163 / 228
158話 違和感
しおりを挟む
六人になった私たちは次の方針を話し合います。
全員が焚火を囲むように座っていると、ジョアサンが手を挙げてから発言しました。
「ひとまず他のみんなを探すことは続けるべきだろうが、その前に六人分と少しだけ余分に食糧を集めるべきでしょう」
ジョアサンの提案に全員が頷きます。食糧調達ができる川と果物のなる木の位置をジョアサンが把握していたため、今回は散策班にジョアサンが確定で入ります。
ジョアサンが立ち上がると、つられるようにビルジニが立ち上がった。
「僕は侯爵令嬢だけど、公爵家嫡男や公爵令嬢よりは狩りになどでかけたことがあると思ってね。食糧調達なら僕も行こう」
そして私と目を合わせたカトリーヌさん。私達は攻撃魔法持ちで一緒に行動はできません。
「いい加減私も動くわ。クリスティーンはここで休んでなさい」
「ありがとねカトリーヌさん」
「…………いい加減カトリーヌって呼べばいいじゃない」
そう言ったまま、三人はジョアサンに連れられて食糧調達と他の皆様を探しに出かけてしまいました。
アレクシスと向かい合う様に座り、私の右側少し後ろにスザンヌが座りました。
「冷えませんか?」
アレクシスの質問に対し、私は首を横に振った。
「十分温かいわ。みんなと再会できてよかった」
「本当にお強い方です。思えば魔法遠征の時も諦めずに脱出しようとしていましたし、馬上槍大会でも貴女は強かった。その力はどこから?」
「そうね…………きっと子供の時からよ。覚えているかしら? 私達が幼い頃の話」
「いつのことですか?」
「私がジェラールとエリザベートのクレメンティエフ領視察について行った時よ」
「ええ、覚えていますよ」
「あの時、私達はこっそり大人たちから逃げ出したじゃない。そのあとに貴族の子供を狙った悪い大人たちに襲われて…………あの時は貴女が助けてくれたでしょう?」
「ええ、そうでしたね」
「…………ええ、そうだったのよ」
私達の話が終わると、パチパチパチという焚火の音だけが耳に届く。
スザンヌも待機しているだけで何も話そうとしない。
やがて元々薄暗かった魔界も、日が沈み始めます。これ以上の行動は危険と判断したのか、ジョアサンたちも戻ってきました。
「クリスティーン姫!」
「リビオ!」
ジョアサン達はでかけたメンバーに加え、リビオまで混じっていました。
どうやら運よく合流できたみたいです。
「アレクシスもいたのか」
「いてもいいだろ」
「お二人ともいつも通りですね」
「姫君の前だ。もう少し落ち着きたまえ」
みんなでガヤガヤと話し始める。なんだかんだ言って七人も集まればあと少し。
とにかく明日辺りからは脱出手段も考えないとね。
焼いた川魚はちょうど七匹。一人一匹ずつ渡され、食事を始めます。また、目覚めた時同様の不気味な色の果物もあります。
「さすがに夜は人を探せないわ」
私がそう呟くと、リビオがすぐに返事をします。
「ですが焚火の灯りがあれば誰かはここに気付くでしょう」
「灯りと言えばジャンヌ君が魔法を使えばこちらも観測できるのでは?」
ビルジニの発言に対し、カトリーヌさんが返した。
「ジャンヌは光の波動魔法だけど、まだまだ戦闘慣れしていないわ。気付いたら真っ先に駆けつけるべきね」
そして咀嚼していた魚を飲み込んだアレクシスも続けて会話に加わります。
「その点でいえば、見つかっていないメンバーも野営もできて実力もあるミゲルや、自衛力の高い幻惑魔法が使えるオリバーで、多少の不安はありますけど、何とかなりそうな人たちが残りましたね」
しばらくして食事の後片付けをスザンヌがしていると、何かに気付いて私を呼びました。
「姫様! 少し遠目ですが発光しています!」
「!? どっち? 案内して頂戴。時空魔法、加速」
私は自分とスザンヌに加速をかけて光の発生源に一直線に駆けつけました。
光の発生源では大きなウシのように大きい黒い狼型の獣とジャンヌさん。それからミゲルが交戦していました。
獣はジャンヌさんに飛びつくも、ミゲルが守護魔法で的確にガードし、ジャンヌさんがレーザーでカウンターを仕掛ける。
しかし、ジャンヌさんのカウンターは発生が速くても彼女自身がまだまだ遅い。獣に遊ばれているようでした。
ミゲルの結界が砕かれる瞬間。私は大地に両手を付けます。
どんなに俊敏な獣でも、どんなに感が鋭くても、地に足をつける者は逃げ出せやしない。
「波動魔法、地震」
私が波動魔法を使うとほぼ同時にスザンヌがジャンヌさんとミゲルに付与魔法、浮遊を行使した。
獣は突然の地震に対応できずにどこかに逃げ去ってしまいました。
「二人とも!」
「ご無事でしたか!」
私に気付いたミゲルは、ちゃんとジャンヌさんを抱えてからこちらに走ってきました。
「姫様! 良かったです! 心配していました!」
「私は貴女の方が心配だったわよ」
「へ? でも私は…………平民じゃないですか」
私もミゲルもスザンヌも、こいつ何を言っているんだ。そういう顔でジャンヌさんを見ていました。
「貴女が私を姫だと思うのは勝手。でもね、私が貴女を友達だと思うのも勝手でしょう?」
「え? 姫様は…………私がそう思わなくても姫様ですよね?」
「いえ、…………まあそうなんですけどね。気持ちの問題よ。友達の命はみな平等よ」
「違いますよ姫様、姫様は友達じゃなくても守ってくれる人です」
「過大評価よ」
私達は四人でみんなを残してしまった焚火の所に戻りました。
全員が焚火を囲むように座っていると、ジョアサンが手を挙げてから発言しました。
「ひとまず他のみんなを探すことは続けるべきだろうが、その前に六人分と少しだけ余分に食糧を集めるべきでしょう」
ジョアサンの提案に全員が頷きます。食糧調達ができる川と果物のなる木の位置をジョアサンが把握していたため、今回は散策班にジョアサンが確定で入ります。
ジョアサンが立ち上がると、つられるようにビルジニが立ち上がった。
「僕は侯爵令嬢だけど、公爵家嫡男や公爵令嬢よりは狩りになどでかけたことがあると思ってね。食糧調達なら僕も行こう」
そして私と目を合わせたカトリーヌさん。私達は攻撃魔法持ちで一緒に行動はできません。
「いい加減私も動くわ。クリスティーンはここで休んでなさい」
「ありがとねカトリーヌさん」
「…………いい加減カトリーヌって呼べばいいじゃない」
そう言ったまま、三人はジョアサンに連れられて食糧調達と他の皆様を探しに出かけてしまいました。
アレクシスと向かい合う様に座り、私の右側少し後ろにスザンヌが座りました。
「冷えませんか?」
アレクシスの質問に対し、私は首を横に振った。
「十分温かいわ。みんなと再会できてよかった」
「本当にお強い方です。思えば魔法遠征の時も諦めずに脱出しようとしていましたし、馬上槍大会でも貴女は強かった。その力はどこから?」
「そうね…………きっと子供の時からよ。覚えているかしら? 私達が幼い頃の話」
「いつのことですか?」
「私がジェラールとエリザベートのクレメンティエフ領視察について行った時よ」
「ええ、覚えていますよ」
「あの時、私達はこっそり大人たちから逃げ出したじゃない。そのあとに貴族の子供を狙った悪い大人たちに襲われて…………あの時は貴女が助けてくれたでしょう?」
「ええ、そうでしたね」
「…………ええ、そうだったのよ」
私達の話が終わると、パチパチパチという焚火の音だけが耳に届く。
スザンヌも待機しているだけで何も話そうとしない。
やがて元々薄暗かった魔界も、日が沈み始めます。これ以上の行動は危険と判断したのか、ジョアサンたちも戻ってきました。
「クリスティーン姫!」
「リビオ!」
ジョアサン達はでかけたメンバーに加え、リビオまで混じっていました。
どうやら運よく合流できたみたいです。
「アレクシスもいたのか」
「いてもいいだろ」
「お二人ともいつも通りですね」
「姫君の前だ。もう少し落ち着きたまえ」
みんなでガヤガヤと話し始める。なんだかんだ言って七人も集まればあと少し。
とにかく明日辺りからは脱出手段も考えないとね。
焼いた川魚はちょうど七匹。一人一匹ずつ渡され、食事を始めます。また、目覚めた時同様の不気味な色の果物もあります。
「さすがに夜は人を探せないわ」
私がそう呟くと、リビオがすぐに返事をします。
「ですが焚火の灯りがあれば誰かはここに気付くでしょう」
「灯りと言えばジャンヌ君が魔法を使えばこちらも観測できるのでは?」
ビルジニの発言に対し、カトリーヌさんが返した。
「ジャンヌは光の波動魔法だけど、まだまだ戦闘慣れしていないわ。気付いたら真っ先に駆けつけるべきね」
そして咀嚼していた魚を飲み込んだアレクシスも続けて会話に加わります。
「その点でいえば、見つかっていないメンバーも野営もできて実力もあるミゲルや、自衛力の高い幻惑魔法が使えるオリバーで、多少の不安はありますけど、何とかなりそうな人たちが残りましたね」
しばらくして食事の後片付けをスザンヌがしていると、何かに気付いて私を呼びました。
「姫様! 少し遠目ですが発光しています!」
「!? どっち? 案内して頂戴。時空魔法、加速」
私は自分とスザンヌに加速をかけて光の発生源に一直線に駆けつけました。
光の発生源では大きなウシのように大きい黒い狼型の獣とジャンヌさん。それからミゲルが交戦していました。
獣はジャンヌさんに飛びつくも、ミゲルが守護魔法で的確にガードし、ジャンヌさんがレーザーでカウンターを仕掛ける。
しかし、ジャンヌさんのカウンターは発生が速くても彼女自身がまだまだ遅い。獣に遊ばれているようでした。
ミゲルの結界が砕かれる瞬間。私は大地に両手を付けます。
どんなに俊敏な獣でも、どんなに感が鋭くても、地に足をつける者は逃げ出せやしない。
「波動魔法、地震」
私が波動魔法を使うとほぼ同時にスザンヌがジャンヌさんとミゲルに付与魔法、浮遊を行使した。
獣は突然の地震に対応できずにどこかに逃げ去ってしまいました。
「二人とも!」
「ご無事でしたか!」
私に気付いたミゲルは、ちゃんとジャンヌさんを抱えてからこちらに走ってきました。
「姫様! 良かったです! 心配していました!」
「私は貴女の方が心配だったわよ」
「へ? でも私は…………平民じゃないですか」
私もミゲルもスザンヌも、こいつ何を言っているんだ。そういう顔でジャンヌさんを見ていました。
「貴女が私を姫だと思うのは勝手。でもね、私が貴女を友達だと思うのも勝手でしょう?」
「え? 姫様は…………私がそう思わなくても姫様ですよね?」
「いえ、…………まあそうなんですけどね。気持ちの問題よ。友達の命はみな平等よ」
「違いますよ姫様、姫様は友達じゃなくても守ってくれる人です」
「過大評価よ」
私達は四人でみんなを残してしまった焚火の所に戻りました。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる