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168話 本心
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ジャンヌの異様な視線に気づいてから半日。男女別れての入浴タイム。
脱衣所ではスザンヌによって私はどんどん脱がされている最中です。
今までビルジニが射ましたけど、彼女は紳士でしたのでこちらをジロジロ見てくるなんてことは一切ありませんでした。
彼女は紳士?
ですが、ジャンヌは違う。そう気付きました。めっちゃくちゃ見てくる。
「あのジャンヌ?」
「なんでしょうか姫様」
「あまりジロジロ見られると恥ずかしいのですけど」
「え? 恥ずかしがるところなんてどこにもありませんよ! 姫様は素敵です!」
そうじゃないわよ。あとありがとう。ダメダあの子。自覚していないんだ。
自分が私をジロジロ見て意識していることすら認知していない。
昨日までもそうだったかもしれないのですし、深く考えない方がよさそうですね。
私達は自分で髪や体を洗う様に教育されていません。ですので、私はスザンヌに、カトリーヌはジャンヌに手伝って貰っています。
「ジャンヌ…………貴女上手になったわね。今ならそれなりの家庭で雇って貰えるんじゃない?」
「ありがとうございます」
髪を洗って貰っているカトリーヌがジャンヌを褒め、ジャンヌはこちらをチラチラと見ていました。
私が隣の様子を伺っていると、髪をグイっと引っ張られました。
「痛い!?」
「あまり顔を動かさないでください。束で抜けますよ」
「髪を掴む馬鹿がいるからでしょ!?」
スザンヌの言葉は真っ当だ。頭を洗っている人間が顔の向きを変えまくっていたら迷惑でしょう。
大人しく体まで洗って貰い、私とカトリーヌは先にお湯につかりました。
「ふーーーーーーーー」
お湯に肩までつかり、肺の奥から息を吐いてリラックスします。
「アンタ毎回それやるわね」
「え? あっ違くてその…………気持ちいわよ?」
「ほんと?」
「ほんと」
私達二人は目を合わせて一気に息を吸い込み、そして同時に吐き出しました。
「「ふーーーーーーーーー」」
「なんかちょっと全身の力が抜けた気がしたわ」
「いい感じでしょ?」
「それなり?」
私とカトリーヌがそんなやり取りをしているとスザンヌとジャンヌが私の両サイドに入るようにお湯につかります。
私達がじーっと二人を見ていると、二人は何かに気付いてクスリと笑ってから息を吸い込みました。
「「ふ、ふーーー」」
「もっと全身から」
「体中の力を外に送り込むのよ」
「なんなんですかお二人は」
スザンヌに突っ込まれて四人で顔を見合わせて、そして一緒になって笑いました。
ジャンヌのことは、本人が気付いていないなら、こちらから刺激しなければ何かの間違いだと思って忘れてくれますよね。
「それにしても波動魔法や付与魔法を使わずにお湯を作れるのね」
私が疑問に思って呟くと、スザンヌが返事をしてくれます。
「おそらく魔力熱でしょう。人間の魔力量では難しいですが、ここは魔界で相手は魔王。魔力を送り込むだけでそこに熱が生じます」
魔王給湯器。…………ノワールの頭の上にヤカンを置いたらしゅこーってなっちゃうのかしら。なにそれ面白そう。
「なに笑っているのよ気持ち悪い」
カトリーヌに言われ、私は「あら失礼」と言い、口元を隠して口角が緩むのを隠します。
いやだって魔王の頭の上にヤカンをおいてしゅこーってなった所を想像したら、誰でも笑ってしまうじゃないですか。私だけ?
「あと何日魔界で過ごせばいいのでしょうか?」
ジャンヌがそう呟くと、誰も答えられませんでした。明確に期日がわかるのは私だけ。
私が一番最後に転移して貰うことになっているから。他の皆様はわかりません。
「少なくとも皆様は五日以内のどこかで帰れますよ。私は六日後ですね」
「できれば私は最後から二番目に送還して貰いたいものですね。姫様のお世話をしたいので」
スザンヌがそう呟きます。彼女の忠誠心はとてもありがたいですが、こんな時くらいは自分を優先して欲しいと思ってしまいました。
「私は今すぐに帰りたいわ。あなた達のことが心配なことに変わりありませんが、ここで私のできることなんて特にありませんしね」
カトリーヌがそう言います。そうですね。リビオももう転移しちゃいましたし、ここにいる意味がありませんものね。
「私は…………できるだけ皆様の希望通りになればと思います」
ジャンヌは、自分の希望を口にしませんでした。
脱衣所ではスザンヌによって私はどんどん脱がされている最中です。
今までビルジニが射ましたけど、彼女は紳士でしたのでこちらをジロジロ見てくるなんてことは一切ありませんでした。
彼女は紳士?
ですが、ジャンヌは違う。そう気付きました。めっちゃくちゃ見てくる。
「あのジャンヌ?」
「なんでしょうか姫様」
「あまりジロジロ見られると恥ずかしいのですけど」
「え? 恥ずかしがるところなんてどこにもありませんよ! 姫様は素敵です!」
そうじゃないわよ。あとありがとう。ダメダあの子。自覚していないんだ。
自分が私をジロジロ見て意識していることすら認知していない。
昨日までもそうだったかもしれないのですし、深く考えない方がよさそうですね。
私達は自分で髪や体を洗う様に教育されていません。ですので、私はスザンヌに、カトリーヌはジャンヌに手伝って貰っています。
「ジャンヌ…………貴女上手になったわね。今ならそれなりの家庭で雇って貰えるんじゃない?」
「ありがとうございます」
髪を洗って貰っているカトリーヌがジャンヌを褒め、ジャンヌはこちらをチラチラと見ていました。
私が隣の様子を伺っていると、髪をグイっと引っ張られました。
「痛い!?」
「あまり顔を動かさないでください。束で抜けますよ」
「髪を掴む馬鹿がいるからでしょ!?」
スザンヌの言葉は真っ当だ。頭を洗っている人間が顔の向きを変えまくっていたら迷惑でしょう。
大人しく体まで洗って貰い、私とカトリーヌは先にお湯につかりました。
「ふーーーーーーーー」
お湯に肩までつかり、肺の奥から息を吐いてリラックスします。
「アンタ毎回それやるわね」
「え? あっ違くてその…………気持ちいわよ?」
「ほんと?」
「ほんと」
私達二人は目を合わせて一気に息を吸い込み、そして同時に吐き出しました。
「「ふーーーーーーーーー」」
「なんかちょっと全身の力が抜けた気がしたわ」
「いい感じでしょ?」
「それなり?」
私とカトリーヌがそんなやり取りをしているとスザンヌとジャンヌが私の両サイドに入るようにお湯につかります。
私達がじーっと二人を見ていると、二人は何かに気付いてクスリと笑ってから息を吸い込みました。
「「ふ、ふーーー」」
「もっと全身から」
「体中の力を外に送り込むのよ」
「なんなんですかお二人は」
スザンヌに突っ込まれて四人で顔を見合わせて、そして一緒になって笑いました。
ジャンヌのことは、本人が気付いていないなら、こちらから刺激しなければ何かの間違いだと思って忘れてくれますよね。
「それにしても波動魔法や付与魔法を使わずにお湯を作れるのね」
私が疑問に思って呟くと、スザンヌが返事をしてくれます。
「おそらく魔力熱でしょう。人間の魔力量では難しいですが、ここは魔界で相手は魔王。魔力を送り込むだけでそこに熱が生じます」
魔王給湯器。…………ノワールの頭の上にヤカンを置いたらしゅこーってなっちゃうのかしら。なにそれ面白そう。
「なに笑っているのよ気持ち悪い」
カトリーヌに言われ、私は「あら失礼」と言い、口元を隠して口角が緩むのを隠します。
いやだって魔王の頭の上にヤカンをおいてしゅこーってなった所を想像したら、誰でも笑ってしまうじゃないですか。私だけ?
「あと何日魔界で過ごせばいいのでしょうか?」
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ジャンヌは、自分の希望を口にしませんでした。
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