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174話 魔界脱出
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イザベルだったものの灰は、風が吹くたびにさらさらとどこかに飛んで行ってしまう。
「何をしたの?」
私は掠れるような声でノワールに尋ねると、もうすでにイザベルに興味を失い、私の方に視線を向けるノワールはめんどくさそうに返事をします。
「魔術ってのはどうしても放出して対象に飛ばす必要がある。だから撃ち返して進行方向を変えてやっただけだ。それだけだと相手に魔法をかけることができないから、打ち返す際に俺の魔力も上乗せしている」
よくわからない。別理論の話をされているような気もする。
いえ、言っていること自体はわかりましますが、それができるかどうかがわからなかった。それでも、魔王ならばできると言われてしまえば、納得せざるおえない。
「イザベルは死んだの?」
「いや、生きているだろう。あの手の魔術師はどうせ分身を使って行動している。幻惑魔法? だったか。その使い手が良くやることだ」
「…………そう」
もし分身だったというなら、私はワンダーオーブを複数持っていたのに、分身にすら勝てなかった。そういうことになるのね。
そして私達が武器庫内で会話していると、不穏な音が響き渡ります。
具体的に言えば、大きな建物が崩れ落ちる音です。
激しい轟音と、凄まじい砂埃が辺り一面に広がり、とっさに守護魔法を発動しようとしましたが、魔力が足りずに失敗。
その代わりにノワールが私ごと包み込む青白い結界を展開してくれました。
「魔力もないのに無茶をするからだ」
「…………ごめんなさい」
「いや、いい。城はすぐに作り直せるからな。しばらくは難しいが」
二人して黙り込んでしまいます。土埃が収まり、やっと周囲の風景が視認できるようになりました。武器庫は扉や窓が崩壊。
外に出てみれば城は瓦礫の山に代わっていました。
「…………今日転移するか?」
「え? 良いのですか?」
「住む場所がなくなったからな。城を壊したのはお前だが、侵入者を放置していたのは俺だ。最初から伝えていればこんなことにはならなかっただろう」
私は少しだけ勿体ないと考えてしまいましたが、数秒しない内に、何が勿体ないのだろうかと考えていました。
「しばらくは王都の宿を借りたいのだが、代わりに手配してくれないか? 見ての通り、うちは崩壊した」
「本当にごめんなさい。はい、スザンヌを通して手配させて頂きます」
なんだ。ノワールも王都に来るのね。…………? なんで私、嬉しいって思ったの?
いいえ、これは多分あれよ。友達が近くに引っ越してきた感じよね。なんかそんな気がするわ。
「でもちょっと待って? 私が今日転移したら偽物って思われるかもしれないから一晩だけ無事な離れに泊めてくれますか?」
私がそう提案すると、ノワールは少々考えこみます。
「そんなに心配することではないと思うが、まあ一晩位なら良いだろう」
そう言って倒れて伏せたままの私の周囲に転移の魔法陣が浮かび上がると、ノワールは私の方に歩み寄り、横抱きで抱きかかえました。
「ちょっと!?」
「気にするな異国の姫様」
「ぶ、無礼よ! 異国の王様」
そして青白い光に包まれた私たちは、魔王城の瓦礫の上に転移しました。そこから周囲を見渡し、無事な離れを一つだけ見つけましたので、再度転移します。
「今日はここで一晩過ごすことになるがいいか?」
「ええ、構わないわ」
無事だった離れ。そこは魔王城の中に置かれた誰かの住まい。小さな家でした。
「こんな場所もあるのね」
中は完全に小さな小屋。暖炉に水回り。お風呂はなさそうですが、外にトイレはありました。小さな木製の丸いテーブルには椅子が二つ。少し背の高い食器棚。
そして頑張れば二人で眠れそうなベッド。…………?
…………?
…………!?
「わっ、わた、私は床で眠るわ」
「そうか。じゃあベッドは俺が貰うな」
何故かわかりませんが、私はノワールの頬を思いっきり抓ってやりました。
その後、ノワールからベッドを譲って貰いましたが、抓った理由を説明できなかった私は、本当はベッドで眠りたかったということにして、一人でベッドを使うことにし、そのベッドにもたれかかるようにしてノワールが眠りにつきました。
翌朝。私達は二人で転移の魔法陣の上に乗ります。
「一緒に転移する意味があるのかしら? てゆうか、貴方はよく考えればあの小屋に住めばいいんじゃない?」
「あんなボロにいつまでも住んでいられるものか。王都の良い部屋を頼むぞ」
そして私達を包み込む青白い光。光が消えたと同時に、私は数日ぶりの自室の床に立っていました。
「何をしたの?」
私は掠れるような声でノワールに尋ねると、もうすでにイザベルに興味を失い、私の方に視線を向けるノワールはめんどくさそうに返事をします。
「魔術ってのはどうしても放出して対象に飛ばす必要がある。だから撃ち返して進行方向を変えてやっただけだ。それだけだと相手に魔法をかけることができないから、打ち返す際に俺の魔力も上乗せしている」
よくわからない。別理論の話をされているような気もする。
いえ、言っていること自体はわかりましますが、それができるかどうかがわからなかった。それでも、魔王ならばできると言われてしまえば、納得せざるおえない。
「イザベルは死んだの?」
「いや、生きているだろう。あの手の魔術師はどうせ分身を使って行動している。幻惑魔法? だったか。その使い手が良くやることだ」
「…………そう」
もし分身だったというなら、私はワンダーオーブを複数持っていたのに、分身にすら勝てなかった。そういうことになるのね。
そして私達が武器庫内で会話していると、不穏な音が響き渡ります。
具体的に言えば、大きな建物が崩れ落ちる音です。
激しい轟音と、凄まじい砂埃が辺り一面に広がり、とっさに守護魔法を発動しようとしましたが、魔力が足りずに失敗。
その代わりにノワールが私ごと包み込む青白い結界を展開してくれました。
「魔力もないのに無茶をするからだ」
「…………ごめんなさい」
「いや、いい。城はすぐに作り直せるからな。しばらくは難しいが」
二人して黙り込んでしまいます。土埃が収まり、やっと周囲の風景が視認できるようになりました。武器庫は扉や窓が崩壊。
外に出てみれば城は瓦礫の山に代わっていました。
「…………今日転移するか?」
「え? 良いのですか?」
「住む場所がなくなったからな。城を壊したのはお前だが、侵入者を放置していたのは俺だ。最初から伝えていればこんなことにはならなかっただろう」
私は少しだけ勿体ないと考えてしまいましたが、数秒しない内に、何が勿体ないのだろうかと考えていました。
「しばらくは王都の宿を借りたいのだが、代わりに手配してくれないか? 見ての通り、うちは崩壊した」
「本当にごめんなさい。はい、スザンヌを通して手配させて頂きます」
なんだ。ノワールも王都に来るのね。…………? なんで私、嬉しいって思ったの?
いいえ、これは多分あれよ。友達が近くに引っ越してきた感じよね。なんかそんな気がするわ。
「でもちょっと待って? 私が今日転移したら偽物って思われるかもしれないから一晩だけ無事な離れに泊めてくれますか?」
私がそう提案すると、ノワールは少々考えこみます。
「そんなに心配することではないと思うが、まあ一晩位なら良いだろう」
そう言って倒れて伏せたままの私の周囲に転移の魔法陣が浮かび上がると、ノワールは私の方に歩み寄り、横抱きで抱きかかえました。
「ちょっと!?」
「気にするな異国の姫様」
「ぶ、無礼よ! 異国の王様」
そして青白い光に包まれた私たちは、魔王城の瓦礫の上に転移しました。そこから周囲を見渡し、無事な離れを一つだけ見つけましたので、再度転移します。
「今日はここで一晩過ごすことになるがいいか?」
「ええ、構わないわ」
無事だった離れ。そこは魔王城の中に置かれた誰かの住まい。小さな家でした。
「こんな場所もあるのね」
中は完全に小さな小屋。暖炉に水回り。お風呂はなさそうですが、外にトイレはありました。小さな木製の丸いテーブルには椅子が二つ。少し背の高い食器棚。
そして頑張れば二人で眠れそうなベッド。…………?
…………?
…………!?
「わっ、わた、私は床で眠るわ」
「そうか。じゃあベッドは俺が貰うな」
何故かわかりませんが、私はノワールの頬を思いっきり抓ってやりました。
その後、ノワールからベッドを譲って貰いましたが、抓った理由を説明できなかった私は、本当はベッドで眠りたかったということにして、一人でベッドを使うことにし、そのベッドにもたれかかるようにしてノワールが眠りにつきました。
翌朝。私達は二人で転移の魔法陣の上に乗ります。
「一緒に転移する意味があるのかしら? てゆうか、貴方はよく考えればあの小屋に住めばいいんじゃない?」
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