BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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56話 隣国の皇子オリバー・アーバスノット・コリングウッド

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 魔力測定が終わり、教室に戻る頃、授業の合間となれば当然のように私の周囲に人が集まってきました。そういえばと思いカトリーヌさんの席を確認すると、最前列窓際の席が彼女の席のようです。公爵家といっても、Aクラスには他国の次期大公候補や皇族までいらっしゃるため、カトリーヌさんの席は私とは少しだけ離れているみたいです。

 あの挑戦的な態度。一体どういうつもりだったのかしら。それに見れば見るほど、彼女の瞳はエリザベートと同じ深紅色に見えて、彼女の美しい所作は、どこにだしても恥ずかしくない完璧さを感じられました。

 ちょっと気になるけど、ワンダーオーブを手に入れることに関していえば、そこまで邪魔にならないわよね。本当なら仲良くできればいいのですけど、何かきっかけはないかしら。その日のお昼。昼食の時間となり、学園の生徒たちは大食堂に並んですわります。

 この時も案内された順番に座り、クラスや学年は関係ない席配置になりました。予想通りと言えば予想通り、奥の豪華なテーブルは王族や他国の皇族や大公家などが集められています。

 その手前は公爵家や侯爵家の方々が集められており、アレクシスやビルジニ、ジョアサン、カトリーヌはそちらに座っていました。

 その奥は伯爵家、子爵家、男爵家がいらっしゃり、ミゲルとリビオがそちらで一緒に話しをしています。私がいない時は仲いいのね。なんでよ。

 そして食堂の脇にはもう一つ大きな食堂があり、そこでは平民の生徒が詰め込まれるように座らされているそうです。Aクラスにも数名平民の生徒がいたりしますので彼ら彼女らもそちらにいるのでしょう。

 昼食が配膳されると、私達は神に感謝してから食事を始めます。私の席からはアレクシスたちの座っているテーブルが見えますので、運ばれている食事を眺めていると微妙に違うことがわかります。どうやら、階級ごとにテーブルやいすだけでなく、運ばれてくる食事まで違うみたいです。

 姫として王宮に閉じ込められていた期間が長いせいか、ここまで階級社会だったとは思いませんでした。

 そして私は周囲に座る生徒をじーっと確認します。この階級社会。一つだけ褒められる点があります。それは【紫】のワンダーオーブの攻略キャラクターが隣国の皇子だったからです。

 つまり、その子息が学園に通っているなら、このテーブルにいらっしゃるはず。髪色は確かこげ茶色っぽい感じで瞳の色はライトグリーン。私が一人ずつ確認していると、とあるところで目が留まる。同じテーブルに特徴の一致する男子生徒がいたのだ。間違いないローワン・フィッツジェラルド=ド・コリングウッドの息子だわ。そうじゃなくても血縁の可能性が高そう。

 昼食を終えたところで早速彼に接触してみましょう。食事が終わると一定時間の昼休みになり、私は彼のところに向かいました。近づいてくる私に気付いた彼は私に一礼する。

「初めまして。ラヌダ帝国次期皇帝筆頭オリバー・アーバスノット・コリングウッドです。あなた様は噂のクリスティーン姫でしょうか?」

 歓迎の言葉とは思えないほど声は冷たく、今にも誰かを刺しそう。

「お初にお目にかかります。お察しの通りクリスティーン・ディ・フォレスティエでございます。オリバー皇子とお呼びすれば宜しいでしょうか?」

「ええ、それで構いませんよ」

 近づいてみたところ、オリバーの身長はアレクシスと同じくらいだろう。つまりリビオより大きく、ジョアサンより小さいくらい。

「それでこれだけ数多くの中から、ただの挨拶をするために俺のところに来たのですか?」

「えっと…………」

 完全に無計画でした。確かにこれだけ大勢の中から一直線に彼の所にいくなんて不自然よね。何か適当な理由はないかしら。何でもいい。

「いえ、この席に集まる方々の中でも、次期皇帝筆頭候補である貴方様を一番に挨拶すべきと思いまして」

「なるほど…………そう言うことでしたか。いきなりレディが俺のところに真っすぐ来たから、別の意味を勘ぐってしまいましたよ」

「…………?」

 レディが来たから? 勘ぐった? どういうこと? もしかして、彼に私がワンダーオーブを手に入れようとしていることがバレたのかしら。ワンダーオーブを手に入れるには、特定の適正も必要不可欠ですが、絆で繋がった二人である必要がある。ゲーム上ではジェラールですら知らなかった事実です。何故この男が?

「なんの目的もないわ。深読みしすぎよ」

 そこではひとまず挨拶だけを済まし、顔見知りになることだけでも成功しました。しかし、ワンダーオーブのことが知られているとしたら要警戒ね。もし彼も別で手に入れようとしているなら、ライバルになりかねないわ。

 しばらくして公爵家のテーブルに近づきアレクシスたちのところに向かう途中、カトリーヌさんとすれ違う。彼女は私の耳元で何かを囁く。

「…………次は負けないわよ」

「…………精々頑張ってください」

 私はその囁きに返事をした。本当に頑張るなら好きにして欲しい。私には負けて失うものもありませんしね。何故ここまでライバル視されているのかしら?
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