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12話 謎の少年
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両親に抱きしめられてから数日。今日もアレクシスとミゲルが私の所に遊びに来ては見栄の張り合いを始めました。最近はこの光景もただのじゃれ合いに感じ、仲が良いって素敵だなどと思う様になりました。思えば彼らはまだまだ少年。自分が一番だと誇示したい年頃なんです。ここは精神だけでも大人な私が優しく見守ろうじゃない。そんな毎日が続いたある日の夜。
セシルも自室に戻ってしまうほどの時間。私は何かを感じ、部屋の窓を開けました。夜空に浮かぶ月は綺麗で、それ以外何も視界に入らない。
でも、窓の向こうに感じた違和感の正体はわかりませんでした。実はこの違和感。これで三日目なのです。三日間も似たような違和感に襲われていますが、その違和感の正体が何もわかりません。
「月…………確かこの世界の名前は…………」
「衛星。夜の女神の名前だね。こんばんは美しい姫様」
不意に後ろから聞こえる声。私はがばっと振り返ると、そこには同じくらいの大きさの男の子が黒いローブを着て立っていた。顔は見えないけど、なんとなく男の子と断定してしまった。ただの直感である。
「ここがどこかご存じかしら?」
私が探るように尋ねると、彼はおどけるように答える。
「おいおい、迷い込んでこれる場所ではないだろう?」
「それもそうね」
つまり彼は、わざとこの場にいると言うことになるわね。それって結構な危険人物じゃない?
隙を見て助けを呼ぶべきか。それともこんな子供に大げさだろうか。さてどうしたものか。
「今日は君に協力を求めに来たんだ」
どうするか悩んでいたところで、彼が私に話しかける。目的があってきたと考えるのであれば当然でしょう。
「協力? 何をどう? てゆうかなんで私?」
完全に怪しいが、子供のすることだ。無謀な計画かもしれないし、ただの夢物語かもしれない。そんな幼稚なものではないと言うことは、薄々感じてはいても、どこかでそういう風に期待してしまう。危険なことじゃないと良いのだけれど。
「そう、僕は君に協力を求めている。具体的にはもう少し先、君が魔法学園に通う頃だ。なぜ君かという根拠は君に話しても理解してもらえないかもしれなけど、君が異質だからかな」
私が異質? 確かに私は転生者ですし、何かしら異質なものを持っているのかもしれませんけど、それって外から見てわかるものなのかしら。
「それじゃ」
「ちょっと待って!」
私が呼び止めると、彼は足を止める。
「まだ協力する内容まで聞いていないわ」
「…………おっと、そうだったね。君にして欲しいことはワンダーオーブを手に入れて欲しい」
「ワンダーオーブ!?」
「それじゃ」
彼は黒靄に囲まれたと思ったら、その場から跡形もなく消えた。一体何者だったのだろうか。それよりも、目的が私と一致している。場合によっては邪魔者と言うことになる。
それからもう一つ、ゲーム設定では、ワンダーオーブって存在が不明なもので、存在どころか何個あるかも不明な上に、王族貴族もその存在を知らないのが当然の代物。
ジェラールルートバッドエンドエンディング後で、ワンダーオーブの存在を知っているとしたらジェラールとヒロインのみ。もちろん、この世界の一部の人間がその存在を知っていてもおかしくはないけど、彼は私の部屋まで出入りが自在な魔術師だ。
「魔術師? となると大賢者レイモン・デ・ベルニエの息子? いえ、あまりレイモンらしさを感じなかったわね。息子さんだから? 違うわよね。多分違う。なら明日は何としてもレイモンにあって確かめなければ」
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「それじゃ」
「ちょっと待って!」
私が呼び止めると、彼は足を止める。
「まだ協力する内容まで聞いていないわ」
「…………おっと、そうだったね。君にして欲しいことはワンダーオーブを手に入れて欲しい」
「ワンダーオーブ!?」
「それじゃ」
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