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85話 迷子の狼
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翌日の放課後。私はまたジャンヌさんとスザンヌを図書館に待たせつつ、ジョアサンと約束した人通りの少ない長い廊下までやってきました。
待ち合わせ場所にはすでにジョアサンが壁に持たれながら待っています。一応Aクラスの方が近い場所なんですけどね。なんで貴方先にいるのよ。
「お待たせしました」
「あれ? 助っ人は?」
「え? 貴方には見えているんでしょ?」
「おいまさか」
ジョアサンは私の頭上に視線を向けます。ああ、普段は私の頭上辺りに漂っているんですね。全身を覆う様にしているイメージでしたわ。
「そのまさかよ。これを貸すわ」
「悪魔だろ? そんな貸し借りできるものなのか?」
…………そういえば、ジョアサンにはそういう風にしておいたんでしたっけ。てゆうか、私自身もブランクの正体なんか知らないわよ。なんならこのブランクって名前も偽名ですし。
「ここなら良いでしょブランク。貴方から適当に説明なさい」
私がそう声をかけると、ブランクは私のすぐ隣で黒い靄を集め、人型を作り始めました。ジョアサンは明らかに嫌悪しているが、仕方ありません。
なにせ、ブランクは貴族でもなければ、貴族側もとい私の関係者であることがバレているわけではない。平民生徒に見られても問題のない人物。それにそれなりに魔法も多彩ですし、絶対に役に立つはず。
「ブランク、その姿はまずいわ顔出しなさいよ」
私がそういうと、ブランクは少々黙り込む。ブランクはいつも通りフードで顔を隠しているため、貴族だろうが平民だろうが怪しい恰好をしていることが欠点だ。だからフードを脱いでもらおうとお願いしたのですが、彼はそれを嫌がりました。
「素顔は出せない。どうしてもというのなら仮初の顔になろう」
「え? そんなことできるの?」
そう言ったブランクは黒い靄に包まれる。そしてその靄がはれて最初に目に付いたのはうちの学校の白い制服。そして顔はどこにでも良そうな平均的な顔。髪も明るい茶髪で瞳も印象に残りにくい青。特徴のない男子生徒がそこに現れたのだ。
「これでいいか?」
「そんなこともできるのね」
さてと、あとはジョアサンの心情ですけど、私はジョアサンの方に視線を向けると、彼は深くため息を吐いた。状況が状況ですし、ジョアサンもブランクと共に行動することを納得してくださったのでしょう。
「じゃ、暴動の件はお願いするわ」
私が声をかけると、ジョアサンは気乗りしないテンションで返事をしてくれましたが、ブランクは特に返事なし。ムッとしましたが、時間が惜しいので私もそのまま踵を返しました。
「…………ウィルフリード?」
そういえばどこにもいません。思い返せばジャンヌさんとスザンヌと分かれた時もいなかったような。……アンヌ先生に捜索願いでも出してからレポートの件でも進めましょうかしら。あの子は普通にしていれば生徒より強いし、私の魔狼と分かって傷つける生徒はいないでしょ。
一度図書館により、ウィルフリードの件をスザンヌにお伝えして、スザンヌは職員室に向かいました。私とジャンヌさんは測定器の動作確認をしてからひとまず先に崖のところに向かいます。
「これ、結構重いわね」
「私一人で運びましょうか?」
「…………いえ、それだと私が貴女をいじめているみたいになりますし、何より貴女一人でモテるかも不安よ」
しばらくしてやってきたスザンヌのおかげで調査は順調に進みレポートの心配はひとまずなくなってきました。問題はカトリーヌさん達がどれほどのものを用意してくるかよね。
放課後、馬車の停留所でジョアサンと合流。その時に、ジョアサンの視線の動きからブランクは私のところに戻ってきたようです。それよりもどうやらウィルフリードはまだ見つかっていないようです。
ちょっと心配ね。それから夜はブランクから調査報告も貰いましょうか。平民たちの暴動ね。止められるかしら。
待ち合わせ場所にはすでにジョアサンが壁に持たれながら待っています。一応Aクラスの方が近い場所なんですけどね。なんで貴方先にいるのよ。
「お待たせしました」
「あれ? 助っ人は?」
「え? 貴方には見えているんでしょ?」
「おいまさか」
ジョアサンは私の頭上に視線を向けます。ああ、普段は私の頭上辺りに漂っているんですね。全身を覆う様にしているイメージでしたわ。
「そのまさかよ。これを貸すわ」
「悪魔だろ? そんな貸し借りできるものなのか?」
…………そういえば、ジョアサンにはそういう風にしておいたんでしたっけ。てゆうか、私自身もブランクの正体なんか知らないわよ。なんならこのブランクって名前も偽名ですし。
「ここなら良いでしょブランク。貴方から適当に説明なさい」
私がそう声をかけると、ブランクは私のすぐ隣で黒い靄を集め、人型を作り始めました。ジョアサンは明らかに嫌悪しているが、仕方ありません。
なにせ、ブランクは貴族でもなければ、貴族側もとい私の関係者であることがバレているわけではない。平民生徒に見られても問題のない人物。それにそれなりに魔法も多彩ですし、絶対に役に立つはず。
「ブランク、その姿はまずいわ顔出しなさいよ」
私がそういうと、ブランクは少々黙り込む。ブランクはいつも通りフードで顔を隠しているため、貴族だろうが平民だろうが怪しい恰好をしていることが欠点だ。だからフードを脱いでもらおうとお願いしたのですが、彼はそれを嫌がりました。
「素顔は出せない。どうしてもというのなら仮初の顔になろう」
「え? そんなことできるの?」
そう言ったブランクは黒い靄に包まれる。そしてその靄がはれて最初に目に付いたのはうちの学校の白い制服。そして顔はどこにでも良そうな平均的な顔。髪も明るい茶髪で瞳も印象に残りにくい青。特徴のない男子生徒がそこに現れたのだ。
「これでいいか?」
「そんなこともできるのね」
さてと、あとはジョアサンの心情ですけど、私はジョアサンの方に視線を向けると、彼は深くため息を吐いた。状況が状況ですし、ジョアサンもブランクと共に行動することを納得してくださったのでしょう。
「じゃ、暴動の件はお願いするわ」
私が声をかけると、ジョアサンは気乗りしないテンションで返事をしてくれましたが、ブランクは特に返事なし。ムッとしましたが、時間が惜しいので私もそのまま踵を返しました。
「…………ウィルフリード?」
そういえばどこにもいません。思い返せばジャンヌさんとスザンヌと分かれた時もいなかったような。……アンヌ先生に捜索願いでも出してからレポートの件でも進めましょうかしら。あの子は普通にしていれば生徒より強いし、私の魔狼と分かって傷つける生徒はいないでしょ。
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「これ、結構重いわね」
「私一人で運びましょうか?」
「…………いえ、それだと私が貴女をいじめているみたいになりますし、何より貴女一人でモテるかも不安よ」
しばらくしてやってきたスザンヌのおかげで調査は順調に進みレポートの心配はひとまずなくなってきました。問題はカトリーヌさん達がどれほどのものを用意してくるかよね。
放課後、馬車の停留所でジョアサンと合流。その時に、ジョアサンの視線の動きからブランクは私のところに戻ってきたようです。それよりもどうやらウィルフリードはまだ見つかっていないようです。
ちょっと心配ね。それから夜はブランクから調査報告も貰いましょうか。平民たちの暴動ね。止められるかしら。
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