと男の目に情欲が乗った。だが、ヤツのモノはまだまだ反応がない
男がわざとらしく時計を見た。男が定めているであろうタイムリミット迄はあと30分。猪瀬の事がなければ帰ってきたであろう時間だ。
覚悟を決めて男のモノを口に含む。
自分が嫌になる。指向とは全く異なるのに、俺のΩ性が番の先走りを甘いと美味しいと感じてしまうのだ。寧ろコレに完全に酔ってしまえれば良かったのに、そうしたらこの屈辱感を忘れていられるのに。
10代か?という位に男のモノがバキバキになった。全裸になり寝転がった男の上に跨がる。後に男のをあてて腰を下ろそうとした時、男の手が初めて動いた。
「駄目だよ。ほぐさないと怪我をしてしまう」
そう言って俺の動きを封じるように腰を支えられた。だが、それだけだった。
この男は俺に、自分で男を迎え入れる準備をしろと言っているのだ。ヘテロの俺に!
けれど、おれの腰を掴む男の力は強い。押し切る事も不可能だ。
男が時計に目をやる。
架向……。そして猪瀬。おれの罪の証。
「……手を離してくれ。準備をしてくる」
「何を言っているの?私を安心させてくれると言ったじゃないか。陸の誠意を見せて?」
男の前でアナニーショーをしろというのか。
いっそ、いっそ自分が壊れてしまえば良いのに。恥辱も忘れて罪の意識も忘れてしまえればどんなに良いだろう……。狂ってしまえればどんなに楽だろう……。
50近いと言うのにこの男の筋力は衰えを知らない。生来のΩに比べ元αだった俺はそれなりに重量があるのに。まだまだこの男が最上位αのポテンシャルを保持しているという所を見せ付けられる。
男が猪瀬を見た。冷たい瞳
開きかけた口を塞ぐ様に唇を合わせた。俺から舌を絡ませる。やがて男が離れた
「猪瀬、陸の提案に乗らなかった事は評価してやる。それと、私と陸の明日の予定をキャンセルしておけ。」
「……はい」
猪瀬を見逃す交換条件を提示された。
そして、俺は従うしかないのだ。
男が俺を抱き上げたまま、リビングを出る。
そこには、架向がいた。
青ざめた架向だ。聞かれていたのだ。
思わず顔を伏せた。見られたくない。息子にこんな情けない姿なんて見られたくは無かった。
清廉潔白であれと、同時に、強くなれと、大切なものを守れるだけの強さを持てるように努めろと、架向には言ってきた。
なのに…
男の欲を頼りに慈悲を乞う姿を見られた。情けない俺を見て架向は…
「守るモノが増えた君は弱いね。……架向、月曜まで友人の家にでもいろ」
「……はい」
怖い。架向の顔が見れない。俺が週明けまで娼婦のように対価を求めて股を開く事が架向にも伝わったろう。父親のみっともない姿に何を思うのだろう。
親子が壊れる……
男は架向には見向きもせずに猪瀬の家を出て向かいにある我が家へと移動する。
俺の家。
京極家には相応しくもない小さな家。俺が幼い頃から思い描いていた幸せな家をこの男は建てた。セキュリティや費用を考えると、京極に見合ったサイズの屋敷の方が正解なのに俺の夢の家を建てた。
閑静な住宅街…。けれど実際には区分されてもいない全て京極貴嗣の土地で。なんの変哲もない片側一車線の歩道つきの道路、これだって行政的には私道ではなく庭なのだ。俺から見えない道の端にはゲートがあるが、俺が使う道はごく普通の道にしか見えないようになっている。そう、まやかしの住宅街…そしてまやかしだった俺の家。俺の、家………
「陸…」
そのまま寝室に連れ込まれた。
「私の不安を解消してくれるんだよね?」
ベッドの端に座った男が俺に動けと言う。
男の服を脱がす。
男のモノに手を伸ばした。一緒、男がピクリと震えたが、一瞬だ。懸命に手を動かしても男が反応する事はない。普段はしょうもない事でおっ勃ててるくせに
……今まで、俺からこの男を誘った事はない。今はΩとはいえ元々はαの男だから性的指向は女性が対象だ。ヒートの時は別として、普段受け入れる側としてのセックスをしたいと思った事はない。
「安心させてくれないのか?」
余裕綽々で男が言う。
先程からフェロモンをぶつけているが反応はない。僅かに眉を潜めたから意図的に散らしているのだろう。
ラットになってくれればこちらの心理的負担も減るのに。ジジイになっても最上位のポテンシャルは健在か。番の、しかもかなり上位Ωの誘引フェロモンに抗えているのだから流石としか言いようがない。
「……」
シャツを脱ぐと男の目に情欲が乗った。だが、ヤツのモノはまだまだ反応がない
男がわざとらしく時計を見た。男が定めているであろうタイムリミット迄はあと30分。猪瀬の事がなければ帰ってきたであろう時間だ。
覚悟を決めて男のモノを口に含む。
自分が嫌になる。指向とは全く異なるのに、俺のΩ性が番の先走りを甘いと美味しいと感じてしまうのだ。寧ろコレに完全に酔ってしまえれば良かったのに、そうしたらこの屈辱感を忘れていられるのに。
10代か?という位に男のモノがバキバキになった。全裸になり寝転がった男の上に跨がる。後に男のをあてて腰を下ろそうとした時、男の手が初めて動いた。
「駄目だよ。ほぐさないと怪我をしてしまう」
そう言って俺の動きを封じるように腰を支えられた。だが、それだけだった。
この男は俺に、自分で男を迎え入れる準備をしろと言っているのだ。ヘテロの俺に!
けれど、おれの腰を掴む男の力は強い。押し切る事も不可能だ。
男が時計に目をやる。
架向……。そして猪瀬。おれの罪の証。
「……手を離してくれ。準備をしてくる」
「何を言っているの?私を安心させてくれると言ったじゃないか。陸の誠意を見せて?」
男の前でアナニーショーをしろというのか。
いっそ、いっそ自分が壊れてしまえば良いのに。恥辱も忘れて罪の意識も忘れてしまえればどんなに良いだろう……。狂ってしまえればどんなに楽だろう……。
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