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175話 【青】のワンダーオーブ
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魔界から脱出して三日後。
学園の敷地内西側。とある渓谷の前に私とスザンヌ。それからアレクシスの三人で訪れました。
「この先に【青】のワンダーオーブがあるのですね?」
「ええ、そうよ。女神が感銘を受ける信頼を示せればいい。ワンダーオーブのこの託す相手の見つけ方がいまいちなんでそうなの? って思ってしまうところはありますが、とにかくここは信頼です」
「でしたら、俺とクリスティーン姫の間でそれを心配する必要はありませんね」
スザンヌに飛翔の付与をお願いし、私達は渓谷の向こうに飛んでいきました。
そういえば、この渓谷の下ってなんかよくわからない材質の鉱石だったわよね。黒くてツヤツヤで魔力を感じた大きな何か。
「クリスティーン姫?」
「何でもないわ。この先に行きましょう?」
私達二人が降りた先には、小さな石碑。石碑には私達が読むことのできない文字が刻まれています。どことなく古代文字と似ていますので、リビオと二人で作った禁書の変換表があれば、ある程度は読めそうですね。
あとは私達が来て、女神イレーヌがワンダーオーブを託そうと考えるかなのですが、こればっかりは神の気まぐれ。どう転ぶかわかりませんね。
「俺は姫を信頼しきれていなかったのでしょうか」
「そんなことないわアレクシス。幼い頃からずっと過ごして、馬上槍大会で貴方は最終的に私が戦うことを最初に認めてくれたでしょ。それに、赤銅のロマンとの戦いでも、貴方はジャンヌさんと一緒に私達が時間を稼げば何とかしてくれるって託してくれたわ」
「俺は今でも貴女が戦うことに反対しているんですよ。貴女が俺より強くても、貴女を戦わせている自分の弱さを情けなく思っています」
アレクシスはそう吐き捨て、私から視線を逸らそうとします。そんなアレクシスの頬を両手で押さえつけ、顔の向きを固定してやりました。
「貴方は弱くないわ! 赤銅のロマンと正面から戦いに出て、黒鉄のイザベルと一対一で幻惑魔法にかけられたとしても、こうして戦うための力を手に入れるために一緒にここに来てくれた! 貴方は戦う意思のある人間よ!」
「クリスティーン姫」
私達の言葉をずっと正面で聞いていたのでしょう。石碑が青く光り始めました。
「目覚めてしまいましたね。あなた方がこの時代に生きる者ですか」
石碑から青い靄が出て、その靄が人型を象り始めると、ライラックの花を思わせる紫色の髪の女性が他の神々同様、ギリシャ神話の神が来ているような白い布の服で現れました。
「お初にお目にかかります。女神イレーヌと申します。あなた方のお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」
「え? クリスティーン・ディ・フォレスティエよ」
「アレクシス・ドゥ・クレメンティエフです」
「そうですか。フォレスティエにクレメンティエフですか。さてと、これで目覚めていない神はエドワード様だけみたいですね。あなた方にはもうワンダーオーブの説明は不要でしょう。受け取りなさい【青】のワンダーオーブです」
女神イレーヌがそういうと、私の手元に青い宝珠が現れます。
「女神イレーヌ! 質問させてください!」
「どうぞ」
「ワンダーオーブを手に入れるために、情熱や信頼などを測る意図は何ですか?」
私の問いに対し、イレーヌは間髪入れずに答えてくれました。
「ワンダーオーブは世界を救う力です。私達七人は世界を救うのに必要だと思うものをそれぞれ声に出しました。その結果、七人の意見は、情熱、勇気、友情、知識、信頼、慈悲、神秘に別れたのです。神秘の馬鹿ははほっといて、私達はそれぞれの意見に納得しました。だからこそ、ワンダーオーブを託す相手には、それぞれが相応しいと思うものを持った人間と決めているのです」
…………何かがおかしい。具体的には、ワンダーオーブの裏設定が、乙女ゲームの設定とは思えない。
「世界を救うというのは浄化魔法で行うのですか?」
「いいえ、違います」
「魔王を倒すことですか?」
「それも違います」
「だったら何!! 救って欲しいならもったいぶらないでよ!!」
「クリスティーン姫!?」
私はつい叫んでしまい、アレクシスが驚きます。それでも、女神イレーヌは涼しい顔のまま。
「救って欲しい。それも少し違います。私達は世界を救えるかどうか見定めているのです」
「何がしたくて?」
「その時代に生きる人々が救わなければ、世界は保てません。いつ消えてしまうかわからない私達残留思念が、いつまでも手助けをするわけにはいかないのです。ほんとにまずい時は消滅覚悟でお助けしますので。ご安心を」
そう言った女神イレーヌの姿は霧散していってしまいました。手には新たに手に入れた【青】のワンダーオーブだけが残ります。
これで残るワンダーオーブは、【紫】のワンダーオーブだけ。それから、奪われた【緑】のワンダーオーブ。必ず取り返して見せるわ。
学園の敷地内西側。とある渓谷の前に私とスザンヌ。それからアレクシスの三人で訪れました。
「この先に【青】のワンダーオーブがあるのですね?」
「ええ、そうよ。女神が感銘を受ける信頼を示せればいい。ワンダーオーブのこの託す相手の見つけ方がいまいちなんでそうなの? って思ってしまうところはありますが、とにかくここは信頼です」
「でしたら、俺とクリスティーン姫の間でそれを心配する必要はありませんね」
スザンヌに飛翔の付与をお願いし、私達は渓谷の向こうに飛んでいきました。
そういえば、この渓谷の下ってなんかよくわからない材質の鉱石だったわよね。黒くてツヤツヤで魔力を感じた大きな何か。
「クリスティーン姫?」
「何でもないわ。この先に行きましょう?」
私達二人が降りた先には、小さな石碑。石碑には私達が読むことのできない文字が刻まれています。どことなく古代文字と似ていますので、リビオと二人で作った禁書の変換表があれば、ある程度は読めそうですね。
あとは私達が来て、女神イレーヌがワンダーオーブを託そうと考えるかなのですが、こればっかりは神の気まぐれ。どう転ぶかわかりませんね。
「俺は姫を信頼しきれていなかったのでしょうか」
「そんなことないわアレクシス。幼い頃からずっと過ごして、馬上槍大会で貴方は最終的に私が戦うことを最初に認めてくれたでしょ。それに、赤銅のロマンとの戦いでも、貴方はジャンヌさんと一緒に私達が時間を稼げば何とかしてくれるって託してくれたわ」
「俺は今でも貴女が戦うことに反対しているんですよ。貴女が俺より強くても、貴女を戦わせている自分の弱さを情けなく思っています」
アレクシスはそう吐き捨て、私から視線を逸らそうとします。そんなアレクシスの頬を両手で押さえつけ、顔の向きを固定してやりました。
「貴方は弱くないわ! 赤銅のロマンと正面から戦いに出て、黒鉄のイザベルと一対一で幻惑魔法にかけられたとしても、こうして戦うための力を手に入れるために一緒にここに来てくれた! 貴方は戦う意思のある人間よ!」
「クリスティーン姫」
私達の言葉をずっと正面で聞いていたのでしょう。石碑が青く光り始めました。
「目覚めてしまいましたね。あなた方がこの時代に生きる者ですか」
石碑から青い靄が出て、その靄が人型を象り始めると、ライラックの花を思わせる紫色の髪の女性が他の神々同様、ギリシャ神話の神が来ているような白い布の服で現れました。
「お初にお目にかかります。女神イレーヌと申します。あなた方のお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」
「え? クリスティーン・ディ・フォレスティエよ」
「アレクシス・ドゥ・クレメンティエフです」
「そうですか。フォレスティエにクレメンティエフですか。さてと、これで目覚めていない神はエドワード様だけみたいですね。あなた方にはもうワンダーオーブの説明は不要でしょう。受け取りなさい【青】のワンダーオーブです」
女神イレーヌがそういうと、私の手元に青い宝珠が現れます。
「女神イレーヌ! 質問させてください!」
「どうぞ」
「ワンダーオーブを手に入れるために、情熱や信頼などを測る意図は何ですか?」
私の問いに対し、イレーヌは間髪入れずに答えてくれました。
「ワンダーオーブは世界を救う力です。私達七人は世界を救うのに必要だと思うものをそれぞれ声に出しました。その結果、七人の意見は、情熱、勇気、友情、知識、信頼、慈悲、神秘に別れたのです。神秘の馬鹿ははほっといて、私達はそれぞれの意見に納得しました。だからこそ、ワンダーオーブを託す相手には、それぞれが相応しいと思うものを持った人間と決めているのです」
…………何かがおかしい。具体的には、ワンダーオーブの裏設定が、乙女ゲームの設定とは思えない。
「世界を救うというのは浄化魔法で行うのですか?」
「いいえ、違います」
「魔王を倒すことですか?」
「それも違います」
「だったら何!! 救って欲しいならもったいぶらないでよ!!」
「クリスティーン姫!?」
私はつい叫んでしまい、アレクシスが驚きます。それでも、女神イレーヌは涼しい顔のまま。
「救って欲しい。それも少し違います。私達は世界を救えるかどうか見定めているのです」
「何がしたくて?」
「その時代に生きる人々が救わなければ、世界は保てません。いつ消えてしまうかわからない私達残留思念が、いつまでも手助けをするわけにはいかないのです。ほんとにまずい時は消滅覚悟でお助けしますので。ご安心を」
そう言った女神イレーヌの姿は霧散していってしまいました。手には新たに手に入れた【青】のワンダーオーブだけが残ります。
これで残るワンダーオーブは、【紫】のワンダーオーブだけ。それから、奪われた【緑】のワンダーオーブ。必ず取り返して見せるわ。
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