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201話 【緑】の行方
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帝国兵にオリバーを運んでもらいつつ、私たちは王宮に向かいます。王宮ではフレデリックの敗北はまだ伝わっていない様子。今も傭兵たちと王国の騎士団が交戦中。そんな中、私は幻惑魔法を行使して王宮内部にすり抜けていきます。
「誰かしら?」
王宮内部の庭園に潜り込んだところで、大人の女性の声で呼び止められる。私は今、幻惑魔法で姿をくらましているから、私に気づいたということは、同様に幻惑魔法を操る魔術師。私は恐る恐る振り返ると、そこには金色の髪に深紅の瞳の女性。母、エリザベートが私の姿のある場所を睨んでいた。
普通に考えれば侵入者。警戒されて当然だろう。思えば、この母がいたからこそ安易に幻惑魔法使いが侵入できなかったのかもしれない。
「お母さま」
私が幻惑魔法を解除して、その姿をさらすと、エリザベートは目を見開いた。なぜなら彼女の認識では、私はちょうどいいタイミングで帝国に嫁いでいったのだから。
思えば、私の婚約をジェラールやエリザベートがあっさり了承したのは、私を逃がすためだったのかもしれない。そう考えると、傭兵たちの襲撃はずっと昔から察知していたのでしょう。私だけ、何も聞かされることもなく。
「戻ってきたのね」
「はい」
「ここがどういう状況か、理解しているのね?」
「だからこそです」
私の砂埃で汚れた服と髪。擦り傷のある顔を見たエリザベートは、きつい表情を崩さない。完全に怒っているのだろう。当たり前だ。もし、私が母親であったら、こんな選択をした娘を叱らないはずがない。
「いつの間にか……こんなに強くなったのね。こちらに来なさい。傷を治すわ」
そういってエリザベートに久しぶりに抱きかかえられる。抱きかかえられて初めて、私は自身が疲労しきっていたことに気づきました。
そういえば、先に走っていったはずのジャンヌとスザンヌはどこに行ったのかしら。王宮にたどり着けていない? 無事だといいのですけど。
王宮の離れの一つ。そこをけが人が仮設ベッドに横たわっている状態で集められていました。そこには回復魔法使いが大量に集められていて、その中には当然ジョアサンとミカエル大司教がいらっしゃいました。
そして私はミカエル大司教の顔を見てあることに気づく。彼の魔力総量が尋常ではない。常人ではありえない領域に踏み入れている。どういうこと。
そこで私はオリバーの言葉を思い出しました。そういえばオリバーは、相応しい人物に【緑】のワンダーオーブを渡しているって……その相応しい人物が治療担当のミカエル大司教ということ?
そうか、戦争においてもっとも魔力総量が必要だと判断されたのが、大司教様だったんだ。オリバーはあらかじめそれを想定していたんだ。本当に、やることなすこと全部話してくれたら、貴方にあんなけがを負わせなかったのに。
私のせいでオリバーは一度死にかけて、そして大切な従者まで。
「クリスティーン姫?」
私に気づいたジョアサンがこちらに駆け寄ってきます。
「ジョアサン、久しぶりね」
「帝国に嫁いだのでは?」
「破棄してきたわ」
「破棄!? まあ、いいでしょう。少し安心しました」
「安心? そんなことよりけが人はまだどれくらいいるのかしら? 私も手伝うわ」
治療に参加し始め、少しずつですが負傷者が減っていきました。こちら側が劣勢だった原因であるロマンとフレデリックを撃破したのが大きかったのか、次から次へと負傷者が運ばれてくることはない。そして重傷者の治療に回す余力が出てきました。
しばらく放置されたままだったアレクシスやミゲルの治療も専念され始めます。私はその様子を心配しながらも、自分でも治せる軽症者治療を施しました。
しばらくして主戦場で指揮をしていたジェラールが帰ってきたという知らせを受け、私はエリザベートに連れられ、父のもとに向かうのでした。
「誰かしら?」
王宮内部の庭園に潜り込んだところで、大人の女性の声で呼び止められる。私は今、幻惑魔法で姿をくらましているから、私に気づいたということは、同様に幻惑魔法を操る魔術師。私は恐る恐る振り返ると、そこには金色の髪に深紅の瞳の女性。母、エリザベートが私の姿のある場所を睨んでいた。
普通に考えれば侵入者。警戒されて当然だろう。思えば、この母がいたからこそ安易に幻惑魔法使いが侵入できなかったのかもしれない。
「お母さま」
私が幻惑魔法を解除して、その姿をさらすと、エリザベートは目を見開いた。なぜなら彼女の認識では、私はちょうどいいタイミングで帝国に嫁いでいったのだから。
思えば、私の婚約をジェラールやエリザベートがあっさり了承したのは、私を逃がすためだったのかもしれない。そう考えると、傭兵たちの襲撃はずっと昔から察知していたのでしょう。私だけ、何も聞かされることもなく。
「戻ってきたのね」
「はい」
「ここがどういう状況か、理解しているのね?」
「だからこそです」
私の砂埃で汚れた服と髪。擦り傷のある顔を見たエリザベートは、きつい表情を崩さない。完全に怒っているのだろう。当たり前だ。もし、私が母親であったら、こんな選択をした娘を叱らないはずがない。
「いつの間にか……こんなに強くなったのね。こちらに来なさい。傷を治すわ」
そういってエリザベートに久しぶりに抱きかかえられる。抱きかかえられて初めて、私は自身が疲労しきっていたことに気づきました。
そういえば、先に走っていったはずのジャンヌとスザンヌはどこに行ったのかしら。王宮にたどり着けていない? 無事だといいのですけど。
王宮の離れの一つ。そこをけが人が仮設ベッドに横たわっている状態で集められていました。そこには回復魔法使いが大量に集められていて、その中には当然ジョアサンとミカエル大司教がいらっしゃいました。
そして私はミカエル大司教の顔を見てあることに気づく。彼の魔力総量が尋常ではない。常人ではありえない領域に踏み入れている。どういうこと。
そこで私はオリバーの言葉を思い出しました。そういえばオリバーは、相応しい人物に【緑】のワンダーオーブを渡しているって……その相応しい人物が治療担当のミカエル大司教ということ?
そうか、戦争においてもっとも魔力総量が必要だと判断されたのが、大司教様だったんだ。オリバーはあらかじめそれを想定していたんだ。本当に、やることなすこと全部話してくれたら、貴方にあんなけがを負わせなかったのに。
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「クリスティーン姫?」
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「ジョアサン、久しぶりね」
「帝国に嫁いだのでは?」
「破棄してきたわ」
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「安心? そんなことよりけが人はまだどれくらいいるのかしら? 私も手伝うわ」
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しばらく放置されたままだったアレクシスやミゲルの治療も専念され始めます。私はその様子を心配しながらも、自分でも治せる軽症者治療を施しました。
しばらくして主戦場で指揮をしていたジェラールが帰ってきたという知らせを受け、私はエリザベートに連れられ、父のもとに向かうのでした。
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