BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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84話 準備は少しずつ

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 地上に戻って鉱石の採取方法を考えるべきか、あれが何者なのかを測るべきか。計測器を用いてどんな魔力を発しているのかなど、色々調べたいことだらけでしたが、この日は解散。明日もう一度亀裂内部の調査を行うことにしました。

「それではジャンヌさん、本日もお疲れ様でした」

「はい、姫様! 明日もよろしくお願い致します」

 …………業務的な会話。クラスメイトではなく主従関係を思わせるそれ。いくら言ってもジャンヌさんは不敬になるということで変えてくださりませんでしたね。

 ジャンヌさんは用事でもあるのでしょう。同じ正門に向かうはずですが、彼女は走って先に行ってしまいました。

 ウィルフリードは疲れたのか私の腕の中ですやすやと眠っています。後ろにはいつも通りスザンヌがついてきます。

「そういえばウィルフリードは魔法が使えるんじゃないですか?」

「そうね、でも下手に覚えさせちゃいけないと思うの。まだ子供ですし今は可愛い狼でいて欲しいわ」

「魔狼は成長すると馬車くらいの大きさになりますけどね。飼育しているのも、姫様が史上初です」

 そうなのよね。前例があるかなって思って聞いて回ってもそもそも人に懐く魔狼自体がほぼあり得ないみたいなのよね。

 ウィルフリードの魔法ね。私個人が波動魔法と時空魔法しか堂々と使えませんし、スザンヌが付与魔法を扱いますから、守護魔法か回復魔法が使えれば助かりますね。

 私とスザンヌは西日に背中を照らされながら正門に向かいました。とりあえず亀裂付近にはワンダーオーブの入手場所らしき場所は見当たりませんでしたね。つり橋が腐り落ちていましたので、乙女ゲームの時間軸でしたら行けた場所ですし向こう側も探索が必要よね。

 馬車の停留所、偶然ジョアサンと居合わせます。

「クリスティーン姫? お帰りですか?」

「ええそうよ。あ、そうそう明日はよろしくね。きっといい助っ人を用意できるわ」

 私がにんまりしながら答えると、ジョアサンの目は糸目であるにも関わらず、まるでジト目で見ているような視線が刺さります。

「まあ、期待しないで待っています」

「なんでよ!?」

 ジョアサンがくつくつと笑い、馬車に乗って帰ってしまいました。失礼しちゃう。最強の助っ人を送り込んで膝をつかせて褒めたたえさせるんだから。…………そうはならないでしょ。

 私とスザンヌも馬車に乗り込み、馬車の揺れでウィルフリードが目を覚まします。

「がう」

「あらおはよう。よく眠れました?」

「がうがう!」

 はぁあああああああああ。小さな魔狼って可愛すぎる。これが最終的にはこの馬車より大きくなるのね。想像もしたくありませんわ。でもなんか毛並みに沈めそう。あ、それいいかも。

「たくさん食べて大きくなるのよ」

「それは餌やりの時に言ってください。今食べさせることができる肉は姫様だけです」

「え? あ、いやそういうつもりじゃないけど。待ってなんで私だけなの?」

 新鮮な肉なら貴女でも良いでしょ? ってそういう話じゃないのよ。確かに餌やりの時にいうセリフよね。やっと王宮につき、ウィルフリードが元気に私の後ろを駆け回り、私は自室に戻って着替えを済ませました。夕飯までのちょっとの時間が空き、母のいる宮殿まで移動しようと思った時でした。

「あら? 貴方の方からくるのねブランク」

 視界に黒い靄が集まり始め、それは人型を形成し始めました。

「あー、そろそろね。それよりも俺の力が必要なんだろ?」

「ええ、そうよ。私の考えわかりすぎてドン引き。でも助かる」

 ブランクは私の意思だけを確認すると、またいつものように黒い靄になって消えてしまいます。わからないことが多すぎる中、アレが最もわからないことの一つよね。

 誰も知らない魔法を平然と行使し、素顔を見せない謎の男。目的は私と同じでワンダーオーブを手に入れること。

「さてと、家族の時間ね」

 私は夕食の為に両親と弟の待つ宮殿に向かいました。当然のように私の頭に乗るウィルフリードが落ちない様に片手で抑えながら、私は明日の予定を考えるのでした。
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