菫…BL小説の世界に転生した私。ゲスな攻めから主人公を守ろうと暗躍していたらハイスぺモブαに執着されました。

認認家族

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及第すれど……登第せず?

中学校のクラス分けが発表された。私はAクラスだった
 うちの学校は大学までエスカレータ式だ。勿論、あまりにも成績が悪かったり親の経済状況次第では公立に移ったりもする。

「マジかよ。ΩがAクラスなんて世も末だな」
 聞こえよがしに言う彼はDクラスだ。クラス分けは成績順になされるから順当だ。
「αでDもいる世の中だものね」
 顔をカっと赤らめて彼がいう
「いい気になるなよ、ガリ勉が。Ωなんてヒートがくりゃ落ちぶれてくだけだ」
 一般的にヒートは3ヶ月に一度、3日~1週間熱に煽られる。当然、その間は隔離されるわけで、Ωの社会進出が阻まれる要因にもなっている
「つまり、時間的ハンデがある相手になら俺も勝てるぜ~って事がいいたのね?まぁ、確かに?貴方でも小一よりは知識あるものね」
「うぜえんだよ!」
 彼が腕を振り上げた。振り下ろされたその勢いを利用して転ばせてやった。柔道って素晴らしい。
「ぼ、暴力をふったな!訴えてやる!」
「そうね、Ωを殴ろうとして反撃にあいました~って泣きついたら?」
 クスクスと笑い声が起こる。さすが菫様、とか、Ωのくせに生意気な、とか色々聞こえてきた。そんな空気をものともせず優実が話しかけてきた。
「また、菫ちゃんと同じクラスだね。同じクラスになるために頑張った私を褒めて~」
 偉い偉いと褒めると、またも周囲がざわついた。百合だの尊いだの聞こえてくる。
「菫ちゃんが先陣を切ってくれたから、頑張れたんだよ。バースだけじゃないよね」
 誰もが見惚れるような笑顔で、α君を刺す。私の事を強いというけれど、真のツワモノは優実だと思う。笑顔を武器にする優実と、虚勢の私……。
「だって、Aクラスのβの割合が例年にない程高いよ」
「そう、だね……」
 それが持続すれば良いのに。早咲きの花は散るのも早い、ポテンシャルが高いα達が本気を出した時、Aクラスになれたβ達が弾かれてクラス落ちしない事を願うばかりだ。
「いい気になるなよ。お前らはスタートが早かっただけだ」
 α君の言葉に優実が言う
「2倍速、私に見せてね」
「は?」
「貴方はスタートが遅れただけ。ただ、同じ速度じゃ距離は縮まらないから、α様のポテンシャルを見せてくれるって事だよね」
 ザΩといった優美な笑顔をみせる優美に、周囲がほぅっとため息をつく。
「…優実、行こう」
 手を差し伸べると笑顔で掴んできた。

「優美、あまりαを煽らない方がいい」
 人気のない所で注意をした。
「あの子が言う様に、私たちはスタートが早かっただけ。αが本気を出せば……」
「あのαは私たちには追いつけない。追い付ける子だったらあんな風には言わないで 努力をしている」
 優美が私の言葉を遮って言った。確かにあのαが大成しないだろう事くらいわかる、わかるけど…
「でも事実ではあるの。Aクラスにいかなかったαはこのままではダメだと思ったはずよ。プライドもある。だからもう遊び呆けたりはしない。そしてAクラスにいき、β達が弾かれる。天狗になった後の都落ちはキツイよ。だから、β達が勘違いするような言動は避けて」
「……菫ちゃんが一番バースコンプレックスを持っているね」
「私は……」
 続けようとして言葉が出なかった。優実の真っ直ぐな目を見返せずに視線をそらした。
「…菫ちゃん、βでも成功している人もいるよ。あの場で色々感じ取ったのはαだけじゃない。私達はスタートが早かっただけ、だから今まで以上に負荷をかけなければ追い越される、それを再認識させられた人は努力をする」
「……努力が必ずしも報われるって訳じゃない」
「だからこそ、菫ちゃんは私達に色々やらせたんでしょ。公式だけを勉強してきたコと違って少なくとも菫組の子達は大丈夫だよ。」
小学生のうちはテクニックだけで上位にいけた。だけどこの先、本気になったα相手にはそんな小手先のでは無理で本質を理解してないとドロップしていく。だから私は基礎を大事にしたし、学校の成績だけが全てではないんだと、体感させてきた。
親しいコたちで勉強会や旅行やキャンプ、パーティーを企画させて実行した。勿論、子供だけでは予約や宿泊は出来ないから大人がついてきたけれど、失敗などに手助けする事もなく、私達子供の自主性に任せてくれた。失敗から学ぶ事も多い、感受性が高いうちに様々な経験を積めたと思う。
「私達はBにクラス落ちしても、凹みはするけど折れたりしない、それだけの事を菫ちゃんがしてくれた」
「……」
「学校の授業で学ぶ事なんて教養でしかないって菫ちゃんが言ったんだよ。だから大人になって社会に出た時、彼らの本領はそこで発揮される。βには未来がある」
「……その可能性はあるかもね。でも……」
「そうだね、可能性がないのはオメガのみ」
言い淀んでいる私に優実がはっきりと言う。この子は本当に率直というか、潔いというか…
「まあ、オメガはしょうがないよね。家庭に入らされるだけだから。でもね、だからこそ、私は頑張るの。私っていう商品価値を上げる。女主人であり続ける為にね」
……αは一途だ。でも、それは高位αに限る。下位αの中にはトロフィーの様に複数のΩを番にする者もいる。勿論何事にも例外はある。高位でもトロフィーワイフを沢山持つ者もいるし一途な下位αもいる。確率論というか統計だ。
そんなロシアンルーレットを引かされるしかないΩである優実は、ならば後宮での実権を握れるだけの力を得ると、そう言っているのだ。
「……優実は強いね。」
まだ、私はこのバースという社会を受け入れられていない。
だからか……私はまだヒートがきていない。ずっとこなければ良いのに。


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