BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

文字の大きさ
130 / 228

126話 みんなが私を護りたいように

しおりを挟む
 ジャンヌさんとみんなと会話してから更に三日。

 みんなはめっきり私の所に来なくなってしまいました。

 唯一、王宮に住んでいたリビオでさえ、最近はこちらに帰らずに外泊をしているとレイモンから聞いています。

 みんなは別に私に怒っていたわけではない。みんなが本当に怒っていたことは、どうして自分に頼ってくれなかったのか。どうして自分だけが戦おうとしていたのか。きっとそこだろう。

 そうでなければ、私の代わりに戦おうとなんてするはずがない。利用してきただけのあいつだけが戦えばいいと思われるはずだ。

「愛されていたのかな。友として。それとも、私が姫だから?」

 私の問いに答えてくれる人はいない。過剰防衛の騎士達は呟きが聞こえないくらいの距離にいて、スザンヌは黙って傍に控えている。

 ですが、みんながアリゼとの最終決戦のことを知ったと言うことは逆に好都合なのではないでしょうか。

 これから先ワンダーオーブを手に入れることについて、みんなに直接そう言って連れていけるのよね。その為には、説得も必要になりますが。

 ジョアサンやリビオの時のように回りくどい説明も不要。問題は、誰が【黄】のワンダーオーブの入手方法を知っていたのか。これが問題なのよね。

 無難に考えれば、私以外の転生者の存在よね。

 そしてもう一つ。三か月も月日が経過してもあの時、ジャンヌさんの手元には【黄】のワンダーオーブしかなかったということ。

 全員が事情を理解していて、同意の上であれば、もっと早く集めることができたはず。

 それをしなかったということは、他のワンダーオーブの入手する条件を把握しきっていない。もしくは、その条件を揃えることができていない。

 例えば、私同様、ワンダーオーブの入手スポットを捜索中とか。

 或いはそもそもジャンヌさんの魔力量が足りず、やっとビルジニを超えたから【黄】のワンダーオーブだけ入手したとか。

 となると次は魔力量でいえば、ミゲルね。ですが、【橙】のワンダーオーブを手に入れるには勇気を示すこと。運よくイベントが起きると考えにくい。

 もしかしたら、ジャンヌさん達が先に手に入れようとしているワンダーオーブは【青】の方かもしれません。

 どちらにせよ、あの場にオリバーがいなかったことだけが気になります。単純に帰国していなかったからいなかったのか。それとも、話を聞いた上で、ジャンヌさんとの協力関係を断ったのか。

 あるいは、話を一切聞いていないのか。

 学園の休校はもうじき終わることをアンヌ先生から伺っています。

 新任の先生も決まり、内部の職員の経歴も洗い直し終わったそうです。私は、オリバーに向けて手紙を書き、王宮に招待することにしました。

「いいわ、ブランクにジャンヌさん。それからみんな。どんな運命が待っていても、必ずこの王国は守り抜く」

 まずは私の味方を作りましょう。向こうは六人もいます。こちらは今の所私とスザンヌだけ。…………。

「スザンヌ」

「何でしょうかお嬢様」

「これから信じられない話をしてもいいかしら?」

「…………はぁ。構いませんが」

 私は、私が転生者であるという事実を除いて、説明できる限りでスザンヌに現状とこれからのことを説明しました。

 どうしてアリゼのことやワンダーオーブのことを知っているかは、はぐらかしましたが、彼女はため息を吐くと、私は姫様の従者ですから、それが絵空事でも構いません。と、答えてくれました。

「ありがとうございます」

「しかし、そのブランクとかいう魔術師。姫様の部屋に無断で出入りしていたのですよね」

「え? ええ、そうなるわね」

 スザンヌはどうやら、私よりもブランクに対してお怒りの様子。

「貴女は私が戦うことに反対ではないのですか?」

「反対ですよ? ですが、それ以上に姫様を信じています。それだけ事情を把握した上で、なお貴女が戦うというのであれば、私は貴女を支えるだけです」

「ありがとうスザンヌ。貴女は最高の仲間よ」

「大丈夫です。姫様を死なせたくない人たちは、向こうの皆様も一緒です。彼らは敵ではありません。貴女が後ろに下がらないから、彼らは更に前に出る。姫様はそれだけを理解してください」

 私が前に出ようとするから、皆は私を護る為にもっと前に出てしまうか。確かに、彼らにとって王国の姫であり、幼馴染の私は護りたいと思える人間になるわよね。

 ジャンヌさんなんてお人よしすぎて、初対面の人でも楯になろうとするんだろうな。

「ふふ」

「何がおかしいのですか?」

「何もおかしくないわ。一人で悩んでいたけど、悩む理由なんてなかったってことよ。みんな私が大切で、私もみんなが大切でだから、皆が私を護るように、私もみんなを護る」

 そのためにはまず、背中を預けられる仲間を集めなくてはいけませんね。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処理中です...