BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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73話 マッチポンプ

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 家族で夕食を食べたその日の夜。私は部屋に向かう最中に彼になんて伝えようか。どう切り込むべきか考えながら自室に入りました。

「ブランク? ブランク? いるんでしょ? なぁーに? ご飯いる?」

「俺は野ギツネや野ウサギじゃねーぞ?」

 黒い靄が収束し、人型を象るとそこには、顔が見えないように深くフードを被った状態の男が現れた。全身黒づくめで背格好と声しかわからない。以前、少しだけ覗き込んだ時に、おそらく白髪だろうということだけがわかった。

「犬や猫じゃない?」

「? そうなのか? そんなに野生化していたか? いやいることにはいるが、メジャーではないだろう?」

 そっか、こういう時はキツネやウサギの方が普通なのね。覚えておきましょうか。

「それで俺に何の用だ? ワンダーオーブの件か?」

「そうそれ! 話が早いわ!!」

 ジョアサンと話す時も、他のメンバーと話す時も、ストレートにワンダーオーブが欲しいから協力してって言えなくて苦労するのよね。その点、ブランクはワンダーオーブのことを知っているし、私が手に入れるために必要と言えばあっさり聞き入れてくれそう。

「まあ、いい。それで俺は何をすればいい?」

「学園の敷地内にケガした魔獣を連れてきて、ジョアサンと私に発見させてほしいわ! 他の生徒に見つかっちゃだめよ?」

 私がそう指示を出すと、ブランクは無言。フードのせいで顔が見えないからどういった表情をしているかわかりませんし、私もリアクションに困る。

「返事するか何かリアクションが欲しいのだけど?」

 私がそういうと、ブランクは数秒固まって、やっと一言喋りだした。

「それ、何の意味があるんだ?」

「ワンダーオーブが手に入るわ!」

 私が勢いよく返事を返すと、ブランクはまただんまりになってしまいました。せめて表情さえ見えればもう少し会話している感じになりますが、顔も見せなければ、身振り手振りもしない。

「なんだ? 何か言いたそうな顔だな?」

「貴方、そのフードでどうやって私の顔を見ているのよ」

「時空魔法だ」

「便利ね」

 空間を操って視界を自在に変えているってことかしら。私もそれ使いたいのだけど。しばらくブランクと会話をしていましたが、やるだけやってくれるということで話はつきました。

 魔物も小型の哺乳類型で比較的おとなしい子をお願いしてあります。毛並みや種類まで指定し始めたら、ブランクに注文が多いと怒られてしまいましたわ。

「もういいなら俺は消えるぞ?」

「消えて何をしているの?」

「別に何も? ただ常に実体化しているとみつかるリスクがあるだろ?」

 あれだけの魔法を使えたとしても、見つかるリスクは気にしちゃうのね。それでも、深夜の姫の部屋に来る人間なんて不審者しかいないでしょうし、気にすることもないでしょうけど。

 私は気になって気になってしょうがなかったブランクのフードに手を伸ばそうとしましたが、その瞬間に私の手には鎖が巻かれて天井につるされてしまいました。

「ちょっと何よこれ!?」

 鎖で吊るされていると言っても、腕を動かせない様にするためで足は床につく。

「お前が俺の顔を見ようとするからだ」

「それ、隠さなきゃいけない顔なの?」

 私の問いにまた無言。しかし、こちらは鎖で吊るされているから身動きもできない。本当にすぐ黙るんだから。

「別に隠し通す必要はないが、無理やり脱がすこともないだろう?」

 ブランクに言われて、まあ確かにと思いました。普通に頼めばこんな扱いにならなかったのよね。見せてくれるかは別として。

「とにかく俺はもう帰る。約束の魔物はなるべく早いうちに用意してやる」

 そう言ったブランクは、黒い靄になってからまた消えてしまった。
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