BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

文字の大きさ
189 / 228

184話 従者という枷

しおりを挟む
 広場に一人残された私の元に駆けつけるセシルとスザンヌ。私がオリバーの言った言葉を二人に伝えると、二人も私と同じ仮説に行きつきました。

 セシルはアリゼのことを知りませんので、あくまでその部分ははぐらかしています。歯切れの悪い私の言葉でしたが、セシルは何か事情があると察してくださいました。

 こんな場所に留まっているなんて耐えられない。私は二人の方に視線を向けて口を開きました。

「今すぐにブラン王国に帰りましょう」

 そう提案をすると、セシルとスザンヌは、やはりそういうのですね。そういいたそうな表情で私をみていました。そしてスザンヌがわたしに問います。

「本当に宜しいのですか? 今ここでラヌダ帝国側に何の断りもなくログルアット城から出るなんて。場合によっては反逆の意思をみせているようなものかと」

「…………でも、確かめないと。今確かめないと手遅れになってしまうかもしれないわ」

 それにもし帝国内でオリバー達の目的地が把握できたからと言っても、本当にアリゼの襲撃に対する応戦だったなら、結局私達は王国に向かうことになります。

 私はスザンヌの方に視線を向け、スザンヌがそれに気付いてから声をかけました。

「スザンヌ、貴女は私を止めたいのかしら?」

「いいえ、そのようなことは…………」

 スザンヌは首を振ります。茶髪の髪の毛が大きく左右に動きます。

「じゃあ、私を危険な目に合わせたくないのかしら?」

「私はあくまで従者として…………いえ、そうですね。姫様を最も安全にお守りすることが仕事です。その意味ではブラン王国に帰らないという選択肢は私の中では正解でした。姉さんは違うのですか?」

 スザンヌがすぐ隣に立つセシルの方に視線を向けると、セシルはにっこりと笑ってこう言った。

「確かに間違った道を歩む主を止めるのが私の仕事ですし、スザンヌは正しいわ。それに私は私の主であるエリザベート王妃より姫様の安全を命じられています。なのでここでブラン王国に行くのは間違いです」

 セシルの言うことは正論だ。この場にいる私からも上手な反論もできないし、スザンヌも納得している。

「ほらやっぱり姉さんも「だからもう従者をやめるわ」

「姉さん!?」
「セシル!?」

 セシルの口からは、私とスザンヌが耳を疑うような発言が飛び出してきました。私達はポカンとしたままセシルを見つめると、彼女はニッと笑った表情を作ります。

 自信ありげな表情のセシルが私の手を取りました。

「行きますよ姫様。あーいえ、クリスティーン! 王族らしさなんて関係ない。私が面倒を見てきた貴女は、ここで足踏みできないでしょう?」

「! ええ、そうね!!」

 セシルはもう従者であることを辞める気だ。そこまでして彼女はブラン王国に帰りたいという私の意思を尊重することを優先してくれたのでしょう。

 私とセシルが決心する。二人でスザンヌの方に視線を向けると、スザンヌは何かを言いたそうにしていた。私は彼女の言葉を待つ。

「確かに、私がお供してきた姫様は檻に入ってもまだ人を食い殺そうと企てる獅子のような方でしたね」

「絶対違うわ。そこまでじゃないわよ? そこまでじゃないわよね?」

 スザンヌが訳の分からない表現で私を現し、私がそれだけは否定したいと何かうまいことを言おうと考えていると、セシルとスザンヌの視線がぶつかる。

 そして二人は私の方を見つめて言葉を重ねました。

「「では姫様、一言お願いします」」

 二人は求めている。私の言葉を。私は二人が今求めている言葉を頑張って咽喉から吐き出した。

「貴女達はクビよ! だから一緒にブラン王国に行きましょう?」

 私がそう声をかけると、セシルもスザンヌも今まで見たことないようないい笑顔をして私に抱き着いてきました。

「もちろんです」「仕方ないですね。友人としてついて行きましょう」

 三人でウィルフリードの預けられている倉庫に向かって走っていきました。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

処理中です...