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176話 メモリー
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【青】のワンダーオーブを手に入れたところで、私は今の状況を整理し始める。
乙女ゲームに登場したワンダーオーブはあと一つ。【紫】のワンダーオーブが出現すれば、七つ全部が存在することになる。
【白】や【■】のワンダーオーブが存在するかもしれませんが、これはひとまず保留にしましょう。
現在私の手元にある【白】を除いたワンダーオーブは【橙】【黄】【青】【藍】の四つ。
アリゼの手元には【赤】のみ。そして【緑】ですが、おそらくオリバーに奪われたんだわ。
【黄】のワンダーオーブがあったというのに、【緑】のワンダーオーブによって底上げされたオリバーの魔法は看破することができませんでした。
そもそもワンダーオーブとは何か。禁書曰く、ワンダーオーブを授ける神々が、生前に世界のルールを書き換えるため、各々の異能を宝珠に変えたアイテム。
その七つが乙女ゲームのキーアイテムとして扱われている。何故?
乙女ゲームではワンダーオーブを不思議アイテムとしか扱っていなくて…………確かに浄化魔法は各ストーリーで登場しましたけど、取ってつけたような内容でしたわ。掘り下げるつもりを感じなかったわ。
「考えれば考えるだけわからないわ」
神々に問うのが手っ取り早いのかもしれませんね。でも、女神イレーヌのように曖昧にはぐらかしそうだわ。
ワンダーオーブについてはここまでね。お次は魔法遠征後にジャンヌ達に夢を見せた存在。
その正体は女神マルグリット曰く、中垣深雪という女性らしい。ただし、この情報源すらも私の夢。もしかしたら本当にただの夢かもしれないわ。
もし中垣深雪が真犯人なのだとしたら、私は誰?
中垣深雪とは前世の私の名前だ。オタクでアラサーで異世界転生ものの作品が大好きで…………家族構成は■■と■■■あ■が■ト■お■う■が■ト■。■ょ■業■普通ノОLで土日し■く■■み。好■な食べ■ハアーモンド■ョコレ■トデ嫌■な■べ物ハ■肉■ア■ラ身。■■う中は■通ニ進■■し、■うコ■も■え■ら徒歩■分ケ■ナ■■■き当■バ■■ニ■学。大■クモ無理ナク入■■きる■コロ■し■が■してテ■当ナ論文で■業■友ダ■は■く■少なくモ■なく目だっ■■■ろ■ナいニ■間だった。
何か、前世を考えようとすると苦痛とも思えるほどの頭痛が私を襲おう。おかしい。ゲームのことを思い出す時はメモリーカードからロードするかのように情報を引き出せるというのに。
前世の世界の物や言葉。教科書で習う偉人や発明品、料理はポンポン思い出せるのに。
いくら脳内で「中垣深雪」と検索しても、文字化けしたデータしか取得できないみたい。
仮説を立てましょう。私が中垣深雪個人を思い出せない理由と、ジャンヌ達に私と敵対させた中垣深雪。
それが何者なのか。あるいは、私の夢がそもそも誤情報で何者かがマルグリットの姿を使って私の夢に介入してきたか。
ただし、介入してきた人物は少なくとも中垣深雪を知っている人物。もしこいつが敵だった場合にもう一つ恐れなければいけないことがある。
その人物は、中垣深雪を知っているなら、乙女ゲームの知識もあるはずだ。
「とにかくこれは一度会って話してみましょうか。砲の英雄、女神マルグリット」
「あいつならあえないぞ」
「え?」
私が呟くと、そこにはブランクの姿で勝手にくつろいでいる魔王がいた。
「あんたのことってどう呼べばいいの?」
「…………そうだな、魔界の外でノワールと呼ぶのは危険だろう。魔王の名前を知っている者もいるしな。あれなら今まで通りブランクでもいい」
「今まではそういうものでしたから大目に見ていましたが、顔を見せないで会話するのは不敬よ」
「そうか」
魔王は何の抵抗もなくフードを外してくれました。彼の顔は少しだけ不機嫌そう。
「ところでマルグリットの件ですが」
「あいつは必要な時以外に絶対に現れない。それもあいつが考える必要な時だ」
「そうですか」
「ただまあ、あいつの直系の子孫ならもしかしたらあってくれるんじゃないか? あいつは家族愛が強いからな」
「へ、へえ」
誰よ! マルグリットの直径の子孫なんて心当たりもないんですけど。
「ファミリーネームは?」
「世界のルールを書き換えた後に、七英雄は各々の子供を世界に産み落として直ぐに神格化しちまったから、子供たちは家名も知らずに大人になったと思うぞ」
「そう」
「確か神の子七人を預かって育てたのが、フォレスティエと名乗っていたな」
「え?」
フォレスティエってうちの家名なんですけど、これって偶然ですか?
でも納得いく話でもあるわ。だってワンダーオーブはすべて王国で入手できるのですから、神々は王国近辺に自らの子を託してもおかしくはない。
それよりも、フォレスティエの家名が、二千年前から存在していたことの方が驚きよ。王国の歴史は確か五百年弱。十分歴史のある王国ですが、千五百年間もその名を途絶えさせなかったのね。
「てゆうか、なんで貴方は私の部屋にいるのよ」
「俺が俺のいたいところにいる。それの何がおかしい?」
「…………まあ、この部屋豪華ですからね! 好きなだけいればいいじゃない!」
こいつは良い部屋にいたいだけ。こいつは豪華な内装が好きなだけ。私の部屋は出入りしやすかっただけ。ただそれだけ。
乙女ゲームに登場したワンダーオーブはあと一つ。【紫】のワンダーオーブが出現すれば、七つ全部が存在することになる。
【白】や【■】のワンダーオーブが存在するかもしれませんが、これはひとまず保留にしましょう。
現在私の手元にある【白】を除いたワンダーオーブは【橙】【黄】【青】【藍】の四つ。
アリゼの手元には【赤】のみ。そして【緑】ですが、おそらくオリバーに奪われたんだわ。
【黄】のワンダーオーブがあったというのに、【緑】のワンダーオーブによって底上げされたオリバーの魔法は看破することができませんでした。
そもそもワンダーオーブとは何か。禁書曰く、ワンダーオーブを授ける神々が、生前に世界のルールを書き換えるため、各々の異能を宝珠に変えたアイテム。
その七つが乙女ゲームのキーアイテムとして扱われている。何故?
乙女ゲームではワンダーオーブを不思議アイテムとしか扱っていなくて…………確かに浄化魔法は各ストーリーで登場しましたけど、取ってつけたような内容でしたわ。掘り下げるつもりを感じなかったわ。
「考えれば考えるだけわからないわ」
神々に問うのが手っ取り早いのかもしれませんね。でも、女神イレーヌのように曖昧にはぐらかしそうだわ。
ワンダーオーブについてはここまでね。お次は魔法遠征後にジャンヌ達に夢を見せた存在。
その正体は女神マルグリット曰く、中垣深雪という女性らしい。ただし、この情報源すらも私の夢。もしかしたら本当にただの夢かもしれないわ。
もし中垣深雪が真犯人なのだとしたら、私は誰?
中垣深雪とは前世の私の名前だ。オタクでアラサーで異世界転生ものの作品が大好きで…………家族構成は■■と■■■あ■が■ト■お■う■が■ト■。■ょ■業■普通ノОLで土日し■く■■み。好■な食べ■ハアーモンド■ョコレ■トデ嫌■な■べ物ハ■肉■ア■ラ身。■■う中は■通ニ進■■し、■うコ■も■え■ら徒歩■分ケ■ナ■■■き当■バ■■ニ■学。大■クモ無理ナク入■■きる■コロ■し■が■してテ■当ナ論文で■業■友ダ■は■く■少なくモ■なく目だっ■■■ろ■ナいニ■間だった。
何か、前世を考えようとすると苦痛とも思えるほどの頭痛が私を襲おう。おかしい。ゲームのことを思い出す時はメモリーカードからロードするかのように情報を引き出せるというのに。
前世の世界の物や言葉。教科書で習う偉人や発明品、料理はポンポン思い出せるのに。
いくら脳内で「中垣深雪」と検索しても、文字化けしたデータしか取得できないみたい。
仮説を立てましょう。私が中垣深雪個人を思い出せない理由と、ジャンヌ達に私と敵対させた中垣深雪。
それが何者なのか。あるいは、私の夢がそもそも誤情報で何者かがマルグリットの姿を使って私の夢に介入してきたか。
ただし、介入してきた人物は少なくとも中垣深雪を知っている人物。もしこいつが敵だった場合にもう一つ恐れなければいけないことがある。
その人物は、中垣深雪を知っているなら、乙女ゲームの知識もあるはずだ。
「とにかくこれは一度会って話してみましょうか。砲の英雄、女神マルグリット」
「あいつならあえないぞ」
「え?」
私が呟くと、そこにはブランクの姿で勝手にくつろいでいる魔王がいた。
「あんたのことってどう呼べばいいの?」
「…………そうだな、魔界の外でノワールと呼ぶのは危険だろう。魔王の名前を知っている者もいるしな。あれなら今まで通りブランクでもいい」
「今まではそういうものでしたから大目に見ていましたが、顔を見せないで会話するのは不敬よ」
「そうか」
魔王は何の抵抗もなくフードを外してくれました。彼の顔は少しだけ不機嫌そう。
「ところでマルグリットの件ですが」
「あいつは必要な時以外に絶対に現れない。それもあいつが考える必要な時だ」
「そうですか」
「ただまあ、あいつの直系の子孫ならもしかしたらあってくれるんじゃないか? あいつは家族愛が強いからな」
「へ、へえ」
誰よ! マルグリットの直径の子孫なんて心当たりもないんですけど。
「ファミリーネームは?」
「世界のルールを書き換えた後に、七英雄は各々の子供を世界に産み落として直ぐに神格化しちまったから、子供たちは家名も知らずに大人になったと思うぞ」
「そう」
「確か神の子七人を預かって育てたのが、フォレスティエと名乗っていたな」
「え?」
フォレスティエってうちの家名なんですけど、これって偶然ですか?
でも納得いく話でもあるわ。だってワンダーオーブはすべて王国で入手できるのですから、神々は王国近辺に自らの子を託してもおかしくはない。
それよりも、フォレスティエの家名が、二千年前から存在していたことの方が驚きよ。王国の歴史は確か五百年弱。十分歴史のある王国ですが、千五百年間もその名を途絶えさせなかったのね。
「てゆうか、なんで貴方は私の部屋にいるのよ」
「俺が俺のいたいところにいる。それの何がおかしい?」
「…………まあ、この部屋豪華ですからね! 好きなだけいればいいじゃない!」
こいつは良い部屋にいたいだけ。こいつは豪華な内装が好きなだけ。私の部屋は出入りしやすかっただけ。ただそれだけ。
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