BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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135話 決勝トーナメント

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「クリスティーン! 五点! 第一ブロック最終試合、ダニエル・エル・クレマン対クリスティーン・ディ・フォレスティエ! 勝者、クリスティーン!!」

 第一ブロックの決勝戦。私は一学年上の先輩である幻惑魔法使いの生徒を見事打ち負かし、決勝トーナメントに進出しました。

 気が付けば私の試合の様子を見に来たジョアサンの姿もあります。

「あら? 応援?」

「いえ、敗北祈願ですね」

「そりゃそうよね。残念でした」

「…………他のみんなは?」

「まだ結果は届きませんよ。貴女みたいに圧勝とはいかない相手でしたから」

 ジャンヌさんはカトリーヌさんと戦って、ミゲルはオリバーと戦って、それからビルジニとリビオの試合。

 全部目を通したいところですが、試合のタイミングの都合で見に行けない。特にどんな魔法を使うかさえわかっていれば違うといいますのに…………。

「!? ジョアサンって私がどんな魔法を使うか知っていたりしますか?」

「ええ、時空魔法を二つ登録されていますよね」

 やはりか。まだ最後の切り札はこの試合では使用していない。それ以外バレていると言うことは、アレクシスがみんなに伝えているんだ。

 そりゃあ当然よね。私はみんなから見れば共通の敵。倒そうとするなら、使う魔法が共有されていてもおかしくない。

 私ができることは、カトリーヌさんとオリバーが勝つことを祈るだけね。

「えー、ただいますべてのブロックの最終試合が終わりました。これから、決勝トーナメント進出メンバーを発表します。第一ブロッククリスティーン・ディ・フォレスティエ!」

 私の名前が呼ばれ、周囲が歓声をあげる。近くにいた人たちが姫様頑張ってなどと声をかけてきた。

「第二ブロック、ジャンヌ・ド・バヴィエール」

 周囲の声が明らかに誰だ見たいな雰囲気で、私の時と打って変わって歓声らしいものは聞こえてきませんでした。

「第三ブロック、ミゲル・エル・ラピーズ」

 騎士団長の息子であり、ある程度知名度のあるミゲルに対しては、私の時ほどではありませんが、それなりに歓声を響かせました。

「そして第四ブロック、ビルジニ・ド・タグマウイ」

 ミゲルの時以上に黄色い歓声が響き渡ります。下手な貴公子より貴公子しているせいか、女子人気高いのねビルジニ。

 …………嘘でしょ。なんでみんな勝ち上がっているのよ。まあ、仕方ないか。

 決勝トーナメントの会場に行くと、私を待ち受けるようにカトリーヌさんがいました。

「悪かったわね。私と戦えなくて」

「本当ね。でも、貴女のせいじゃないわ」

「クリスティーン、貴女そんなに私と戦いたかったのね! ふん! つ、次は必ず貴女と一騎打ちをしてあげますわ」

 何か勘違いをされているようですが、カトリーヌさんが嬉しそうですのでそういうことにしておきましょう。

 嬉しそうに観戦席に向かったイノシシは放っておくとして、決勝トーナメント第一試合は第一ブロックと第二ブロックで勝ち進んだ二人。

 つまり、私対ジャンヌさんの試合と言うことになります。

「スザンヌ!」

「はい、お嬢様」

 私が呼ぶと、即座に背後からすっと現れる我がメイドスザンヌ。

「ジャンヌさんが使用した魔法を教えて頂戴」

「まずは波動魔法、閃光フラッシュ。これによって相手の視覚を妨害どころか、一本目で使用し、二本目三本目もしばらく目が痛いまま始まるそうです」

 いきなりえぐい魔法じゃない。光の波動魔法を使いこなしているようね。

「それから波動魔法、光熱フォートーサーマル。光によって熱を生み出す魔法ですね。これで鎧を蒸し風呂に変えてしまうそうです。いまのところジャンヌ・ド・バヴィエールが使用した魔法はこの二つです」

 彼女は間違いなく三つ目の魔法を温存している。てゆうか、どっちも使われたくないんですけど。

 相手の目つぶしに、熱による妨害。それで相手の実力を奪いつつ、自分は余裕で勝利するってことね。

 ジャンヌさんが考えなさそうな戦法ね。入れ知恵をするとしたら…………ブランクね。

「それではみなさぁ~ん! 決勝トーナメント第一試合。始まりまぁ~す」

 実況の声が響き渡ります。私は鎧を着てヘルメットをかぶり、最後に槍を受け取ります。

 向こうのスタート地点では、ジャンヌさんも準備を始めていました。

「決勝トーナメント第一試合。クリスティーン・ディ・フォレスティエ対ジャンヌ・ド・バヴィエール。試合開始!!!!」

 アンヌ先生の声と同時に私とジャンヌさんの馬が走り始めました。
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