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189話 君の前だからこそ、最後までかっこつけたかったなんて口にするのは簡単なようで難しい
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私の目の前で未だに立ち上がろうとしないオリバー。やりすぎたかしら。少しだけそう思いましたが、彼には不自然なくらい外傷が見当たらない。
「オリバー皇子?」
私の声掛けにやっと気付いたのか。彼の顔がゆっくりとこちらを見上げようとする。
そして彼の身体の周囲から少しずつ魔力が漏れ出ていくと、綺麗な身なりに傷一つない肌から、体中傷だらけで手当の後とボロボロの服装に変わった。
「!?」
「はは、とうとう剥がされてしまいましたか。これはかっこ悪い」
「貴方そんな身体で…………どういうこと? それに気付かなかったけど、【緑】のワンダーオーブがどこに?」
そう、会話をしている時は気が気でなかったから気付きませんでしたが、彼の魔力量はいつも通りだった。【緑】のワンダーオーブを持っていればそんなはずはない。
思えば魔界にいた時から彼は魔力総量を誤魔化していた。あの時はこちらの知覚を操作されていたからでしょうが、それが当たり前すぎてワンダーオーブを盗られたことが発覚した後も気付けなかった。
だってラヌダ帝国に来てからなら、魔力総量を誤魔化す必要なんてない。誤魔化してしないというのであれば、答えは一つ。
「貴方、とっくの昔に相応しいと思う人物に【緑】のワンダーオーブを譲渡していたのね」
「ご明察。君は本当にいらないところばかり鋭い姫だ」
そう言った彼は口から血を垂れ流す。
「喋らせたのはこっちだけど、喋らないで。今、手当てするから」
私が回復魔法をかけようとすると、帝国兵が停めに入る。
「ブランの姫よ。どうかここは我々の手だけでお願いします。仮にも貴女は帝国を裏切った身です。皇子を任せる訳にはいきません」
「そんな安いプライドと皇子の命。どっちが大事なのよ!」
幻惑魔法で傷を隠されていたとはいえ、彼に大ダメージを与えたのは私だ。
「貴方もこれがわかってて決闘をしたならちょっと卑怯だわ」
「こんな手法で俺が君を引き留めるとでも? ばかばかしい話ですね。もし負けたとしても、君が視えなくなるでこの傷は隠すつもりでしたよ」
「だから喋るな! 答えなくていいのよ!!」
「ええ…………ふふふ、はは」
最初は困惑したように声を漏らしたオリバーでしたが、次第に笑い始めます。
「ええい!? よくわかりませんけど笑わないで頂戴!」
「…………」
オリバーがこちらをじっと見つめる。何か言いたいことはわかりますが、何も伝わらない。顔に何かついているなら、今だけひっそり喋ってもいい。
いえ、余計に喋らせる訳には行きませんね。
「でもやっぱり少しだけ治療させて頂戴。慰謝料ってことで」
そう言って私は可能な限りオリバーの治療をしてあげることにした。
オリバーをウィルフリードに括り付けて落ちない様にし、回復魔法をかけ続けながら、ブラン王国に向かう。
帝国兵も婚約破棄後も現地で共に戦ってくれるそうでしたので、そのままついてきてもらうことにしました。
「オリバー皇子の様子はどうですか?」
ジャンヌがこちらの様子を気にして振り返る。私は首を横に振った。しばらく回復魔法をかけ続けましたが、目を覚まさない。
よほど無理していたのでしょう。回復魔法でも完治しないほど傷だらけになって、泥の様に眠る彼はずっと自らの怪我を悟られない様に魔法で隠していた。
そんな相手にワンダーオーブを複数持つ私が本気で相手をしてしまうなんてね。
「起きたら【緑】のワンダーオーブの在処を聞きださないといけないし、貴方にはまだまだやって貰うことがあるのよオリバー」
彼は未だに深い眠りから覚めない。ウィルフリードに乗っていた私達は、騎馬隊よりも早く王都にたどり着く。途中、帝国兵の駐屯所を見つけた私達は、オリバー皇子をそこに預けることにしました。
彼らには婚約破棄のことをひとまず黙って私は王都に向かいます。
結局、駐屯所にも【緑】のワンダーオーブを持っていそうな人はいない。オリバーも目を覚まさなかったし聞きだすこともできませんでした。
気が付けば日が沈んでいた。王都北側。ラヌダ帝国から最短ルートでたどり着く地区では、多くの魔導士同士が戦い続け、民家は焼け、赤い炎から黒い煙が上がっていた。
「ひどい…………」
「行きましょう姫様」
私とスザンヌが紅く燃える王都に絶句している中、ジャンヌはもうこの光景に驚いている様子はない。
広い王都。きっと彼女はここと同じような光景を見ていたのでしょう。この規模とはいえ、何日も続く戦争。我が国は内側にとどまり、外側から囲まれている現状。圧倒的不利な状況でしたが、何としても切り開くしかない。
「ええ、行きましょう。私達の平和を取り戻すわよ」
私達はウィルフリードに乗って王都北側の燃え上がる街中に突入しました。
「オリバー皇子?」
私の声掛けにやっと気付いたのか。彼の顔がゆっくりとこちらを見上げようとする。
そして彼の身体の周囲から少しずつ魔力が漏れ出ていくと、綺麗な身なりに傷一つない肌から、体中傷だらけで手当の後とボロボロの服装に変わった。
「!?」
「はは、とうとう剥がされてしまいましたか。これはかっこ悪い」
「貴方そんな身体で…………どういうこと? それに気付かなかったけど、【緑】のワンダーオーブがどこに?」
そう、会話をしている時は気が気でなかったから気付きませんでしたが、彼の魔力量はいつも通りだった。【緑】のワンダーオーブを持っていればそんなはずはない。
思えば魔界にいた時から彼は魔力総量を誤魔化していた。あの時はこちらの知覚を操作されていたからでしょうが、それが当たり前すぎてワンダーオーブを盗られたことが発覚した後も気付けなかった。
だってラヌダ帝国に来てからなら、魔力総量を誤魔化す必要なんてない。誤魔化してしないというのであれば、答えは一つ。
「貴方、とっくの昔に相応しいと思う人物に【緑】のワンダーオーブを譲渡していたのね」
「ご明察。君は本当にいらないところばかり鋭い姫だ」
そう言った彼は口から血を垂れ流す。
「喋らせたのはこっちだけど、喋らないで。今、手当てするから」
私が回復魔法をかけようとすると、帝国兵が停めに入る。
「ブランの姫よ。どうかここは我々の手だけでお願いします。仮にも貴女は帝国を裏切った身です。皇子を任せる訳にはいきません」
「そんな安いプライドと皇子の命。どっちが大事なのよ!」
幻惑魔法で傷を隠されていたとはいえ、彼に大ダメージを与えたのは私だ。
「貴方もこれがわかってて決闘をしたならちょっと卑怯だわ」
「こんな手法で俺が君を引き留めるとでも? ばかばかしい話ですね。もし負けたとしても、君が視えなくなるでこの傷は隠すつもりでしたよ」
「だから喋るな! 答えなくていいのよ!!」
「ええ…………ふふふ、はは」
最初は困惑したように声を漏らしたオリバーでしたが、次第に笑い始めます。
「ええい!? よくわかりませんけど笑わないで頂戴!」
「…………」
オリバーがこちらをじっと見つめる。何か言いたいことはわかりますが、何も伝わらない。顔に何かついているなら、今だけひっそり喋ってもいい。
いえ、余計に喋らせる訳には行きませんね。
「でもやっぱり少しだけ治療させて頂戴。慰謝料ってことで」
そう言って私は可能な限りオリバーの治療をしてあげることにした。
オリバーをウィルフリードに括り付けて落ちない様にし、回復魔法をかけ続けながら、ブラン王国に向かう。
帝国兵も婚約破棄後も現地で共に戦ってくれるそうでしたので、そのままついてきてもらうことにしました。
「オリバー皇子の様子はどうですか?」
ジャンヌがこちらの様子を気にして振り返る。私は首を横に振った。しばらく回復魔法をかけ続けましたが、目を覚まさない。
よほど無理していたのでしょう。回復魔法でも完治しないほど傷だらけになって、泥の様に眠る彼はずっと自らの怪我を悟られない様に魔法で隠していた。
そんな相手にワンダーオーブを複数持つ私が本気で相手をしてしまうなんてね。
「起きたら【緑】のワンダーオーブの在処を聞きださないといけないし、貴方にはまだまだやって貰うことがあるのよオリバー」
彼は未だに深い眠りから覚めない。ウィルフリードに乗っていた私達は、騎馬隊よりも早く王都にたどり着く。途中、帝国兵の駐屯所を見つけた私達は、オリバー皇子をそこに預けることにしました。
彼らには婚約破棄のことをひとまず黙って私は王都に向かいます。
結局、駐屯所にも【緑】のワンダーオーブを持っていそうな人はいない。オリバーも目を覚まさなかったし聞きだすこともできませんでした。
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「ひどい…………」
「行きましょう姫様」
私とスザンヌが紅く燃える王都に絶句している中、ジャンヌはもうこの光景に驚いている様子はない。
広い王都。きっと彼女はここと同じような光景を見ていたのでしょう。この規模とはいえ、何日も続く戦争。我が国は内側にとどまり、外側から囲まれている現状。圧倒的不利な状況でしたが、何としても切り開くしかない。
「ええ、行きましょう。私達の平和を取り戻すわよ」
私達はウィルフリードに乗って王都北側の燃え上がる街中に突入しました。
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