BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

文字の大きさ
210 / 228

204話 力を合わせて

しおりを挟む
 その場にいてなんとかくわかる。その向こうにいる戦場には似合わない黒いウェディングドレスのような服を着た至ってどこにでもいるような女性は、間違いなくアリゼだ。

 どんな魔法かわかりませんが、大きな鎌が宙を浮いてぐるぐると回転している。先ほど私に襲い掛かったのもあれの一つでしょう。

「貴女がクリスティーン?」

 アリゼが私を見つめて確認する。

「ええ、そうよ。私はブラン王国第一王女、クリスティーン・ディ・フォレスティエ! 貴女を止める魔術師よ」

 私がそう答えると、アリゼはケタケタと笑い始める。何がおかしいのか。いいえ、彼女にとって自分を止める存在だという発言をする私が、痛い少女にしか見えなかったのでしょうね。

 それでも、それを痛い発言で終わらせない。終わらせられない。

「ブランク、ここからは私たちも戦うわ」

「ダメに決まっているだろ?」

「そういうと思ってたわ。でもね……もう言い争っている時間はないでしょ?」

 私がアリゼの方に視線を向けると、彼女はこちらの会話を待とうともしない。大きな鎌がどんどん生成されてこちらに向かって飛んでくる。

 ブランクがさきほどの剣のような物でそれをはじき、私も波動魔法で撃ち落とす。ほかのみんなもそれぞれ得意魔法で防いだり、防ぐことができない人の分をカバーしあったりして対処する。

「…………お前は契約が終わるまで絶対に死なせない」

「……契約ね。いいわ! それでいい! 貴方ってもともとそういう人よね!」

 強がりと言われればそれまで。でも、魔王に情を求めるのは酷なのかな。でもね、ブランク。本来の貴方の求めた物はアリゼが持っているのだとしたら、この契約はここが終着点。

 この先で貴方が私を求める理由なんてない。だから、今ここで私を生かそうとするのは、矛盾でしかないのよ。

「煩わしい。これならあどうかしら」

 アリゼが上空を指差す。すると上空にはありえない大きさの火の玉のようなもの。いいえ、あれは隕石だ。今、私たちの頭上に隕石が落ちてこようとしている。でも、この魔法はゲームのエピローグの背景描写にあった奴よ。

「私たちで何とかするからブランクはアリゼを攻撃して頂戴」

「できるんだな?」

「やるのよ」

 視線を合わせて一瞬。一秒も無駄にできないこの瞬間だからこそ、ブランクは私に託してくれた。私は小瓶から【緑】と【青】のワンダーオーブを取り出すと、それをカトリーヌにに投げ渡す。とっさにそれを受け取るカトリーヌ。

 【緑】のワンダーオーブは魔力総量の上昇。【青】のワンダーオーブは魔法出力の向上。

「私にやれってことね。いいわ波動魔法、断罪ジャッジメント

 カトリーヌの波動魔法は本来、ありえないほどの破壊力と引き換えに、射程距離と速度が極端に遅い欠点がありました。でも、この瞬間の彼女は違う。膨大な破壊力の塊の波動が、極太のレーザーのように放出され、隕石を塵になるまで粉砕してしまった。

 あの魔法の欠点は火力と射程が高すぎて、地上に撃ってしまうと誰かを巻き込む恐れがあるということくらいでしょうか。

 今、ここにいるメンバーの魔法は多彩。ワンダーオーブは七つ。対処できない事態なんてありえないわ。時空魔法、逆再生リバースで渡したワンダーオーブを私の手元に回収。ブランクとアリゼが剣を交わしている中、私は【橙】と【緑】のワンダーオーブをビルジニに、【黄】と【紫】のワンダーオーブをミゲルに投げ渡す。

 【橙】のワンダーオーブは魔力収集の速度上昇本来、簡易詠唱で唱えていた魔法も無詠唱で運用ができます。【黄】のワンダーオーブは魔力耐性の上昇。【紫】のワンダーオーブは魔力感知の上昇。

「君の言いたいことはだいたいわかったよ姫君」

「御意」

 ビルジニが周囲の瓦礫に錬金付与魔法を施すと、そこにあった瓦礫が新品の槍に作り変えられる。その槍を握ったミゲルが特攻していく。ブランクとアリゼの激しい戦いの中、ブランク側にミゲルが加わります。

 そのタイミングでビルジニからリビオに【橙】のワンダーオーブが渡されます。

 ブランクの剣のような物が宙の鎌をはじいてアリゼにとばすも、アリゼは地中から槍を突き出してそれを防ぐ。ミゲルがその槍の陰に隠れアリゼの視界から一瞬消える。そのタイミングでブランクが炎の魔法を飛ばすと、アリゼが宙の鎌を回転させて盾に使う。そのタイミングを見逃すことなくミゲルが槍の陰から飛び出しアリゼに突進するも、間一髪でアリゼがそれを交わして転がっている瓦礫を宙に持ち上げてミゲルの下あごを狙う。

 ミゲルがぶつかった衝撃で顔の向きが上空に向いてしまう。それを隙だと感じたアリゼが地中から槍を突き出してミゲルの心臓を狙おうとするが、ミゲルが呟く。

「守護魔法、結界バリア

 槍の先がぶつかる一転集中の小さな結界。ずれれば刺されてもおかしくないそんな場所に小さな結界を生成した。

「なぜここに!? その鏡は!!」

「幻惑魔法、ミラーですよ。彼の視界には常に様々な視点からの攻撃を目視できるようにしていました」

「こんな無数に!? なぜ今まで気づかなったんだ」

 それは貴女が気づかないうちに、【橙】のワンダーオーブの力でリビオが状態魔法、視線誘導ゲーズ・ガイダンスを無詠唱で使ったから。といっても、高位の魔術師相手にできる視線誘導は、多少のものが視界に入っても気にしない程度ですけどね。

 オリバーの幻惑魔法が鎌によって物理的に破壊される。ここまでは予想通り。

「まだまだ終わらないわよ! もう笑わせないんだから!!」
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処理中です...