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172話 完敗
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私の波動が彼女目掛けて突き進む。イザベルの状態魔法により、つま先が重くなることと、温感か触感が失われていくことに気付きます。
私の波動魔法はなんなく躱されてしまい、私だけが相手の術中にかかっている状況。
「まさか王国の姫に魔王との繋がりがあったとは思わなかったわ。この情報。どこに売れば面白くなるかしら」
「そんなことさせない!」
やめだ。彼女は撃退じゃダメ。捕縛しなければ。ノワールも魔界に影響を及ぼすとわかれば、何かしらの措置を取るはず。
「回復魔法、最良化」
これは数ある回復魔法の中でも、対象を最もコンディションの良い状態まで回復させる超回復魔法。
ジョアサンのように回復魔法適正の高い人間が使う分には負担が少ないですが、私が使えば一気に魔力量が削られてしまいます。
しかし、石化した足で戦い続ける方が難しい。そう判断した上での行動でした。
それに石化が浅いうちに使えば、回復に使う魔力も減らせます。
ここは武器庫。魔法がなければ槍を握ればいい。
幸い、馬上槍大会のおかげで多少重いですが、長物を扱うこともできなくはありません。
私はとっさにすぐ近くの槍を握りました。
「お姫ちゃんは回復魔法も使えるのね。面白いわ。事前情報なんてあてにならない。本当は全部使えるんじゃない?」
イザベルの眼が一瞬大きく見開きました。ぎょろぎょろと動く不気味な瞳。
言い当てられたことに対して、余計な返事をしないように黙っていましたが、間違いなく気付かれましたね。
「答えは戦いで確かめなさい。時空魔法、加速」
「いいわ。暴いてあげる! 幻惑魔法、隠密」
私が槍を持って高速で突進するも、イザベルは視界から完全に消えてしまいました。ですが、その程度なら対応できます。
「波動魔法、反響定位」
前方なし。左方なし。後方なし。右方…………人影発見。二時の方角。正面から右向きに六十度動かし、私は加速によって得た素早さで探知したポイントに突進。
「な!?」
彼女の本体に突きを入れるタイミングで一度槍を引き、振り下ろして殴打する!
「殺しは趣味じゃないのよ」
ゴーンという金属と固い物が衝突する音が武器庫内に響き、どさりとイザベルが倒れてしまいました。
「はぁ…………はぁ」
倒せたのだろうか。ロマンの時と違いあっさりと終わったのは、彼女が武闘派じゃなかったおかげかもしれない。
本来は暗躍して人を騙すのが彼女の主戦場。それこそ酒場から夜の店。社交場で暗躍するタイプなんでしょう。
魔力切れ寸前。【藍】のワンダーオーブがあれば普通よりは早く回復すると言っても、それ以上の速度で使い切れば話は別。
私の足がふらついたところで、何者かに足を捕まれます。私が足元に視線を落とすと、気絶させたと思っていたイザベルが、こちらを見上げながら下品な笑顔を浮かべる。
「まだ終わりじゃないわ。直接触れればいくら魔防が高い魔導士でもすんなり落ちるのよ幻惑魔法、幽体離脱」
私の頭はすべての思考が放棄されてしまいました。そして急にバタンと何かが倒れる音がしたと思えば、足元には私が転がっていました。
ナニコレ?
『どういうこと!!!』
しかし、私の声は響かない。この声は誰の耳に届くはずもない。両手を見て気付く。床が透けて見える。
私の声が届かないのではない。そもそも声帯から声が響いていないのだ。
これは実際に幽体離脱しているわけではない。幽体離脱しているように錯覚させる幻惑魔法。だから、私ん幽体も地縛霊のようにここから動けない。
私の脳にない情報を新たに取り入れられないから、倒れた私の眼がカメラの役割をしていることに変わりがないんだわ。
その上で倒れた私が見えるように幻覚を形成しているのだから、かなり高度な幻惑魔法だろう。
次第に幽体が動かせるようになってきた。視界も動く。これはおそらくイザベルの視界と感覚共有により保管された情報。
だが、体が動かなければ意味がない。魔法も行使できない。なにこの絶体絶命。
身体も動かせなければ魔法も使えない。私の体はそのままイザベルに引きずられます。
『ちょっともう少し丁寧に扱いなさいよ!!』
そういう場合ではない。しかし、私の想いは誰にも届かない。ここは魔界。誰の助けもくるはずがない。
私はただただ祈るばかりでした。
私の波動魔法はなんなく躱されてしまい、私だけが相手の術中にかかっている状況。
「まさか王国の姫に魔王との繋がりがあったとは思わなかったわ。この情報。どこに売れば面白くなるかしら」
「そんなことさせない!」
やめだ。彼女は撃退じゃダメ。捕縛しなければ。ノワールも魔界に影響を及ぼすとわかれば、何かしらの措置を取るはず。
「回復魔法、最良化」
これは数ある回復魔法の中でも、対象を最もコンディションの良い状態まで回復させる超回復魔法。
ジョアサンのように回復魔法適正の高い人間が使う分には負担が少ないですが、私が使えば一気に魔力量が削られてしまいます。
しかし、石化した足で戦い続ける方が難しい。そう判断した上での行動でした。
それに石化が浅いうちに使えば、回復に使う魔力も減らせます。
ここは武器庫。魔法がなければ槍を握ればいい。
幸い、馬上槍大会のおかげで多少重いですが、長物を扱うこともできなくはありません。
私はとっさにすぐ近くの槍を握りました。
「お姫ちゃんは回復魔法も使えるのね。面白いわ。事前情報なんてあてにならない。本当は全部使えるんじゃない?」
イザベルの眼が一瞬大きく見開きました。ぎょろぎょろと動く不気味な瞳。
言い当てられたことに対して、余計な返事をしないように黙っていましたが、間違いなく気付かれましたね。
「答えは戦いで確かめなさい。時空魔法、加速」
「いいわ。暴いてあげる! 幻惑魔法、隠密」
私が槍を持って高速で突進するも、イザベルは視界から完全に消えてしまいました。ですが、その程度なら対応できます。
「波動魔法、反響定位」
前方なし。左方なし。後方なし。右方…………人影発見。二時の方角。正面から右向きに六十度動かし、私は加速によって得た素早さで探知したポイントに突進。
「な!?」
彼女の本体に突きを入れるタイミングで一度槍を引き、振り下ろして殴打する!
「殺しは趣味じゃないのよ」
ゴーンという金属と固い物が衝突する音が武器庫内に響き、どさりとイザベルが倒れてしまいました。
「はぁ…………はぁ」
倒せたのだろうか。ロマンの時と違いあっさりと終わったのは、彼女が武闘派じゃなかったおかげかもしれない。
本来は暗躍して人を騙すのが彼女の主戦場。それこそ酒場から夜の店。社交場で暗躍するタイプなんでしょう。
魔力切れ寸前。【藍】のワンダーオーブがあれば普通よりは早く回復すると言っても、それ以上の速度で使い切れば話は別。
私の足がふらついたところで、何者かに足を捕まれます。私が足元に視線を落とすと、気絶させたと思っていたイザベルが、こちらを見上げながら下品な笑顔を浮かべる。
「まだ終わりじゃないわ。直接触れればいくら魔防が高い魔導士でもすんなり落ちるのよ幻惑魔法、幽体離脱」
私の頭はすべての思考が放棄されてしまいました。そして急にバタンと何かが倒れる音がしたと思えば、足元には私が転がっていました。
ナニコレ?
『どういうこと!!!』
しかし、私の声は響かない。この声は誰の耳に届くはずもない。両手を見て気付く。床が透けて見える。
私の声が届かないのではない。そもそも声帯から声が響いていないのだ。
これは実際に幽体離脱しているわけではない。幽体離脱しているように錯覚させる幻惑魔法。だから、私ん幽体も地縛霊のようにここから動けない。
私の脳にない情報を新たに取り入れられないから、倒れた私の眼がカメラの役割をしていることに変わりがないんだわ。
その上で倒れた私が見えるように幻覚を形成しているのだから、かなり高度な幻惑魔法だろう。
次第に幽体が動かせるようになってきた。視界も動く。これはおそらくイザベルの視界と感覚共有により保管された情報。
だが、体が動かなければ意味がない。魔法も行使できない。なにこの絶体絶命。
身体も動かせなければ魔法も使えない。私の体はそのままイザベルに引きずられます。
『ちょっともう少し丁寧に扱いなさいよ!!』
そういう場合ではない。しかし、私の想いは誰にも届かない。ここは魔界。誰の助けもくるはずがない。
私はただただ祈るばかりでした。
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