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122話 遠征後の生活
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魔法遠征が終わった直後、学園はしばらく休校になってしまいました。
早くワンダーオーブを手に入れなければならない私にとっては都合が悪いことですが、今回のCクラス担任の裏切りにより、現在学園内ではその他の職員の身辺調査が行われているみたいです。
ついでに新任の先生まで探すことになっているみたいですが、時空魔法と幻惑魔法に適性があって裏切りの可能性が低い身元のしっかりしている人なんてそこらにいる訳ないじゃない。
時空魔法というのは、私やアレクシスが得意とする魔法で、基本は時間そのものに影響を与えるものですが、空間を圧縮したり空間の固定したりと、上位の術者であれば、空間そのものに影響を与えることも可能です。
魔法遠征で使用した魔力を注げば三分関わらず鎧になる指輪は、有事の際にと全生徒に配られたままになりました。
これも時空魔法で鎧の存在する空間を、指輪の形に歪めた者らしいです。私は精々、小規模の範囲で時間を操るのがやっと。
そして幻惑魔法とは、主にオリバーが使う魔法ですね。五感に影響を与える魔法で、いわゆる幻覚作用を再現した魔法です。
術者のレベルが高いと、痛覚まで再現できるとか本当に恐ろしい魔法でもあります。
魔法の中でも、この二つが双方共に使える人間はいわゆるエリートと呼ばれ、一応私もそれに該当しますが、公にはしていませんので、他人にそう呼ばれることはありません。
とにかく学園側の都合で休校なのは一向に構いませんが、それよりも私は自室の片隅で待機している人間に視線を向けます。
緑色の髪のガタイの良い男は、ヘルメットだけ脇に抱えて、ガシャンガシャンと歩くたびに音が鳴る鎧を来て突っ立っていました。
「ここまでしなくてもいいのに」
「いえ、国王陛下からのご命令でして」
「でもね、わざわざ私一人の護衛に騎士団長を呼び出してほぼ一日中待機させておくなんてもったいないわ」
そう、ジェラールの命令により、騎士団長であるガエル・エル・ラピーズと副団長の男。それから先日の遠征で初めて知りましたが、騎士団にも所属しているアンヌ先生が交代しながら私の護衛をしているのです。
ガエルは騎士団長を務めながらも、領地を持った伯爵でもある。当然、忙しい身のわけで、こんなことで拘束してしまうのが非常に申し訳ありませんでした。
「せめて姫様の護衛は王宮では一人。外では騎士団の中でも班長以上の人間が三人と決められています」
「過剰防衛よ」
「ですが、取り調べに寄れば奴らは姫様を選んで連れ去ろうとし、まだ主犯格が捕まっていません」
ガエルの言うことはもっともだ。しかし、こうも縛られてしまえば、私はどこにもいけないし、何より就寝時も見張りがいる為、ブランクを呼ぶこともできない。
しばらくしてミゲルが遊びに来てくれました。
「クリスティーン姫、遊びに来ました。それから父上、これ母上から」
「おうミゲルか。悪いな」
ミゲルとガエルが一緒にいるわね。この二人は親子ですが、乙女ゲームに登場していた頃の若いガエルのようなぐいぐい来る感じをミゲルは持っていません。
思えば、乙女ゲームの主人公は伯爵令嬢でガエルも伯爵令息。一方私は姫で、ミゲルは父親同様の伯爵令息。
同じ親子でもヒロインに対するガエルのような行動を、ミゲルが私にするわけないのよね。
ミゲルはガエルに届け物をして、そのついでに私に会いに来たようです。
私はスザンヌにお茶の用意をして貰うと、ミゲルと二人でテーブルを囲みました。
「貴方も食べなさいガエル。スザンヌ、ガエルの分も淹れて頂戴」
「畏まりました」
「いやぁ俺はいいって」
「じゃあ、毒味して頂戴」
「…………そういうことなら」
ガエルは渋々焼き菓子と紅茶を口に運びます。当然、毒なんか入っていない焼き菓子と紅茶を美味しそうに頂いています。
「姫様はお優しいのですね。護衛をしている父にまで分けて頂くなんて」
「騎士団長という肩書を貰っているのに、こんな退屈な護衛に付き合せているのですから当然です」
幼い頃に父、ジェラールの攻略に成功した証でもありますが、少し子供が大好きなお父さんにしすぎてしまいましたね。
遠征から帰ってきた日も、エリザベートが私をぎゅっと離さなかったり、ジェラールが生活空間のそのほとんどに騎士を配置してしまったりと大変でした。
何も知らない弟のジルだけは、久しぶりに帰ってきた姉に今日の出来事を笑顔で報告されたことが、唯一の癒しでした。
「それにしても退屈ね。ミゲルは休校中は何をしていらしたのかしら」
「僕ですか? 騎士団に通って武器の扱いを覚えたり、久しぶりにレイモン先生のところに行って、リビオと一緒に魔法の修行をつけて貰いました」
レイモン先生のところに行って魔法の修行? それ、私は呼ばれていないのですが、王宮内の出来事ですよね?
「姫様は?」
「そうね、最近では鎧の音で騎士の体格がわかるようになったわ」
「…………」「…………」「…………」
その場にいたミゲルとガエル。スザンヌは私のウィットに富んだジョークで永久凍土に出かけた気分を味わっているような表情になりました。
「冗談よ。でもそうね。基本は部屋から出れないし、退屈な日常よ。こうしてたまにミゲルやリビオ。ジョアサンにアレクシス。それからカトリーヌさんが遊びに来てくれるだけマシね」
休校になってから私は一度もジャンヌさんにあっていない。それから遊びに来るだろうと思っていたビルジニもです。
今度、二人には手紙でも出そうかしら。ブランクも中々呼べなくなりましたし、早く休校が終わって欲しいものだわ。それからこの暑苦しい監視もね。
早くワンダーオーブを手に入れなければならない私にとっては都合が悪いことですが、今回のCクラス担任の裏切りにより、現在学園内ではその他の職員の身辺調査が行われているみたいです。
ついでに新任の先生まで探すことになっているみたいですが、時空魔法と幻惑魔法に適性があって裏切りの可能性が低い身元のしっかりしている人なんてそこらにいる訳ないじゃない。
時空魔法というのは、私やアレクシスが得意とする魔法で、基本は時間そのものに影響を与えるものですが、空間を圧縮したり空間の固定したりと、上位の術者であれば、空間そのものに影響を与えることも可能です。
魔法遠征で使用した魔力を注げば三分関わらず鎧になる指輪は、有事の際にと全生徒に配られたままになりました。
これも時空魔法で鎧の存在する空間を、指輪の形に歪めた者らしいです。私は精々、小規模の範囲で時間を操るのがやっと。
そして幻惑魔法とは、主にオリバーが使う魔法ですね。五感に影響を与える魔法で、いわゆる幻覚作用を再現した魔法です。
術者のレベルが高いと、痛覚まで再現できるとか本当に恐ろしい魔法でもあります。
魔法の中でも、この二つが双方共に使える人間はいわゆるエリートと呼ばれ、一応私もそれに該当しますが、公にはしていませんので、他人にそう呼ばれることはありません。
とにかく学園側の都合で休校なのは一向に構いませんが、それよりも私は自室の片隅で待機している人間に視線を向けます。
緑色の髪のガタイの良い男は、ヘルメットだけ脇に抱えて、ガシャンガシャンと歩くたびに音が鳴る鎧を来て突っ立っていました。
「ここまでしなくてもいいのに」
「いえ、国王陛下からのご命令でして」
「でもね、わざわざ私一人の護衛に騎士団長を呼び出してほぼ一日中待機させておくなんてもったいないわ」
そう、ジェラールの命令により、騎士団長であるガエル・エル・ラピーズと副団長の男。それから先日の遠征で初めて知りましたが、騎士団にも所属しているアンヌ先生が交代しながら私の護衛をしているのです。
ガエルは騎士団長を務めながらも、領地を持った伯爵でもある。当然、忙しい身のわけで、こんなことで拘束してしまうのが非常に申し訳ありませんでした。
「せめて姫様の護衛は王宮では一人。外では騎士団の中でも班長以上の人間が三人と決められています」
「過剰防衛よ」
「ですが、取り調べに寄れば奴らは姫様を選んで連れ去ろうとし、まだ主犯格が捕まっていません」
ガエルの言うことはもっともだ。しかし、こうも縛られてしまえば、私はどこにもいけないし、何より就寝時も見張りがいる為、ブランクを呼ぶこともできない。
しばらくしてミゲルが遊びに来てくれました。
「クリスティーン姫、遊びに来ました。それから父上、これ母上から」
「おうミゲルか。悪いな」
ミゲルとガエルが一緒にいるわね。この二人は親子ですが、乙女ゲームに登場していた頃の若いガエルのようなぐいぐい来る感じをミゲルは持っていません。
思えば、乙女ゲームの主人公は伯爵令嬢でガエルも伯爵令息。一方私は姫で、ミゲルは父親同様の伯爵令息。
同じ親子でもヒロインに対するガエルのような行動を、ミゲルが私にするわけないのよね。
ミゲルはガエルに届け物をして、そのついでに私に会いに来たようです。
私はスザンヌにお茶の用意をして貰うと、ミゲルと二人でテーブルを囲みました。
「貴方も食べなさいガエル。スザンヌ、ガエルの分も淹れて頂戴」
「畏まりました」
「いやぁ俺はいいって」
「じゃあ、毒味して頂戴」
「…………そういうことなら」
ガエルは渋々焼き菓子と紅茶を口に運びます。当然、毒なんか入っていない焼き菓子と紅茶を美味しそうに頂いています。
「姫様はお優しいのですね。護衛をしている父にまで分けて頂くなんて」
「騎士団長という肩書を貰っているのに、こんな退屈な護衛に付き合せているのですから当然です」
幼い頃に父、ジェラールの攻略に成功した証でもありますが、少し子供が大好きなお父さんにしすぎてしまいましたね。
遠征から帰ってきた日も、エリザベートが私をぎゅっと離さなかったり、ジェラールが生活空間のそのほとんどに騎士を配置してしまったりと大変でした。
何も知らない弟のジルだけは、久しぶりに帰ってきた姉に今日の出来事を笑顔で報告されたことが、唯一の癒しでした。
「それにしても退屈ね。ミゲルは休校中は何をしていらしたのかしら」
「僕ですか? 騎士団に通って武器の扱いを覚えたり、久しぶりにレイモン先生のところに行って、リビオと一緒に魔法の修行をつけて貰いました」
レイモン先生のところに行って魔法の修行? それ、私は呼ばれていないのですが、王宮内の出来事ですよね?
「姫様は?」
「そうね、最近では鎧の音で騎士の体格がわかるようになったわ」
「…………」「…………」「…………」
その場にいたミゲルとガエル。スザンヌは私のウィットに富んだジョークで永久凍土に出かけた気分を味わっているような表情になりました。
「冗談よ。でもそうね。基本は部屋から出れないし、退屈な日常よ。こうしてたまにミゲルやリビオ。ジョアサンにアレクシス。それからカトリーヌさんが遊びに来てくれるだけマシね」
休校になってから私は一度もジャンヌさんにあっていない。それから遊びに来るだろうと思っていたビルジニもです。
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