BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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167話 ジャンヌさんの様子が?

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 魔王城の生活は続き、三日目はビルジニ、四日目はリビオが王都に転移されました。

 残るメンバーはアレクシス、オリバー、ジャンヌ、カトリーヌ、スザンヌそして私。

 さり気無く料理の担当をしてくれているスザンヌとジャンヌが残ってくれているのはありがたいわ。

 貴族の皆様はそろってキッチンに立ったことがありません。おそらく野営料理をするミゲルくらいでしょう。

 料理くらいなら私でもできないこともありませんが、キッチンに立てるはずがないとスザンヌに認知されていますからね。

「随分顔ぶれが減ってしまいましたね」

 不意に私に話しかけてきたのはオリバー。周囲には誰もいません。

「何の用?」

「用がなければ話けてはいけないというのなら、時間つぶしです。ここではすることが限られる」

「一理あるわ」

 私もここでしていることは、塔の上から魔界を眺めることと、城の修復。あとはお喋り。

 話しかけるなという方が無理がありますよね。でも、この数日間。この男が私に接触してくることはありませんでした。

 あまり意味のない行動を取るとは思えない。それが私の直感です。

「それで? 側室の件は考えてくれましたか?」

「微塵も考えてないわよ!?」

 日本人だったせいかおかげか。一夫多妻制なんて無理。もちろん、郷に入っては郷に従えと言う言葉もあり、一夫多妻制の国は認めるべきでしょう。

 一夫多妻制はブラン王国でも、王家と公爵家のみ許されていますが、それは子宝に恵まれない場合と限られています。

「おや残念。君はたった一人愛されたいロマンチストでしたか」

「え? 馬鹿にされてるの? そうなの?」

「どちらかと言えば、羨ましいと思っていますよ」

 そう言ったオリバーの表情は、どこか遠くを見ているようで、実はどこも見ていないような気さえしてきました。

 まるで叶わない夢を見ているのではないだろうか。

「オリバーは一夫一妻制の方が良かったの?」

「…………え?」

「あ! ごめんなさい! その、帝国のルールを否定しているわけじゃないわ! ただ、もしかしてって思っただけで」

 私が慌てて否定しているところで、オリバーは途端に笑い始めました。え? 私おかしかった?

「貴方は本当に姫らしくない」

「ここにきて罵倒!?」

「違いますよ…………同じ時代に生まれて良かったって言っているんです」

「???????」

 それは月が綺麗ですねくらい訳が分からない意訳よ。

 オリバーの独特な表現に場の空気が凍ります。大体私の理解不能というリアクションのせいですけど。

「いずれ貴方が選ぶ道。見届けさせてください」

「ええ、見たいというなら勝手に見ればいいわ」

 そう言ってオリバーはどこかに消えてしまいました。消える際に無駄に幻惑魔法を使って消えていくのは趣味かしら。

 あれ? 私今、何か別の魔法をかけられたような…………? 気のせいよね?

 違和感がまとわりつく。何かの認識を歪めるような魔法な気がすることはわかりますが、それが何かまでは理解できませんでした。

 気持ち悪い感覚がぬぐい切れず、私は誰かを探して歩き回ると、城内中庭で一人今にも枯れそうな植物に水やりをしているジャンヌの姿がありました。

「ジャンヌさん? あ、いえジャンヌ?」

「え? 姫様? どうかしましたか?」

 ジャンヌは呼ばれたことに気付きこちらに振り返ります。私と気付き表情が一気に明るくなることがわかりました。

「何をしているのですか?」

「水やりです。何かしたいなと思ってウロウロしていたら、中庭の様子が気になりまして」

「植物がお好きなのですか?」

「実家が農家でして。できることってあまりないから」

 そんなことはない。実際、彼女にはスザンヌと一緒に料理までして貰っていますし、できることが少ないのはむしろ私達の方だ。

 むしろ彼女は何もしなくていい時こそ、ゆっくりと休んでいてもいい。

「ジャンヌさんにはいつも助けられているわ」

「そんなことありません。役立たずの私をここまで連れてきてくれたのは、他の誰でもありません。姫様です」

 私は真っすぐ私を見つめる彼女の瞳を見つめ返しながら、彼女の両手を私の両手で握る。

「私に人を見る目があるとしたら、貴女が心優しい人物だと思えたことくらいよ。貴女の才能は予想もできなかったわ。それは私が連れてきたからじゃない。貴女自身の力よ」

「姫様」

 ジャンヌさんからの熱い視線。え? まってこれどういう雰囲気?

 そのまま手を繋いでしばらく二人で見つめ合いました。辞め時がわからなくて…………まってこれどういう雰囲気。
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