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164話 魔王様はお暇なようです
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魔王城生活二日目。私達は早速玉座の間に向かいます。
そこにはわざわざ退屈そうに座る魔王ノワールが、私達が来るのを律義に待っていました。
魔王ってなぜか約束が反故にされない安心感があるのよね。
「魔王様、二日目です。本日もどなたか一人を転移して頂けますでしょうか」
私がそう声をかけると、リビオが私にひそひそ声で話かける。
「クリスティーン姫が下手にでることはありません」
「あのね、魔王の機嫌を悪くさせる方が問題なの。国民を護れるなら捨てられる限りのプライドは捨てる。それが王族のあるべき姿よ。そうでしょ? オリバー」
私がオリバーの方に視線を向けると、オリバーは少し悩んでこう呟きました。
「帝国的な考えではありませんが、貴女のそういうところに惹かれてついてくるものがいる。その事実はずっと見てきましたよ」
「あ、そういうものではないのね…………でも、ありがとう」
私達が魔王の前でひそひそ話を続けていると、いつの間にか魔王は大きな欠伸をして眠そうにしていました。
「おい! とっとと飛ばしていいのか?」
「あの? 転移する順番は選べますでしょうか?」
私は恐る恐る魔王に尋ねると、魔王は少しだけ考えこみます。
「…………ダメだ」
返事は却下。転移する順番は完全に魔王の気まぐれになりました。
それでも、ブラン王国の王都まで帰還させて貰えるだけありがたいと思いましょう。
「今日転移するのはお前だ」
魔王が指さしたのは、ジョアサンでした。やはり聖職者関連の人間は嫌いなのですね。
ジョアサンの足元に青白い魔法陣が浮かび、ジョアサンはその場から消え去ってしまいました。
ジャンヌはその魔法陣をじーっと眺めて、そのあと視線が私とぶつかりました。
どうやら、ジャンヌも彼の正体に気付いたのでしょう。
彼女は一度、盗賊のアジトに乗り込む際に同じ魔法陣を見ていますからね。
魔王がまたどこかに消えてしまう前に、スザンヌが魔王に質問しました。
「魔王様、一点だけ伺いたいのですが宜しいでしょうか」
「なんだ?」
「魔王城の食糧庫の中身は自由に使っても宜しいのでしょうか」
「お前が料理するのか?」
「はい」
「ついてこい…………人間には毒になるものもある」
そう言った魔王のあとについて行くスザンヌ。私達も特にすることはない為ついて行くことにしました。
魔王様ちょっと優しくない?
その後、食糧庫に入ると、人間に毒があるものとないものを一つずつ教えてくださりました。
見るからにリンゴにしか見えないものが毒で、ハロウィンに使えそうなシワシワで顔のような模様のある果物は、甘くてみずみずしいらしい。
生簀の魚は見るからに棘があるものが毒魚と分かりやすかったです。
チーズの保管庫の中身は全部無害。ワインなどの酒類も無害。
一応、ブラン王国の法律上にお酒の年齢制限はありません。が、強いお酒を若い人が飲むことは勧められておりません。
尤も、十三歳以上は成人として扱われるので、私達も成人なのですからそこは問題ないはず。
※ブラン王国及び周辺国には、安全に飲める水がほぼ存在しない為、極限まで薄めたお酒を飲料水として利用しています。
「このお酒ってアルコール度数は?」
「…………知らん」
「そ、そう」
この辺はまあみんなで協力して何とかするしかなさそうね。アルコールを飛ばすとか、果物で水分を補うとか。
一通り説明が終わると、魔王はどこかに消えてしまいました。
嫌な顔一つせずに説明した魔王に対して、カトリーヌが呟き、それに対してアレクシスが答えます。
「案外優しいのね」
「暇なだけでは?」
アレクシスのツッコミに全員があり得そうと思い、私も本人の正体を知っているからこそ、納得してしまいました。
「早速ですが、調理しましょう」
「スザンヌさん、私も手伝います」
食糧庫の中でスザンヌとジャンヌが早速朝食作りの準備に取り掛かり、邪魔にならないように私達は出ていくことにしました。
そこにはわざわざ退屈そうに座る魔王ノワールが、私達が来るのを律義に待っていました。
魔王ってなぜか約束が反故にされない安心感があるのよね。
「魔王様、二日目です。本日もどなたか一人を転移して頂けますでしょうか」
私がそう声をかけると、リビオが私にひそひそ声で話かける。
「クリスティーン姫が下手にでることはありません」
「あのね、魔王の機嫌を悪くさせる方が問題なの。国民を護れるなら捨てられる限りのプライドは捨てる。それが王族のあるべき姿よ。そうでしょ? オリバー」
私がオリバーの方に視線を向けると、オリバーは少し悩んでこう呟きました。
「帝国的な考えではありませんが、貴女のそういうところに惹かれてついてくるものがいる。その事実はずっと見てきましたよ」
「あ、そういうものではないのね…………でも、ありがとう」
私達が魔王の前でひそひそ話を続けていると、いつの間にか魔王は大きな欠伸をして眠そうにしていました。
「おい! とっとと飛ばしていいのか?」
「あの? 転移する順番は選べますでしょうか?」
私は恐る恐る魔王に尋ねると、魔王は少しだけ考えこみます。
「…………ダメだ」
返事は却下。転移する順番は完全に魔王の気まぐれになりました。
それでも、ブラン王国の王都まで帰還させて貰えるだけありがたいと思いましょう。
「今日転移するのはお前だ」
魔王が指さしたのは、ジョアサンでした。やはり聖職者関連の人間は嫌いなのですね。
ジョアサンの足元に青白い魔法陣が浮かび、ジョアサンはその場から消え去ってしまいました。
ジャンヌはその魔法陣をじーっと眺めて、そのあと視線が私とぶつかりました。
どうやら、ジャンヌも彼の正体に気付いたのでしょう。
彼女は一度、盗賊のアジトに乗り込む際に同じ魔法陣を見ていますからね。
魔王がまたどこかに消えてしまう前に、スザンヌが魔王に質問しました。
「魔王様、一点だけ伺いたいのですが宜しいでしょうか」
「なんだ?」
「魔王城の食糧庫の中身は自由に使っても宜しいのでしょうか」
「お前が料理するのか?」
「はい」
「ついてこい…………人間には毒になるものもある」
そう言った魔王のあとについて行くスザンヌ。私達も特にすることはない為ついて行くことにしました。
魔王様ちょっと優しくない?
その後、食糧庫に入ると、人間に毒があるものとないものを一つずつ教えてくださりました。
見るからにリンゴにしか見えないものが毒で、ハロウィンに使えそうなシワシワで顔のような模様のある果物は、甘くてみずみずしいらしい。
生簀の魚は見るからに棘があるものが毒魚と分かりやすかったです。
チーズの保管庫の中身は全部無害。ワインなどの酒類も無害。
一応、ブラン王国の法律上にお酒の年齢制限はありません。が、強いお酒を若い人が飲むことは勧められておりません。
尤も、十三歳以上は成人として扱われるので、私達も成人なのですからそこは問題ないはず。
※ブラン王国及び周辺国には、安全に飲める水がほぼ存在しない為、極限まで薄めたお酒を飲料水として利用しています。
「このお酒ってアルコール度数は?」
「…………知らん」
「そ、そう」
この辺はまあみんなで協力して何とかするしかなさそうね。アルコールを飛ばすとか、果物で水分を補うとか。
一通り説明が終わると、魔王はどこかに消えてしまいました。
嫌な顔一つせずに説明した魔王に対して、カトリーヌが呟き、それに対してアレクシスが答えます。
「案外優しいのね」
「暇なだけでは?」
アレクシスのツッコミに全員があり得そうと思い、私も本人の正体を知っているからこそ、納得してしまいました。
「早速ですが、調理しましょう」
「スザンヌさん、私も手伝います」
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