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74話 魔狼の子供
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私は悪魔祓いの件を相談するとジョアサンに伝えて、聖水の噴水近くに呼び出しました。当然そのつもりはなく、ここで私と彼が密会をしているさなか、怪我をした魔獣をブランクに連れてきてもらうのです。もちろん、既に魔獣は倒れていて、ブランクはここから退散してもらっています。
彼が隠れても、ジョアサンには見えてしまいますからね。二人で噴水前で合流し、一緒に向かう最中に、ジョアサンが私を見つめながら言いました。
「今日は噴水の前に行く前から奴はいないな」
「へ? まあ、四六時中一緒と言う訳ではないのでしょう? 多分?」
「…………それもそうか」
私の適当な発言に対してジョアサンも納得する。まあ、私がブランクについて理解がある訳でもないですし、実際四六時中一緒にいるとはこちら側も考えたくはないものである。ブランクって多分男ですし。
聖水の噴水前にたどり着くと、ベンチの横で死にかけの魔狼の子供が、赤いペンキの入ったバケツをぶちまけたように周囲の白い石畳を汚していました。
ブランクさんちょっとこれグロすぎません?
血まみれの現場の中央にいた魔狼をどう抱きかかえようか迷っていた私の隣で、ジョアサンが私がこれ以上前に出ない様に肩を掴みました。
「とどめを刺すなら僕が」
「何を言っているの? 助けるのよ?」
「助ける? 魔獣をですか?」
「ええそうよ?」
この世界でいう魔獣なんて獰猛な肉食動物と変わらない。人間にも魔力があるのだから動物にだって魔力があって当然。魔獣だから悪という考えは教会ならではの考えですし否定はしないけど、それでも命ある生き物に変わりはない。
今目の前にいる赤い血で毛並みの色すらわからない魔狼だって、小さな命だ。でもあそこまで血塗れじゃなくても良かったのよブランク。
私はぴちゃぴちゃと血の水たまりを歩いていく。魔狼の血にも触れたくないと思っていたジョアサンはこちらに近づいてこない。私は魔狼を抱きかかえると、白い制服は一瞬で赤く染まった。それを見たジョアサンが見かねたのか自分のジャケットを脱ぎ、こちらに近づいてきた。
「クリスティーン姫はあとで僕の上着を羽織ってください。貴女がそれを助けることは理解しました。私はそれを助けたくありませんが、血塗れのクリスティーン姫をみていることはできませんので、私も手伝います」
「…………ありがとうジョアサン」
私が魔狼を抱きかかえながらジョアサンに微笑むと、ジョアサンは顔を背けてしまいました。そして手を出してきます。
「え? 何その手は?」
「ひとまずその魔狼は預かります。クリスティーン姫が汚れるくらいなら僕が汚れる方が良い。貴女が命令するのであれば殺しはしませんよ」
「そーお? じゃあ、お願いにしておくわ。この子を助けて?」
私が魔狼の子供をジョアサンに渡す時、落とさない様に慎重にと思いお互いの距離がほぼゼロ距離になりました。視線を相手の顔に向ければ、近すぎてどうにかなりそうなほどに。幸い、私はジョアサンより頭一個分くらい背が低いので、彼は私の頭頂部を見つめる形になっているでしょう。でもちょっと恥ずかしい。
「ねえ? しばらくこの子の世話をしない?」
「僕とクリスティーン姫が? いや、それは無理だろ? 魔狼だぞ魔狼」
「そうなのだけど…………でも可哀そう」
マッチポンプをお願いした身ですが、想像以上に可哀そうなんですけど。なによこれ。私精々包帯巻いて三日四日完治を待つくらいの想定でしたのよ。ブランクにちゃんと注文しなかった私が悪いし、お願いの仕方が悪かったのかしら?
もしかしてこの子って怪我した子を連れてきた訳じゃなくてブランクが怪我させたわけじゃないでしょうね?
とにかく止血しないと。私は自分の制服のジャケットを脱ぎなんとか袖を引きちぎろうとしましたが無理でしたので、小さい魔狼には大きいですが、そのままジャケットの袖で傷口を塞ぎました。
「これでいいかしら?」
「クリスティーン姫! なんて格好になっているのですか?」
「え? でも止血しないとでしょ?」
「僕は回復魔法の適性があります。止血くらい難しくありません」
「あらそう?」
そういう訳で血の水たまりから避難した私達はすぐ近くの芝生の上に座り、魔狼に回復魔法をかけていった。私は一応回復魔法適正がありますが、書類上では波動魔法と時空魔法のみ。時空魔法で出血の速度を遅くするのが精いっぱいでした。
そして私とジョアサンはこの聖水の噴水近くに数日通うことになり、学園に内緒で魔狼の世話をこっそり始めることになりました。
「名前どうします?」
「呑気だね君は」
彼が隠れても、ジョアサンには見えてしまいますからね。二人で噴水前で合流し、一緒に向かう最中に、ジョアサンが私を見つめながら言いました。
「今日は噴水の前に行く前から奴はいないな」
「へ? まあ、四六時中一緒と言う訳ではないのでしょう? 多分?」
「…………それもそうか」
私の適当な発言に対してジョアサンも納得する。まあ、私がブランクについて理解がある訳でもないですし、実際四六時中一緒にいるとはこちら側も考えたくはないものである。ブランクって多分男ですし。
聖水の噴水前にたどり着くと、ベンチの横で死にかけの魔狼の子供が、赤いペンキの入ったバケツをぶちまけたように周囲の白い石畳を汚していました。
ブランクさんちょっとこれグロすぎません?
血まみれの現場の中央にいた魔狼をどう抱きかかえようか迷っていた私の隣で、ジョアサンが私がこれ以上前に出ない様に肩を掴みました。
「とどめを刺すなら僕が」
「何を言っているの? 助けるのよ?」
「助ける? 魔獣をですか?」
「ええそうよ?」
この世界でいう魔獣なんて獰猛な肉食動物と変わらない。人間にも魔力があるのだから動物にだって魔力があって当然。魔獣だから悪という考えは教会ならではの考えですし否定はしないけど、それでも命ある生き物に変わりはない。
今目の前にいる赤い血で毛並みの色すらわからない魔狼だって、小さな命だ。でもあそこまで血塗れじゃなくても良かったのよブランク。
私はぴちゃぴちゃと血の水たまりを歩いていく。魔狼の血にも触れたくないと思っていたジョアサンはこちらに近づいてこない。私は魔狼を抱きかかえると、白い制服は一瞬で赤く染まった。それを見たジョアサンが見かねたのか自分のジャケットを脱ぎ、こちらに近づいてきた。
「クリスティーン姫はあとで僕の上着を羽織ってください。貴女がそれを助けることは理解しました。私はそれを助けたくありませんが、血塗れのクリスティーン姫をみていることはできませんので、私も手伝います」
「…………ありがとうジョアサン」
私が魔狼を抱きかかえながらジョアサンに微笑むと、ジョアサンは顔を背けてしまいました。そして手を出してきます。
「え? 何その手は?」
「ひとまずその魔狼は預かります。クリスティーン姫が汚れるくらいなら僕が汚れる方が良い。貴女が命令するのであれば殺しはしませんよ」
「そーお? じゃあ、お願いにしておくわ。この子を助けて?」
私が魔狼の子供をジョアサンに渡す時、落とさない様に慎重にと思いお互いの距離がほぼゼロ距離になりました。視線を相手の顔に向ければ、近すぎてどうにかなりそうなほどに。幸い、私はジョアサンより頭一個分くらい背が低いので、彼は私の頭頂部を見つめる形になっているでしょう。でもちょっと恥ずかしい。
「ねえ? しばらくこの子の世話をしない?」
「僕とクリスティーン姫が? いや、それは無理だろ? 魔狼だぞ魔狼」
「そうなのだけど…………でも可哀そう」
マッチポンプをお願いした身ですが、想像以上に可哀そうなんですけど。なによこれ。私精々包帯巻いて三日四日完治を待つくらいの想定でしたのよ。ブランクにちゃんと注文しなかった私が悪いし、お願いの仕方が悪かったのかしら?
もしかしてこの子って怪我した子を連れてきた訳じゃなくてブランクが怪我させたわけじゃないでしょうね?
とにかく止血しないと。私は自分の制服のジャケットを脱ぎなんとか袖を引きちぎろうとしましたが無理でしたので、小さい魔狼には大きいですが、そのままジャケットの袖で傷口を塞ぎました。
「これでいいかしら?」
「クリスティーン姫! なんて格好になっているのですか?」
「え? でも止血しないとでしょ?」
「僕は回復魔法の適性があります。止血くらい難しくありません」
「あらそう?」
そういう訳で血の水たまりから避難した私達はすぐ近くの芝生の上に座り、魔狼に回復魔法をかけていった。私は一応回復魔法適正がありますが、書類上では波動魔法と時空魔法のみ。時空魔法で出血の速度を遅くするのが精いっぱいでした。
そして私とジョアサンはこの聖水の噴水近くに数日通うことになり、学園に内緒で魔狼の世話をこっそり始めることになりました。
「名前どうします?」
「呑気だね君は」
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