BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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148話 指名手配犯、赤銅のロマン

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 パレードの開始と同時に最前列の演奏隊を乗せた馬車が動き出します。

 その後に続くパフォーマンス隊。それから大量の護衛騎士に囲まれた国王に王妃。その後ろにでかい魔狼に乗った姫。

 私の後ろは見えないけど、多分護衛とかパフォーマンス隊がじゃらじゃら付いて来ていると思います。

 この時代ではろくな娯楽が存在しないため、老若男女問わず、人だかりができあがるようです。

 こういった行進がどの程度の娯楽に繋がるのかわかりません。でも、楽しそうに見に来ている人たちがいるならやる意味はあると思います。

 まあ、私は見世物の方なんですけどね。

 行進も進み、ウィルフリードの上から貴族席が視界に入りました。

 平民のぎゅうぎゅうな満員電車状態と見比べると、あちらは優雅なティータイム。

 花火大会の有料席みたいね。

 そう思いながら席を眺めていると、いつものみんなを見つけました。

 ミゲルは手を振り、他のみんなはこちらを見ていらっしゃいます。

 そんな中、そのテーブルの給仕に、なにやら慣れない手つきのメイドさんが真っ青な顔をして立っていました。

「ってジャンヌさん?」

 私の呟きは当然周囲の歓声にかき消される程度のものですが、確かにそこにジャンヌさんがいました。

 なるほど、使用人ということにしてちゃっかり紛れ込んだのね。

 粗相のないようにと考えているのか顔が真っ青のジャンヌさん。逆に可哀そうなんですけど。

 それでも私がそちらに向かって手を振ると、それに気付いた彼女はパーッと明るい表情に変わります。

 可愛いなおい。でも、馬上槍大会から見れば彼女はずいぶんと明るくなったものだ。

 結局未だに【白】のワンダーオーブの力がはっきりとわかっていないけど、今所持しているからこそわかる。

 あれは危険なワンダーオーブだ。ワンダーオーブには浄化魔法を行使する権限を貰えるほかにもう一つ効果がある。

 持つ者に特定の力を与える効果。【藍】は治癒力で【緑】は魔力。

 【黄】は防御力。この防御力というのはRPGの装備的なものかと思っていましたが実際は魔力耐性が強まるみたいです。

 では【白】は? あれはきっと人の性格や精神に影響を与える効果があると考えられます。

 やはりどこかのタイミングで禁書を読み進めないとですね。

 そう思っていたタイミング。突然、大通りから少し外れたどころから大きな爆発音と黒煙が空に向かって広がり始めました。

「え?」

 周囲の人々が慌て始め、一部の騎士達は現場の様子を見に行くためにここから離れていきます。

 最初は何か事故でも起きたのかな。その程度でしたが、その考えは一瞬で塗り替えられました。

 今度は反対側からの爆発音。さすがに異常だと気付いた人たちが慌てて逃げ出し始めます。

「落ち着いてください!」「慌てて走るとより危険です!」「こんなところで待っていろと言うのか!」「次はここが爆発するかもしれないじゃない!!」

 さらに遠くで爆発音が響く。会場の混乱はより一層増した。

「クリスティーン姫!」

「みんな乗って!」

 私の呼びかけにアレクシス、ミゲル、リビオ、ビルジニ、ジョアサン、オリバーカトリーヌさん、ジャンヌさんがウィルフリードの背中に乗り込みます。

「行先はわかっているわね?」

「爆心地ですよね?」

 私の言葉にアレクシスがすぐに返事をします。

「クリスティーン姫のご同行はともかく、爆心地には私も救護に向かいたいです」

「俺も現場は確認したい」

「魔法の影響かもしれないので、俺も見に行く」

 みんなが次から次へと喋り、全員の意思が一致したと確認しして私達は三番目に鳴り響いた爆心地に、ウィルフリードを走らせました。

 もしかしてアリゼの襲撃? 確かにいつ来るかなんてわかっていなかったけど。でも、なんとなくですけど違う気がする。

 アリゼにしては小規模すぎる。エピローグのアリゼが最初に行ったことは確か、王国を半壊させる規模の隕石落とし。

 どちらにせよこれはエピローグとは無関係のテロだ。

 だったら放置していい? そんなはずないじゃない。

 なんだかわからないけど、牙をむくなら、へし折ってしまえばいいじゃない。

 現地に到着すると、そこには体格の良いワインレッドのモヒカンの男が指示しながら、周囲の顔を隠した集団が波動魔法を四方八方に放っていた。

 魔狼の着地に気付き、男たちはこちらに視線を向ける。

「へっへーん! 会いたかったぜ姫様!!」

「あいつ!?」

 魔法遠征の時の誘拐事件主犯格の手配書にいた男の一人だ。

「へえ。直接会うのは初めてかしら?」

「俺様、あって忘れたやつはジジババ以外にゃ記憶にないぜ?」

 インパクト強いものね。どちらにせよ手配書の男なら確保してしまえばいいのよね。

「みんな、行くわよ。ミゲルとアレクシスとオリバーは前にでて頂戴! リビオとビルジニとカトリーヌさんは中衛。私とジャンヌさんとジョアサンは後衛につくわ」

 とっさに言ってみんなすぐに陣形を作ります。

「守護魔法、ウォール

 ミゲルが壁を作り、アレクシスは投げられる大きさの瓦礫いくつか見つけて、それらを山なりに投げます。

「時空魔法、加速アクセル

「幻惑魔法、ミラー。これで彼らには視界が左右反転に見えますね」

「えぐいことするじゃない」

 加速する石の雨に左右反転した視界。仲間たちが避ける方向と違う何もない空間で味方同士でぶつかり合い、石の雨を浴びる構図を見た私。

 姫でも公爵令嬢でもいいから波動魔法使いが前にでた方が魔法で戦っている風に見えたなと思いました。

「囲め! ガキ九人だ!」

「へい!!」

 敵の集団は予想よりも多い。何にせよ目的を聞きださなければいけない。

「アンタ一体何が目的なのよ!!」

「俺様たちの目的? 戦争だよ! せ・ん・そ・う! こないだはちょうどく王国の姫が手に入るって情報を貰ったから襲ったのに、失敗しちまったからな! 今日みたいに無防備な日を狙ったってわけ!」

 モヒカンの男。確か名前はロマン・エル・ルグランだったかしら。

 あいつはその後に、まさか破壊活動中に俺様のところに現れるとは思わなかったけどな。と呟いた。

 つまり、なんらかの手段で私を拘束する準備をしていたと言うことなのね。

「依頼でもされたのかしら?」

「これ以上の情報は言えねえな! 赤銅のロマン! 姫の身柄を確保させて貰うぜ?」

「え!? まって私二つ名なんてないわよ!」

「姫君、別にそういう名乗りをいれる場面ではないよ」

 あ…………そうですよね。

 正面にいるのは指名手配犯とその部下たち。私達九人で乗り越えて見せるしかない。
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