BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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119話 どうしても放っておけなくて

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 私の疲れを癒すために、ジョアサンが回復魔法をかけながら小声で話かけてきました。

「お疲れ様です。貴女の場所は黒い靄が突然道案内をしてくれましてね」

「…………通りで助けに来ないと思ったら」

「理由はあとで本人に聞いてくださいね」

「そうさせて貰うわ」

 アンヌ先生が結界を張り、ミゲルとD班の守護魔法使いが補佐をします。

 ビルジニとBクラス担任の先生も付与魔法で術者の支援をしていますが、周囲からの止まない攻撃を耐えるので精いっぱいでした。

「このままではいけませんねぇ~」

 私達は完全に囲まれてしまい、せめて入り口側にいる男たちだけでも倒せればよいのですが、ほとんどが学生。抜け出したところで必ず追いつかれる。

 つまり、ここで誰か一人囮になる必要がある。

「他の学園の職員はどちらに?」

「それはですねぇ~。皆様強制送還で出払っていましてぇ~。あとはCクラス担任のナタリー先生を捕縛しているので、ここに来れる戦力が生徒だよりになってしまいましてねぇ~。まあ、本人たちの希望もありましたしぃ~。同意書もありますから最悪の場合、学園が責任を取ることはありませんのでぇ~」

 書類にサインする時は、気軽にやっちゃだめね。命を軽々しく扱われすぎるわ。

 でも、そっか。みんな、自分の意思で私を助けに来てくれたんだ。そっか、それはちょっと…………いえ、かなり嬉しいかもしれませんね。

「カトリーヌさん! 波動魔法で道を作るわよ! そこの二人も!!」

「わかったわ。並びなさいシェヴァルメ兄妹」

「うす」「はい」

 私はカトリーヌさんとD班の赤毛の双子をお呼びしました。この二人は同じAクラスの生徒で波動魔法使いです。ラクダリレーでも波動魔法を使っていたし、問題ないでしょう。

「ミゲル! 入り口側の結界だけ解除して」

「了解」

 そしてジャンヌさんと結界を張っているアンヌ先生を除いた波動魔法使いが並びます。

「「「「波動魔法、波動ウェーブ!!」」」」

 四人の波動が重なり合い、巨大な波動になって轟音を響かせながら、正面にいた人たちをなぎ倒した。私は【緑】のワンダーオーブの力で魔力量が増えている為、他の皆様とは段違いの威力を出してしまい、カトリーヌさん含めて全員が一度私の方を見ます。

「貴女殺す気?」

「そ、そんな訳ないでしょ? 走りますわよ! 時空魔法、加速アクセル

 私はこの場にいた全員の時間を早めます。そして勢いよく出口に向かって走りましたが、それでも残りの敵が追ってきました。

 洞穴の出口まで来たところで、アンヌ先生だけが立ち止まった。

「守護魔法、城壁キャッスルウォール

「え?」

 そんな守護魔法だけじゃ足止めにもならない。…………いえ、先生は今どこでそれを発動した。

 私達と先生の間に、青白い光が差し込みます。互いを視認できる状態から、徐々に城壁らしきものが透過度を落としながら出現し始めます。

「それでは皆さぁ~ん。ルイ先生と一緒に逃げてくださいねぇ~」

「アンヌ先生!!」

 城壁は男たちの隠れ家となる洞穴を覆う様に形成される。アンヌ先生はその内側に残って、こちらに向かってニッコリと微笑んだ。

 まだ魔法形成に時間がかかり、向こう側が見える。

 追いついてきた男たちに向かってアンヌ先生はいつもの口調とは少し違う雰囲気で喋り始めた。

「さてさて。ブラン王国王立魔法学園学園主任兼Aクラス担任兼魔法省第三位兼王国騎士団第七部隊特殊任務実行隊長アンヌ・ド・モローが、ここを死守致します。どうかあと一歩踏み込む時は命のご覚悟をしてください」

 そして最後の最後。城壁が完全に出来上がる目前で、アンヌ先生は振り返ってニッコリと笑いました。

 私はミゲルとジョアサンに肩を掴まれてBクラス担任のルイ先生の指示に従って全員で街まで戻りました。

 そして日が暮れてもアンヌ先生が戻ってくることはありませんでした。

 夜、私は女子四人の部屋に戻っても、どうしてもアンヌ先生のことが気になって仕方なく、全員が寝静まったことを確認して一人こっそりと外に出ました。

 そして路地裏に向かうと、呼ばれることを見越した男が、黒い靄を象ってここに現れました。

「話が早いわ。行きましょう?」

「助けに行くのか?」

「ええ」

「ワンダーオーブが手に入るのか?」

「全く持って関係ないわ」

「だったら手を貸せない」

「貴方が手を貸さないなら、私一人で行くわ」

「…………」「…………」

 私とブランクは互いを見つめ合います。そして先にため息を吐いたのはブランクでした。

「分かったわかった。その代わり。早く集めてくれよ」

「それは当然よ」

 私たちは地面に突然浮かび上がった魔法陣の上に立ちました。お忍びで建国祭にでかけた時以来ね。

「これ、懐かしいわ」

「まだ覚えていたんだ」

「ええ、素敵な思い出よ」

 そういって二人で魔法陣の光を浴びます。その瞬間、何かが勢いよく突進してきて、私達と何かは先ほどの洞穴に転移してしまいました。
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