BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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159話 夜襲

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 ジャンヌさんの集合により、私たちは焚火のほかに強力な照明を手に入れました。

「これであとはオリバーが合流すれば全員集合よね」

 私がそう呟けば、すぐ隣にいたアレクシスが返事をする。

「そうですね。すぐに魔界から脱出してしまいましょう。一刻も早く脱出すべきです」

「ええ、そうね…………」

 強い照明のおかげか、すぐにオリバーも私達のところに現れました。

「おやおや…………魔界からの脱出手段は不明。これは深刻な事態ですね」

「もう少し焦って喋りなさいよ」

「それは無駄な体力の浪費です」

「オリバー…………少しの間これを預かって頂戴」

 私は誰にも見られないように、オリバーにあるものを手渡し、オリバーはそれを黙って受け取ります。

 ひとまず全員の安全を確認した私たちは、交代で見張りをしながら眠りにつくことになりました。

「じゃあミゲルとアレクシス。お願いしますね」

「いえ、俺一人だけで充分です。ミゲルも疲れただろう。先に寝ていろ」

「ああ、アレクシスがそういうなら」

 そう言って、アレクシスを除く全員が眠りにつきます。

 女性陣を囲むように、リビオとミゲルとオリバーが外側になる配置で横になります。

 しばらくして夜風が強く吹いたタイミング。私達は意識はあるのに起き上がることはできませんでした。

 圧倒的な魔力量の差による状態魔法の攻撃。私達の実力では防げるものではありません。

「アレクシス…………やはり貴女だったのね」

「おや、お気づきで…………いいえお姫ちゃん。いつからかしら?」

 アレクシスの姿は徐々に崩れ落ちると、アイボリーの髪をした黒衣の女性がそこに立っていた。

 前髪が右目を隠す女は手配書の女。イザベル・オブ・ブラッスールだ。

「素顔でははじめましてお姫ちゃん。他のみんなは起きていることがやってで口が聞けない状態かしら。私は黒鉄くろがねのイザベル。お姫ちゃんと皇子ちゃん以外はここで魔獣の餌になっても問題ないわね」

「最初からよ。私はあれから魔防が高まったから、ちょっとやそっとじゃ幻惑魔法にかかるなんてありえないわ。停留所では騙せたかもしれないけど、魔界では最初から失敗していたのよ」

 嘘だ。私は【黄】のワンダーオーブの力でもある所有者の魔法に対する防御抵抗能力と呼ばれる魔防の底上げにより、彼女の幻惑に対抗できた。

 だから正確には私ではない。しかし、イザベルにワンダーオーブの力を説明する理由がない。

 それでも違和感がわかる程度ですけどね。だからエリザベートの姿になった時はすぐに理解できなかった。悔しい。

 でもアレクシスの姿の時はすぐにおかしいと思い、私は彼女に過去の質問をした。すると、事実と違う回答が返ってきた。

 だからアレクシスが一人で見張りを名乗り出た時、行動を起こすタイミングだと感づいていた。

「本物のアレクシスはどこ?」

「まだ森をさまよっているわ。同じ場所をぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるとね」

「殺してはいないのね」

「私はねぇ。でも、私が化かした男は魔獣からは丸見え。いつかは食べられちゃうんじゃない?」

 そういうこと。つまり、アレクシスは無防備な状態で歩き続けているのね。早く解呪してあげないと。

 それも至急ですが、今は私達の状況も打破しなければ、アレクシスの救出に行けません。

「私とオリバーって結局戦争? 貴女もモヒカンと目的が一緒なんじゃない?」

「ロマンと一緒にされるのは癪ね。いいわ。問題ないから話してあげる。私の目的は貴族達から財産を奪うことよ。鉱山で巨大な宝石を手に入れるなんて何の価値もないわ。誰かの大事な物だから価値があるの。それがその人にとって命よりも大事なら、誰かの手作りの腕輪でもいいわ」

「最低ね。でもあなた達がたいした理念もなく戦争をしていることがよくわかったわ」

 ロマンはただの戦闘狂。イザベルはクズ。残りの一人の幹部もどうせろくな理由じゃないだわ。

「あら? リーダーは別よ」

「そう…………でも、貴女が醜悪な心から動いていることがわかって安心したわ」

「何に安心するっていうのよ」

「もしも正義のつもりで動いている人間だったらちょっと厄介だったって話よ」

「ふーん」

 彼女の行動理念が心の汚れというなら、対処方法はどうにでもなるわ。あとは、反撃のタイミング。

「もういいですか姫。俺はそろそろ動き出してしまいたいのですが?」

「何!? どこにいるの?」

 男の声が聞こえたと同時に、急に周囲を警戒するイザベル。やっと動き出したのに。それでは反撃と行きましょうか。

「イザベル。貴女はここで終わりよ」
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