141 / 228
137話 騎士を目指した少年
しおりを挟む
決勝トーナメント第一試合が終わると、周囲にはジョアサンとアレクシス。リビオにカトリーヌさん。それからスザンヌまでやってきました。
ミゲルとビルジニは次の試合の準備で来ていませんね。
「状態魔法って何ですか?」
最初に疑問をぶつけてきたのはアレクシス。
他のみんなも同様の疑問を持っていたみたいですね。
私の言葉を待っています。スザンヌにすら黙っていた秘密。
「私は一度も波動魔法と時空魔法”しか”使えないなんて言っていないわ。使える魔法は波動魔法と時空魔法ですとは言いましたけどね」
本当は、学園の催しの大会で使用することすら躊躇いました。
でも、負けられない戦いで使わない方が馬鹿。
本当にマズイ時でしたら、今までもタイミングを見て使うつもりでした。
でも、今までは陰で護っていてくれる人がいた。手を回してくれる人がいた。
私は、今どこにいるかもわからない、馬鹿な魔導士の姿を思い浮かべます。
「姫様…………」
後ろから私を呼ぶのは、心優しい少女の声でした。
「ジャンヌさん」
「私が影を使うと見越してあの魔法を?」
「違うわ。馬上槍大会で最も危険なのは視界を奪われること。幻惑魔法をはじめ、相手の視界を奪う手段は無数だわ。だから槍を投げれば必ず必中するあの魔法を登録したのよ」
波動魔法で視界を奪おうとしたのは、後にも先にも貴女だけでしょうけどね。
「そう…………ですか。視界を奪う技は、対策して当たり前なんですね」
別にそういう訳ではない。
私がこの状態魔法を知っていたのは、私の魔法の師がたまたま状態魔法に詳しい男だったから。
思えば私の魔法が大地に波動を送り込むものが多いのも、初めてレイモン先生に教わった派生魔法だからかもしれない。
さすがに三種類使えるだけでも稀代の魔術師と言われる世界。私は今日のこの瞬間、歴史に名を残してしまいましたね。
残りの守護魔法とかの使用は、しばらく温存かしら。
「決勝トーナメント第二試合。ミゲル・エル・ラピーズ対ビルジニ・ド・タグマウイ。試合開始!!!!」
観戦席に移動した私たちは、第二試合であるミゲルとビルジニの試合を眺めていました。
ミゲルは守護魔法の使い手。ビルジニは付与魔法の使い手。
馬上槍大会において、守護魔法使いは楯で防御をしたり、結界の足場を作って高所から頭部を狙ったりとした戦いが主流です。
それに対して付与魔法使いは、馬に跳躍力を付与して高所から突いたり、槍を鞭にしてしならせて攻撃をします。
どちらが厄介かしら。やっぱりビルジニ?
守護魔法って結局、壁を作ったり足場を作ったりでわかりやすいのよね。
そう思いながら始まる一本目。ビルジニが付与魔法で軟質化した槍を鞭のように使い、ミゲルに襲い掛かります。
ミゲルは馬上にも関わらず上体を大幅に傾け、ビルジニのしなる槍をかわし、即座に耐性を立て直して突き返しました。
「ミゲル! 三点!」
ミゲルの槍は見事ビルジニの胴体にヒットし、ミゲルが先制点を取得します。
てゆうか、何あの動き。ほぼ落ちるくらいまで体を傾けて回避? 危険にもほどがある。
そして続けて始まる二本目。既に魔法を使用済みのビルジニに対し、ミゲルは未使用。
「錬金付与魔法、鋼鉄化」
ビルジニが連続で魔法を使用。ビルジニが魔法を使ったのはミゲルの軽い金属製の鎧。
それが一気に重い金属製の鎧に変化させられてしまいました。一気に重さが加わり、乗っていた馬の速度も遅くなります。
しかし、肝心のミゲルの動きはさきほどとほとんど変わらず、重い鎧のままスムーズに体を動かし、ビルジニの頭部に槍をあてました。
「ミゲル! 五点!!」
上空に幻惑魔法で表示されたすこぼーどには、八対零の表記。
二本目にしてミゲルとビルジニには八点差。
更に言えれば、ミゲルはまだ一度も魔法を行使していません。
続く三本目。錬金付与魔法は付与魔法と違い、いつまでも効力が続きます。
解除するにも魔法の行使が必要の為、ミゲルは重い鎧を着たまま走り始めました。
しかし、それをハンデとすることなく、ミゲルは今まで通りの動きを維持し、そのままビルジニの胴に突きをいれてしまいました。
「ミゲル! 三点! 十一対零! よって決勝トーナメント第二試合、ミゲル・エル・ラピーズ対ビルジニ・ド・タグマウイ! 勝者、ミゲル!!」
三試合目にして十点以上の点差。この時点でビルジニの負けが確定したことを意味します。
結局、ミゲルは一度も魔法を行使することなく決勝進出。
「スザンヌ!」
「ええ、聞かれませんでしたので…………お察しの通り、ミゲル様はここに来るまでただの一度も魔法を使っていません」
…………情報ゼロってことじゃない。
ミゲルとビルジニは次の試合の準備で来ていませんね。
「状態魔法って何ですか?」
最初に疑問をぶつけてきたのはアレクシス。
他のみんなも同様の疑問を持っていたみたいですね。
私の言葉を待っています。スザンヌにすら黙っていた秘密。
「私は一度も波動魔法と時空魔法”しか”使えないなんて言っていないわ。使える魔法は波動魔法と時空魔法ですとは言いましたけどね」
本当は、学園の催しの大会で使用することすら躊躇いました。
でも、負けられない戦いで使わない方が馬鹿。
本当にマズイ時でしたら、今までもタイミングを見て使うつもりでした。
でも、今までは陰で護っていてくれる人がいた。手を回してくれる人がいた。
私は、今どこにいるかもわからない、馬鹿な魔導士の姿を思い浮かべます。
「姫様…………」
後ろから私を呼ぶのは、心優しい少女の声でした。
「ジャンヌさん」
「私が影を使うと見越してあの魔法を?」
「違うわ。馬上槍大会で最も危険なのは視界を奪われること。幻惑魔法をはじめ、相手の視界を奪う手段は無数だわ。だから槍を投げれば必ず必中するあの魔法を登録したのよ」
波動魔法で視界を奪おうとしたのは、後にも先にも貴女だけでしょうけどね。
「そう…………ですか。視界を奪う技は、対策して当たり前なんですね」
別にそういう訳ではない。
私がこの状態魔法を知っていたのは、私の魔法の師がたまたま状態魔法に詳しい男だったから。
思えば私の魔法が大地に波動を送り込むものが多いのも、初めてレイモン先生に教わった派生魔法だからかもしれない。
さすがに三種類使えるだけでも稀代の魔術師と言われる世界。私は今日のこの瞬間、歴史に名を残してしまいましたね。
残りの守護魔法とかの使用は、しばらく温存かしら。
「決勝トーナメント第二試合。ミゲル・エル・ラピーズ対ビルジニ・ド・タグマウイ。試合開始!!!!」
観戦席に移動した私たちは、第二試合であるミゲルとビルジニの試合を眺めていました。
ミゲルは守護魔法の使い手。ビルジニは付与魔法の使い手。
馬上槍大会において、守護魔法使いは楯で防御をしたり、結界の足場を作って高所から頭部を狙ったりとした戦いが主流です。
それに対して付与魔法使いは、馬に跳躍力を付与して高所から突いたり、槍を鞭にしてしならせて攻撃をします。
どちらが厄介かしら。やっぱりビルジニ?
守護魔法って結局、壁を作ったり足場を作ったりでわかりやすいのよね。
そう思いながら始まる一本目。ビルジニが付与魔法で軟質化した槍を鞭のように使い、ミゲルに襲い掛かります。
ミゲルは馬上にも関わらず上体を大幅に傾け、ビルジニのしなる槍をかわし、即座に耐性を立て直して突き返しました。
「ミゲル! 三点!」
ミゲルの槍は見事ビルジニの胴体にヒットし、ミゲルが先制点を取得します。
てゆうか、何あの動き。ほぼ落ちるくらいまで体を傾けて回避? 危険にもほどがある。
そして続けて始まる二本目。既に魔法を使用済みのビルジニに対し、ミゲルは未使用。
「錬金付与魔法、鋼鉄化」
ビルジニが連続で魔法を使用。ビルジニが魔法を使ったのはミゲルの軽い金属製の鎧。
それが一気に重い金属製の鎧に変化させられてしまいました。一気に重さが加わり、乗っていた馬の速度も遅くなります。
しかし、肝心のミゲルの動きはさきほどとほとんど変わらず、重い鎧のままスムーズに体を動かし、ビルジニの頭部に槍をあてました。
「ミゲル! 五点!!」
上空に幻惑魔法で表示されたすこぼーどには、八対零の表記。
二本目にしてミゲルとビルジニには八点差。
更に言えれば、ミゲルはまだ一度も魔法を行使していません。
続く三本目。錬金付与魔法は付与魔法と違い、いつまでも効力が続きます。
解除するにも魔法の行使が必要の為、ミゲルは重い鎧を着たまま走り始めました。
しかし、それをハンデとすることなく、ミゲルは今まで通りの動きを維持し、そのままビルジニの胴に突きをいれてしまいました。
「ミゲル! 三点! 十一対零! よって決勝トーナメント第二試合、ミゲル・エル・ラピーズ対ビルジニ・ド・タグマウイ! 勝者、ミゲル!!」
三試合目にして十点以上の点差。この時点でビルジニの負けが確定したことを意味します。
結局、ミゲルは一度も魔法を行使することなく決勝進出。
「スザンヌ!」
「ええ、聞かれませんでしたので…………お察しの通り、ミゲル様はここに来るまでただの一度も魔法を使っていません」
…………情報ゼロってことじゃない。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる