BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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134話 時空魔法使いの激突

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 第一ブロック第三試合四本目。五対二の状況。私が三点リードしている状態。

 私は息を整えてから槍を握る。アレクシスがしかけてくるとしたら、まず間違いなくここでしょう。

 なぜなら、彼がここで私を初戦敗退にしてしまえば、全員の賭けが負けることはない。

 つまり、私と違って出し惜しみする理由がない。だからこそ、私は先ほどアレクシスの魔法を使うタイミングより早く。アレクシスに遅延スローをかけました。

 警戒すべきは、やはり時空魔法。特に時間操作系は何が飛ばされてきても負けに繋がる。

 そして私は勝ち進むためには、せめて一つは魔法を温存したい。

 つまり、この試合は魔法を捨ててやられに行く。可能な限り防御を優先すれば、最高点の五点は取られないでしょう。

 スタートの合図と共に、私とアレクシスの馬が走り始めます。

「時空魔法、ディストーション

「え!?」

 アレクシスの使用した魔法は時空魔法の中でも、高位の空間操作系魔法。空間を自在に捻じ曲げる高位の魔法です。

 それを私とアレクシスの槍がかち合う空間に使用されてしまいました。

 私の槍先は明後日の方向を向き、アレクシスの槍先はうねりながらも私のヘルメットに直撃してしまいました。

「アレクシス! 五点!」

 スコアボードの点数は、五対七。アレクシスにあっさりと逆転を許してしまいました。

「クリスティーン姫。次が最後です」

「まだ三点差よ。私はまだ負けていないわ」

 私達は互いのスタート地点に戻ります。まずいわね。二点差。四肢や武器破壊ではどちらにせよこちらの負け。

 胴か頭部で私の勝ち。しかし、アレクシスは最悪私に槍を突かなくても、胴か頭部を守り切れば勝ち。

 切り札は取っておくとして、もう一つの魔法は解放するしかありませんね。

 私は登録している魔法のうち、二つ目の使用を決めました。アレクシスはこの勝負であと二回魔法を使ってくる可能性があります。

 この試合中に最後の一個を使う余裕があるとは思えませんので、実質あと一回。

 開始の合図と同時に私とアレクシスの馬が走り始めます。
 
「時空魔法、加速アクセル

 開始と同時にアレクシスが加速を使用。いつもかち合っていた地点を一気に駆け抜けました。速い! でもまだいける。

「状態魔法、麻痺パラライズ

 状態魔法!? この五本目で二回も魔法を使用してくるなんて!? 私の両腕は完全に麻痺してしまい、槍から手が離れてしまいました。

 勝ちを確信したアレクシスは、念のため、私に槍を向ける。

「時空魔法、逆再生リバース

 私と馬、そして私の槍の時間が戻る。アレクシスは勝ちを確信して突いた槍は、空振り槍を突いた姿勢のまま走ってきた。

 時間の戻った私はスタート地点付近まで戻ったところで解除。

 麻痺もなかったことになり、手元には槍がある。そしてそのまま無防備なアレクシスの胴に槍をぶつけた。

「クリスティーン! 三点! 第一ブロック第三試合、アレクシス・ドゥ・クレメンティエフ対クリスティーン・ディ・フォレスティエ! 勝者、クリスティーン!!」

 会場からワーキャーと歓声が聞こえます。私がヘルメットを脱ぐと、同様にヘルメットを脱いだアレクシスがこちらに近づいてきました。

「見事です。魔法を三つ使用して負けた。完敗と言っていいでしょう」

「貴方が状態魔法を使ったところなんて初めて見たから、ヒヤッとしたわ」

 使えることは知っていましたが、本当に使ってくるとは思ってもいませんでした。

「第一ブロック以外の試合結果ってわかるのかしら」

「ああ、開錠が別ですてからね。姫様は次の試合もあるでしょうし、俺が見てきますよ」

「お願いするわ」

 とにかく、これで【青】のワンダーオーブを一緒に取りに行く約束が成立ね。他のみんなも初戦敗退してくれないかしら。

 第一ブロック第四試合。知らない生徒たちがかち合っている最中にアレクシスが私の元にやってきました。

「どうでしたか?」

「第二ブロックはジャンヌ君とジョアサンが勝ち進んでいましたね。それからご友人のカリーナ公爵令嬢も二回戦に進出しています」

 三人とも勝ち進んだのね。トーナメント表通りなら、ジャンヌとジョアサンが試合するはず。

 この場合、私より勝ち進めなかった方の賭けは勝ちでいいのかしら。私が絶対得をするってそれはそれでおかしい気がするのよね。

「他のブロックは?」

「第三ブロックのミゲルも勝ちました。あとはオリバー皇子もですね。第四ブロックのビルジニ、リビオも初戦は取っています」

 みんな勝ち進んだのね。まあ、予想通りと言えば予想通りよ。

「それからジャンヌ君から提案がありましたが、ジョアサンとジャンヌ君の試合結果はどちらが勝っても賭けに直接影響なく、二人が勝ち進んだとして、改めて君との試合で掛けをしたいそうです」

「……でもその次のブロックの決勝戦で負けた場合は、負けたタイミングを最終結果として私と競って貰いますからね」

 となると、私が第一ブロックで優勝して、なおかつカトリーヌさんが第二ブロックで優勝すれば、【白】と【藍】は私の物になるわね。

 そしてこの瞬間、二回戦の試合は負けられなくなったわ。

 ジャンヌさんとジョアサンの試合でお互いの賭けを引き継いで勝ち進むのなら、二人が試合をすることが決定した時点で三回戦まで戦績は進みます。

 この時点で私が二回戦敗退をした場合、【藍】の譲渡と学園追放が決定してしまいますわ。

 プレッシャーの中、何とか私は二回戦を勝利に収めました。しばらくしてアレクシスからジョアサンの敗退の知らせを聞きましたが、他の皆様は無事、勝ち進んでしまったみたいです。

 三回戦、各ブロック決勝は次の通りになりました。

 第二ブロック、ジャンヌさん対カトリーヌさん。

 第三ブロック、オリバー対ミゲル。

 第四ブロック、ビルジニ対リビオ。

 そして第一ブロック私の相手は知らない人でした。…………まあ、そうなるわよね。

 私が第一ブロックで優勝した前提で…………カトリーヌさんが勝てば【藍】と【白】の確保。オリバーが勝てば【橙】の入手を手伝って貰える。

 しかし、私が負けた場合、リビオとビルジニの戦いはどちらも引き継ぎになるから、【緑】を譲渡して【黄】は手に入らないことが決定する。

「アレクシス、ごめんなさいね。貴方は私を護ろうとしてくれたのに。でも、私は戦うって決めていたのよ。それこそ十年前からね。だから戦うわ。後ろには下がらないけど、隣には立たせてあげる」

「もうそのつもりですよ。貴族が正々堂々と戦って負けた。だったらそこで素直に従わないことの方が家の恥です。ですが、恥をかいてでも護ると決めたものもあります」

「…………? そうなのね。まあ、よくわかりませんが公爵家の跡取りなんですから易々と死地に向かってはいけませんよ?」

「貴女に言われるとは思いませんでした」
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