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113話 進む道を選べ
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貿易都市でのレポート作成を終えた私たちは、全ての班が一つの広場に集められました。
本日はなぜかあからさまにブラン王国の市民が来ているような質素な服を配られました。
着方がわからなくて困っているカトリーヌさんを見て、私もわざとらしく困り始める。
周囲を見渡すと残った班の数は私達を含め三班。貿易都市に入ることができた班の数はこの三倍以上はいたはずだ。
てゆうか、たった三班の為に残り数日を使うのですね。先生方も残った生徒の数は想定外だったのでしょうか。
「結構減らされたのね」
私が周囲を見渡しながら言うと、ジャンヌさんは怯えながらキョロキョロし始める。無駄に不安をあおる発言はしない方が良いわね。
他のみんなは割と普段通りを装っていますが、それは不安じゃないと言い切る理由にならない。
「みなさぁ~ん」
気の抜けた声が聞こえる。アンヌ先生だ。またどこにいるかわからないが、彼女が音を届けるのに場所は関係ないのだろう。
一応先生の場所を探すと、彼女はいつの間にか広場の真ん中に立っていた。
そばかすがあることくらいしか特徴のない地味な赤毛の女性。アンヌ先生は人ごみに紛れてしまえば、探すのが困難なくらい目立たない。
「お次はラクダで移動して半日の街ですがぁ~。道中は最近盗賊団が出ることもありますのでぇ~お気を付け下さいねぇ~」
そんなルートを通らせないで欲しい。ですが、私達は危険を同意するサインまでしている。今更こんなことで泣き言をいう訳にもいかない。
ラクダを歩かせるルートは、複数ある中から、私達が任意で決めるらしい。
「今回はぁ~日没までにたどり着いてくださいねぇ~」
先生が用意したルートは他の班と被ってはいけないらしく、各班の班長が集められます。
一つ目の班の班長はジャン・ド・ジェゴフ。ジェゴフ侯爵家の令息でぽっちゃりしていてブロンドの髪をしている。B組在籍で状態魔法の使い手と聞いたことがあります。
もう一つの班の班長はメラニー・マリー・ジラールというココアのような色の茶髪の少女だ。ジラール商会というブラン王国一大きな商会の会長の娘でもあり、そこら辺の貴族より裕福な暮らしをしているといわれている。Cクラス在籍で幻惑魔法の使い手だったと記憶しています。
「皆様はどのようにあの地図を?」
私が質問をすると、ジャンはにたりと笑い、メラニーは何を言われているのだろうという表情を作った。
「私はロポポロ公国には頻繁に行き来していましたので、地図は読めました。問題は星印に書かれていた言葉ですね。あれはすべて宿を表していないことがわかりましたので、幻惑魔法がかけられていることを疑い解除しました」
「う、うちもそうよ。まあ、幻惑魔法の解除はオリバー皇子にやってもらいましたが」
嘘は言っていない。ただし、誰もロポポロ公国の文字が読めなかったことは、なぜか見栄をはって答えませんでした。
「僕らの班は簡単さ! 状態魔法で通行している人に麻痺をかけて解除を条件に地図を解かせたのさ! できる人が見つかるまで七人捕まえたかな!!」
私とメラニーさんは、ごみを見るような眼でジャンを見ているが、当の本人はおいおいそんなに見つめないでおくれよと言い出す。
こいつ、うっかり盗賊に攫われてくれないかな。怖い思いをした辺りで先生が助けに来てくれればいいから。
貴族生徒の中にこんな男がいたら、そりゃあ平民生徒も暴動くらい起こすわよ。
私とメラニーさんは、あのバカに下手に絡まれないように、先に決める権利を譲ると、すごく気分がよさそうに一番短いルートを選んで班員たちのところに戻っていきました。
「さてと、メラニーさんはどのルートにしますか?」
「私ですか? そうですね、無難なのはこの少し遠回りの道ですね。回り道になっているせいで時間もかかりますが、周辺に隠れる場所がなく地平線まで見える道ですので、襲われる危険性はほぼないです」
なるほど、彼女は地図だけじゃない。実際にこの道を利用したことがある経験者だ。
「でしたらその道はお譲りしますので、私達の班の道を決める相談に乗ってくれませんか?」
「え? 私がですか? 良いのですか? 信用できるのですか?」
彼女は自分が平民である以上に、裕福な暮らしをしているせいで貴族からも嫌われていることを承知している。
「信用していなければ、貴女の家に我が国最大の商会は任せられないわ。貴女はその会長の娘です」
そしてメラニーさんは複数ある道の中から、岩場を回り道するルートを指さした。
「どの道も危険と隣り合わせですが、こちらの道なら、少なくとも左側を警戒する必要がありませんので、他よりは警戒が楽かと」
「…………つまり右側からいつ襲われてもおかしくないってことね。ご忠告ありがとう」
「申し訳ありません」
「気にしないで。私達は強いから」
私達はお互いの班に戻って、決めたルートを報告し合う。
ラクダに乗って八人で移動するのかと思えば、各班それぞれ先生方引率してくれるらしい。私達の班はアンヌ先生がやってきた。
先生はあくまで監視というころで私達より少し離れた場所からついてくるらしい。
基本的に移動する順番はミゲルを先頭にして両サイドにジョアサンとリビオ。内側に女子四人で後方をオリバーがついてきて、アンヌ先生はオリバーより更に後ろという陣形で移動しました。
しばらく歩いていると、メラニーさんが言っていた通りの左側は見晴らしがよいのに、右側は岩場などの死角の多い道にでました。
確かに右側からの奇襲が用意な道ですね。
「オリバー? 貴方だけ左側を警戒してくれるかしら?」
「いいでしょう。俺も同意見です」
幻惑魔法を見抜けるのは、更に上位の幻惑魔法使いだけ。それでも時間がかかりますが、違和感は感じられます。
私がもし盗賊だとしたら、魔法を使って奇襲する。つまり、見晴らしが良い場所からいきなり襲われる可能性もある。
それを承知で私はメラニーさんを両サイド見晴らしのいい道を選ばせました。何故なら彼女もそれなりの幻惑魔法を使えるからです。
私達は危険を承知でラクダを歩かせました。
本日はなぜかあからさまにブラン王国の市民が来ているような質素な服を配られました。
着方がわからなくて困っているカトリーヌさんを見て、私もわざとらしく困り始める。
周囲を見渡すと残った班の数は私達を含め三班。貿易都市に入ることができた班の数はこの三倍以上はいたはずだ。
てゆうか、たった三班の為に残り数日を使うのですね。先生方も残った生徒の数は想定外だったのでしょうか。
「結構減らされたのね」
私が周囲を見渡しながら言うと、ジャンヌさんは怯えながらキョロキョロし始める。無駄に不安をあおる発言はしない方が良いわね。
他のみんなは割と普段通りを装っていますが、それは不安じゃないと言い切る理由にならない。
「みなさぁ~ん」
気の抜けた声が聞こえる。アンヌ先生だ。またどこにいるかわからないが、彼女が音を届けるのに場所は関係ないのだろう。
一応先生の場所を探すと、彼女はいつの間にか広場の真ん中に立っていた。
そばかすがあることくらいしか特徴のない地味な赤毛の女性。アンヌ先生は人ごみに紛れてしまえば、探すのが困難なくらい目立たない。
「お次はラクダで移動して半日の街ですがぁ~。道中は最近盗賊団が出ることもありますのでぇ~お気を付け下さいねぇ~」
そんなルートを通らせないで欲しい。ですが、私達は危険を同意するサインまでしている。今更こんなことで泣き言をいう訳にもいかない。
ラクダを歩かせるルートは、複数ある中から、私達が任意で決めるらしい。
「今回はぁ~日没までにたどり着いてくださいねぇ~」
先生が用意したルートは他の班と被ってはいけないらしく、各班の班長が集められます。
一つ目の班の班長はジャン・ド・ジェゴフ。ジェゴフ侯爵家の令息でぽっちゃりしていてブロンドの髪をしている。B組在籍で状態魔法の使い手と聞いたことがあります。
もう一つの班の班長はメラニー・マリー・ジラールというココアのような色の茶髪の少女だ。ジラール商会というブラン王国一大きな商会の会長の娘でもあり、そこら辺の貴族より裕福な暮らしをしているといわれている。Cクラス在籍で幻惑魔法の使い手だったと記憶しています。
「皆様はどのようにあの地図を?」
私が質問をすると、ジャンはにたりと笑い、メラニーは何を言われているのだろうという表情を作った。
「私はロポポロ公国には頻繁に行き来していましたので、地図は読めました。問題は星印に書かれていた言葉ですね。あれはすべて宿を表していないことがわかりましたので、幻惑魔法がかけられていることを疑い解除しました」
「う、うちもそうよ。まあ、幻惑魔法の解除はオリバー皇子にやってもらいましたが」
嘘は言っていない。ただし、誰もロポポロ公国の文字が読めなかったことは、なぜか見栄をはって答えませんでした。
「僕らの班は簡単さ! 状態魔法で通行している人に麻痺をかけて解除を条件に地図を解かせたのさ! できる人が見つかるまで七人捕まえたかな!!」
私とメラニーさんは、ごみを見るような眼でジャンを見ているが、当の本人はおいおいそんなに見つめないでおくれよと言い出す。
こいつ、うっかり盗賊に攫われてくれないかな。怖い思いをした辺りで先生が助けに来てくれればいいから。
貴族生徒の中にこんな男がいたら、そりゃあ平民生徒も暴動くらい起こすわよ。
私とメラニーさんは、あのバカに下手に絡まれないように、先に決める権利を譲ると、すごく気分がよさそうに一番短いルートを選んで班員たちのところに戻っていきました。
「さてと、メラニーさんはどのルートにしますか?」
「私ですか? そうですね、無難なのはこの少し遠回りの道ですね。回り道になっているせいで時間もかかりますが、周辺に隠れる場所がなく地平線まで見える道ですので、襲われる危険性はほぼないです」
なるほど、彼女は地図だけじゃない。実際にこの道を利用したことがある経験者だ。
「でしたらその道はお譲りしますので、私達の班の道を決める相談に乗ってくれませんか?」
「え? 私がですか? 良いのですか? 信用できるのですか?」
彼女は自分が平民である以上に、裕福な暮らしをしているせいで貴族からも嫌われていることを承知している。
「信用していなければ、貴女の家に我が国最大の商会は任せられないわ。貴女はその会長の娘です」
そしてメラニーさんは複数ある道の中から、岩場を回り道するルートを指さした。
「どの道も危険と隣り合わせですが、こちらの道なら、少なくとも左側を警戒する必要がありませんので、他よりは警戒が楽かと」
「…………つまり右側からいつ襲われてもおかしくないってことね。ご忠告ありがとう」
「申し訳ありません」
「気にしないで。私達は強いから」
私達はお互いの班に戻って、決めたルートを報告し合う。
ラクダに乗って八人で移動するのかと思えば、各班それぞれ先生方引率してくれるらしい。私達の班はアンヌ先生がやってきた。
先生はあくまで監視というころで私達より少し離れた場所からついてくるらしい。
基本的に移動する順番はミゲルを先頭にして両サイドにジョアサンとリビオ。内側に女子四人で後方をオリバーがついてきて、アンヌ先生はオリバーより更に後ろという陣形で移動しました。
しばらく歩いていると、メラニーさんが言っていた通りの左側は見晴らしがよいのに、右側は岩場などの死角の多い道にでました。
確かに右側からの奇襲が用意な道ですね。
「オリバー? 貴方だけ左側を警戒してくれるかしら?」
「いいでしょう。俺も同意見です」
幻惑魔法を見抜けるのは、更に上位の幻惑魔法使いだけ。それでも時間がかかりますが、違和感は感じられます。
私がもし盗賊だとしたら、魔法を使って奇襲する。つまり、見晴らしが良い場所からいきなり襲われる可能性もある。
それを承知で私はメラニーさんを両サイド見晴らしのいい道を選ばせました。何故なら彼女もそれなりの幻惑魔法を使えるからです。
私達は危険を承知でラクダを歩かせました。
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