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115話 ラクダリレー開幕
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第一走者であるカトリーヌさんとメラニーさんのD班の第一走者であるカナリア色の髪の男子生徒が走り出します。
お二人含めた走者である私達は、全身にプロテクターのようなものを装着しています。
それから女子生徒もパンツスタイルで服装だけは乗馬服のようなものになっています。
コースは砂上を進んで行き、正面に見える大きな岩をぐるりと回って、ここに戻ってきたところで第二走者がスタートし始めます。
スタートの合図から数秒後、カトリーヌさんは何かを察して左手を正面よりやや左側、相手のラクダが進む先に向けます。
「波動魔法、波動」
カトリーヌさんが発射した波動は、ラクダの行き先の地面にぶつかり、大きな砂柱が立ち上がりました。
「付与魔法、筋肉強化」
このラクダリレーはただのリレーではありません。騎兵戦の演習も兼ねたもので、魔法による妨害も許されています。
怪我も魔法で何とかなるからと言って、やりすぎない様にと言われていますけどね。
D班のラクダが突然、筋肉質になり砂柱を勢いよく躱しました。そしてカトリーヌさんは一気に追い抜かれます。
「ちょっと!?」
以降はカトリーヌさんの射程から完全に抜けてしまい、大差をつけられたまま第一走者はD班が先に帰還。灰色の髪をした女子生徒の第二走者が走り出してしまいました。
そして遅れてカトリーヌさんが帰還し、入れ替わるようにミゲルを乗せたラクダが走り出しました。
「ごめんなさい!」
「気にしないで!」
ミゲルが走り出すと、すぐに魔法を唱え始めます。
「守護魔法、迷宮」
ミゲルの魔法によって無数の板状の結界が砂上に出現し、それは複雑な迷路を作り上げていました。
ミゲルの乗るラクダはスロープ状になっているバリアを登り、そのまま迷宮の上に更に床を作って悠々とコースを回ってきました。
ミゲルの到着と同時に結界が解除され、第三走者であるビルジニが出発します。
結界が解除された瞬間、D班第二走者の女子生徒の乗るラクダが急加速します。
「時空魔法、加速」
「おおっと? これは速いね。でも麗しの姫君を負け戦の将にはできなくてね。錬金付与魔法、煙幕《スモーク》」
ビルジニは手に持っていた何かに別の性質を加えて発煙筒のようなものを作り出し、それを向こうの第三走者が走り出す前に辺りにまき散らした。
錬金付与魔法とは、タグマウイ侯爵家に代々受け継がれる特赦な付与魔法でタグマウイ家の人間以外に教授することは禁止されている魔法だ。
乙女ゲームの公式設定では、万物に別の性質を付与ることで、全く別の物質に変換するという仕組みらしい。
D班も第二走者が到着し、第三走者である黄色に近い黄緑色の髪の男子生徒が走り出した。
そしてD班第三走者は煙幕と足場の悪い砂場にやられ、明後日の方向に走り出してしまっていました。
ビルジニは煙を迂回して第四走者であるリビオが走り出します。
「ごめんね? 姫君を勝たせるためなら、僕は卑怯と罵られても受け入れるよ」
「お疲れ様、ビルジニ」
向こうは折り返しも行っていない第三走者。こちらは第四走者。差がついてきましたね。
互いに状態魔法をかけ合い足を引っ張り合いましたが、差が埋まることはなく先にD班の第三走者が帰還。
第四走者の菫色の髪の女子生徒のラクダが走り出しました。
「幻惑魔法、魅了」
彼女は帰還間際のリビオに対して幻覚を見せ始めます。
「何してんのよ!?」
リビオに魅了をかけられ、いの一番に反応するカトリーヌさん。魔法だから! 魔法だから怒らないでね!!
「私と一緒にゴールしてくださいますか?」
「お供します」
そしてリビオはD班の第四走者と一緒にもう一度大きな岩をぐるりと回っていってしまいました。なにやってんのよあのバカ。
お互いの第四走者が同時にゴールし、こちらは第五走者として、ジャンヌさんが出発。
相手は赤毛の髪の男子生徒だ。
「へ! 俺の相手は姫様の犬かよ」
「はい! よろしくお願い致します!!」
ジャンヌさん。それ嬉しそうに返事しちゃダメな奴。
「「波動魔法、波動」」
お互いが波動魔法をぶつけ合いますが、当然ジャンヌさんの波動は輪ゴムでっぽう程度の威力しかない為、一瞬で撃ち負けます。
その攻撃がラクダにぶつかってしまい、こちらの方が遅れてしまいました。
「うわわわっと!? えっと、波動魔法、按摩」
ジャンヌさんがラクダの四肢をゆっくり撫でなら、微弱の波動を送り込みます。ジャンヌさんを乗せたラクダは徐々に元気になり、少しずつですが距離を詰め始めました。
そのまま第五走者はD班が先に到着し、ジャンヌさんも速度を上げつつも、後れを取り返すことはできませんでした。
第六走者はD班のまた同じ赤毛の女子生徒だ。
「口の悪い兄が失礼致しました。ですが、こちらも負けません」
こちらは彼女に遅れる形でジョアサンが出発する。
「回復魔法、治癒」
ジョアサンは相手のラクダに対してあえて治癒を行いました。
「え?」
急に元気になったラクダの勢いにより、赤毛の女子生徒はコントロールが効かなくなり、しばらくその場でラクダを落ち着かせるために足を止めました。
その隙にジョアサンがリードします。
しかし、体制を立て直した女生徒のラクダは、治癒により元気になったため、他のラクダより速く走り出し、ギリギリこちらが先に到着しましたが、第七走者はほぼ同時にスタートすることになりました。
こちらの第七走者はオリバー。向こうの走者は明るい茶髪の男子生徒だ。
「守護魔法、泡」
泡のような形をした結界に、オリバーはラクダごと包まれますが、彼は一切焦った表情を見せません。
「余裕ぶりやがって!」
そして泡に包まれたオリバーをおいて、男子生徒は走り去っていきました。
ですが私たちも焦る様子はない。オリバーはごくまれに、あえて詠唱省略をして魔法名を口にしますが、彼は十代で詠唱破棄ができる数少ない人間です。
予想通り、泡の中にいたオリバーが突然、崩れ去るように消えると、ゴールにはすでに本物のオリバーが到着していました。
「さてと、リードしたのですから、後はお願いしますね」
「わかっているわよ」
私のラクダはメラニーさんより早くスタートすることに成功しました。
お二人含めた走者である私達は、全身にプロテクターのようなものを装着しています。
それから女子生徒もパンツスタイルで服装だけは乗馬服のようなものになっています。
コースは砂上を進んで行き、正面に見える大きな岩をぐるりと回って、ここに戻ってきたところで第二走者がスタートし始めます。
スタートの合図から数秒後、カトリーヌさんは何かを察して左手を正面よりやや左側、相手のラクダが進む先に向けます。
「波動魔法、波動」
カトリーヌさんが発射した波動は、ラクダの行き先の地面にぶつかり、大きな砂柱が立ち上がりました。
「付与魔法、筋肉強化」
このラクダリレーはただのリレーではありません。騎兵戦の演習も兼ねたもので、魔法による妨害も許されています。
怪我も魔法で何とかなるからと言って、やりすぎない様にと言われていますけどね。
D班のラクダが突然、筋肉質になり砂柱を勢いよく躱しました。そしてカトリーヌさんは一気に追い抜かれます。
「ちょっと!?」
以降はカトリーヌさんの射程から完全に抜けてしまい、大差をつけられたまま第一走者はD班が先に帰還。灰色の髪をした女子生徒の第二走者が走り出してしまいました。
そして遅れてカトリーヌさんが帰還し、入れ替わるようにミゲルを乗せたラクダが走り出しました。
「ごめんなさい!」
「気にしないで!」
ミゲルが走り出すと、すぐに魔法を唱え始めます。
「守護魔法、迷宮」
ミゲルの魔法によって無数の板状の結界が砂上に出現し、それは複雑な迷路を作り上げていました。
ミゲルの乗るラクダはスロープ状になっているバリアを登り、そのまま迷宮の上に更に床を作って悠々とコースを回ってきました。
ミゲルの到着と同時に結界が解除され、第三走者であるビルジニが出発します。
結界が解除された瞬間、D班第二走者の女子生徒の乗るラクダが急加速します。
「時空魔法、加速」
「おおっと? これは速いね。でも麗しの姫君を負け戦の将にはできなくてね。錬金付与魔法、煙幕《スモーク》」
ビルジニは手に持っていた何かに別の性質を加えて発煙筒のようなものを作り出し、それを向こうの第三走者が走り出す前に辺りにまき散らした。
錬金付与魔法とは、タグマウイ侯爵家に代々受け継がれる特赦な付与魔法でタグマウイ家の人間以外に教授することは禁止されている魔法だ。
乙女ゲームの公式設定では、万物に別の性質を付与ることで、全く別の物質に変換するという仕組みらしい。
D班も第二走者が到着し、第三走者である黄色に近い黄緑色の髪の男子生徒が走り出した。
そしてD班第三走者は煙幕と足場の悪い砂場にやられ、明後日の方向に走り出してしまっていました。
ビルジニは煙を迂回して第四走者であるリビオが走り出します。
「ごめんね? 姫君を勝たせるためなら、僕は卑怯と罵られても受け入れるよ」
「お疲れ様、ビルジニ」
向こうは折り返しも行っていない第三走者。こちらは第四走者。差がついてきましたね。
互いに状態魔法をかけ合い足を引っ張り合いましたが、差が埋まることはなく先にD班の第三走者が帰還。
第四走者の菫色の髪の女子生徒のラクダが走り出しました。
「幻惑魔法、魅了」
彼女は帰還間際のリビオに対して幻覚を見せ始めます。
「何してんのよ!?」
リビオに魅了をかけられ、いの一番に反応するカトリーヌさん。魔法だから! 魔法だから怒らないでね!!
「私と一緒にゴールしてくださいますか?」
「お供します」
そしてリビオはD班の第四走者と一緒にもう一度大きな岩をぐるりと回っていってしまいました。なにやってんのよあのバカ。
お互いの第四走者が同時にゴールし、こちらは第五走者として、ジャンヌさんが出発。
相手は赤毛の髪の男子生徒だ。
「へ! 俺の相手は姫様の犬かよ」
「はい! よろしくお願い致します!!」
ジャンヌさん。それ嬉しそうに返事しちゃダメな奴。
「「波動魔法、波動」」
お互いが波動魔法をぶつけ合いますが、当然ジャンヌさんの波動は輪ゴムでっぽう程度の威力しかない為、一瞬で撃ち負けます。
その攻撃がラクダにぶつかってしまい、こちらの方が遅れてしまいました。
「うわわわっと!? えっと、波動魔法、按摩」
ジャンヌさんがラクダの四肢をゆっくり撫でなら、微弱の波動を送り込みます。ジャンヌさんを乗せたラクダは徐々に元気になり、少しずつですが距離を詰め始めました。
そのまま第五走者はD班が先に到着し、ジャンヌさんも速度を上げつつも、後れを取り返すことはできませんでした。
第六走者はD班のまた同じ赤毛の女子生徒だ。
「口の悪い兄が失礼致しました。ですが、こちらも負けません」
こちらは彼女に遅れる形でジョアサンが出発する。
「回復魔法、治癒」
ジョアサンは相手のラクダに対してあえて治癒を行いました。
「え?」
急に元気になったラクダの勢いにより、赤毛の女子生徒はコントロールが効かなくなり、しばらくその場でラクダを落ち着かせるために足を止めました。
その隙にジョアサンがリードします。
しかし、体制を立て直した女生徒のラクダは、治癒により元気になったため、他のラクダより速く走り出し、ギリギリこちらが先に到着しましたが、第七走者はほぼ同時にスタートすることになりました。
こちらの第七走者はオリバー。向こうの走者は明るい茶髪の男子生徒だ。
「守護魔法、泡」
泡のような形をした結界に、オリバーはラクダごと包まれますが、彼は一切焦った表情を見せません。
「余裕ぶりやがって!」
そして泡に包まれたオリバーをおいて、男子生徒は走り去っていきました。
ですが私たちも焦る様子はない。オリバーはごくまれに、あえて詠唱省略をして魔法名を口にしますが、彼は十代で詠唱破棄ができる数少ない人間です。
予想通り、泡の中にいたオリバーが突然、崩れ去るように消えると、ゴールにはすでに本物のオリバーが到着していました。
「さてと、リードしたのですから、後はお願いしますね」
「わかっているわよ」
私のラクダはメラニーさんより早くスタートすることに成功しました。
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