BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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166話 夢現

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 魔王城内部は広くボロボロ。だからと言って掃除や補修には手間がかかります。

 魔法を使わなければの話ですけどね。

「時空魔法、逆再生リバース

 私は朽ちた柱や、ひび割れた床。ボロボロの絨毯を元の綺麗な状態に戻していきました。

 そんな私を見つけたリビオが近寄ってきます。

「クリスティーン姫。まさか魔王城の為に働いているというのですか?」

「ええ、そうよ? だって綺麗な方が良いでしょ?」

「自分たちの生活空間だけにしましょう。姫様が疲労していまいます」

 どうやらリビオは私の体調を気遣ってくれているらしい。でも大丈夫。私は【緑】のワンダーオーブのおかげで魔力量が増えています。

 ちょっとやそっとじゃ…………いえ、なんだかクラクラしてきましたね。いくらワンダーオーブの力があったとしても働きすぎはよくないということね。

「ごめんなさいリビオ…………すぐにスザンヌを呼んでくださりますか?」

「ではクリスティーン姫は、できるかどうかわかりませんがどこかで休んでいてください」

 そう言ったリビオは、スザンヌを探すためにどこかに行ってしまいました。

 私は想像以上の倦怠感から、普段と違う何かを感じていましたが、それを大きな違和感としてとらえることができませんでした。

 慌てて現れたスザンヌから疲労回復の為に何かを飲まされました。ものすごく苦くてまずいものですが、少しだけ楽になったような気がします。

「姫様はお昼までベッドで安静にしていてください。昼食時にもう一度様子を確認させて頂きます」

「ごめんねスザンヌ」

「仕事ですから」

 私をベッドまで運ぶため、リビオが私を抱えます。

 途中、カトリーヌに見つかってめちゃくちゃ睨まれましたが、状況が状況でしたので彼女も声を荒げるような真似はしませんでした。

 そしてなんだかんだ言って私のことが心配でついてくるカトリーヌ。

「あんた、魔力量なら自慢できるくらいあるのに、魔力切れで倒れることもあるのね」

「ほんと…………張り切りすぎたのかしら」

「…………? 魔王城の修繕ってそんな張り切ってやること? 宿泊のお礼にしてもやりすぎでしょ」

 カトリーヌに言われて、確かにと思う反面。私は宿泊のお礼以上に、ブランクには助けられています。

 それに彼が必要なワンダーオーブは【赤】。それはつまり、私が手に入れようとしているワンダーオーブではありません。

 私は彼に協力して貰っているのに、彼にはメリットがないことに気付いてしまいました。

 だったらせめてと思い魔王城を修復していましたが、時空魔法使い一人でやるには、魔王城は広すぎましたね。

 今はゆっくりと休みましょう。

 私はベッドの中で横になり、部屋には誰もいなくなりました。

「おかしい…………魔界だからいつもより疲労が速いのかしら。それとも魔力を注ぎすぎ? 加減を覚えないといけないわね」

 私は鞄に手を伸ばすと、ワンダーオーブを収納した小瓶の中身を確認します。

 【藍】【黄】【白】【橙】。確かに五つ全部ある。もしかしたら【緑】がなくなっているのではと、頭によぎりましたが、そんなことはありませんでした。

「ふぅ…………安心したら眠くなったわ。少しだけ眠りましょう」

 目を瞑る。真っ暗な色が視界を覆い少しずつ心を落ち着かせた。

 闇色の視界と呼吸音だけ響く中、私は少しずつ眠りにつきました。本当に疲れていたようで、眠るまでの間に何かを考えることも難しかったです。


 ゲームのロード画面。

 ナニコレ?

 ピコピコ点滅する三角のマークは、はじめからでも、つづきからでもなく、エクストラストーリーを選択します。

 動かせない。

『マイ希望ホープ

『え?』

 私はなぜか自分を呼ばれたような気がして振り返ると、そこには銀髪にサイドテール。深紅の瞳の小さな少女が立っていました。

『聞こえていますか?』

『私のこと?』

『そうですね。私が呼びかけて、貴女が来たということはそういうことです』

『これって幻惑魔法?』

『いいえ、違います。私の時空間を操る力が、貴女の夢の世界と繋がったのでしょう』

 夢にも空間があるのね。それってつまり、夢の数だけ空間が存在してしまうのではないでしょうか。

『貴女は他人の夢に干渉ができるのかしら?』

『そうですね、私はできます』

『私の仲間たちに最悪の魔女の未来を見せたのは貴女ね』

『いいえ、違います。あれを見せた人物は…………中垣深雪です』

『は? それって私の前世の名前!』

「姫様? 姫様…………お昼ですよ」

 私は聞きなれた声に揺さぶられ、目が覚めてしまいます。

 そこには私の顔を覗き込むスザンヌがいらっしゃいました。

 今、なんだかとっても大事な夢を見ていたような気がします。

「昼食の時間ですが大丈夫ですか?」

 スザンヌのいつものような表情を見つめ、私は「ええ、食べられるわ」とだけ答えました。
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