BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

文字の大きさ
55 / 228

55話 深紅の瞳の級友カトリーヌ・ド・カリーナ

しおりを挟む
 私以外の生徒たちは、壊すことなく魔力測定を終えてゆきます。クラスメイトの半分くらいが十歳を超えたくらいから魔法を使い始める中、親が魔法省で働いている子や、興味本位で魔法を使っていた子供たちは比較的高い数値を叩きだしていました。

 魔力量は使えば使うほど、筋肉のように育つ。

 その為、私と同じくらいの頃から魔法を使い始めていたミゲルの魔力はクラスメイト達の中でも私を除いて一番でした。おそらくビルジニやリビオも高い数値を叩きだすでしょう。

 残念ながら、ジョアサンが魔法を行使しているところはまだみたことありませんので、いつぐらいから使い始めたかは検討も尽きませんけどね。

 それにしても私の魔力高すぎよ。正直、久々にゲームパラメータみたいなものが見れると思ってドキドキしていたっていうのに。

 もう体力測定の通知結果でいいから頂戴。

 その後はクラスごとから更に波動魔法の使い手守護魔法の使い手と別れさせられました。ミゲルとはひとまずここでお別れをして、集団の中に溶け込みます。…………あ、私が先頭なんだ。

 みんな顔と名前しか知らないクラスメイト達を引き連れて、長距離に設置された的を確認する。

 どうやら波動魔法の飛距離を測るのでしょう。アンヌ先生は波動魔法側の方についてきたみたいで、守護魔法の方に別れた方には別の大人が向かっていました。

「はいはぁい。それではぁ…………ジャンヌ・ド・バヴィエールさん!」

 あら? 今度は私からではないのね。アンヌ先生に呼ばれた卵色の髪をした女生徒が、前に出ていく。

「波動魔法波動ウェーブ

 ジャンヌさんが基本魔法を使うと、その魔力の波はゆっくりと進み、的にヒットすると、的は石があてられたかのような揺れをしてゆっくりと静止する。そしてアンヌ先生は名簿とカルテを見ながら顔を上げる。

「ジュリー・ド・カッセルさん!」

 また別の生徒が呼ばれたタイミングで、的が少しだけ遠くなった。なるほどね。これは魔力測定の結果が低い生徒から呼ばれているんだ。同じ波動ウェーブでも飛距離や威力が異なるから、結果を測定する際に的の位置を少しずつ遠くしているのね。
 
「つぎぃ。ミシェル・ド・ブラン君!」

 この予想通りでしたら、私の名前が呼ばれるのは最後でしょう。そしてあれから数名が呼ばれ、気が付けば十人目。

 的の距離はジャンヌさんの時が五メートルほどだったのに、今呼ばれたアラン君の的の距離は百メートルは超えているかもしれない。

 しかし、的の大きさは同じ。飛距離が足りていても、当てることが難しいでしょう。アラン君は思いっきり外してしまう。

 そして私の一つ手前。私と同じくらいの長さの銀髪の女子生徒が、呼ばれる前に前に出た。

「カトリーヌ・ド・カリーナさん」

「はい」

 銀髪にエリザベートと同じ深紅の瞳。その立ち姿は、正しくエリザベートそのものでした。彼女はカリーナ公爵家出身で、エリザベートとは血縁ですらないはず。的の距離はここから視認することも難しい距離にありました。先生、これもしかして私はもっと遠くなるってことですか?

「波動魔法、波動ウェーブ

 カトリーヌさんが波動ウェーブを放つ。あの距離の的に当てることができるのでしょうか。そんなことを考えていたら、突如、地震がグランドを襲ったかと思えば、ものすごい轟音とともに大地が抉れ、砂埃が舞う。カトリーヌさんの手から放たれた魔力は、トンネルを掘る削岩機にも負けない威力で前進し、五十メートルもいかないところで魔力がすべて焼失しました。

「え?」

「…………この程度まで弱めても飛距離が伸びにくいのね」

 カトリーヌさんがそう呟いて私のすぐそばにまでくる。そして私の耳元で囁いた。

「私も驚かせてくれるかしら?」

 何故か初対面の令嬢に喧嘩を売られてしまいました。まあ、いいでしょう。五歳から高めた魔力。いつかある決戦の為に準備したこの力。そんなに驚きたいっていうのなら見せてあげようじゃない。

「波動魔法波動ウェーブ!!!!!」

 私の手のひらからはライフルの弾丸を意識した波動が発射される。それは一瞬。

 一般的に基本魔法である波動ウェーブは、精々子供のキャッチボールくらいの速度しか出ない。

 だからみんな、私の波動ウェーブが不発に終わったかと思う。

 しかし、アンヌ先生とカトリーヌだけは射出さえた魔力を目で追おうとした。

 ライフルの弾丸と同じ速度で動く魔力を追うことはできず、彼女たちが首を動かそうとしたタイミングには、はるか遠くに用意された的が大爆発を起こしていた。

「そ、…………測定をぉ、終わりにしますぅ。教室に戻りますよぉ」

 私の周りにはたくさんのクラスメイト達が集まり、カトリーヌはそれを遠巻きで眺めていた。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処理中です...