BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

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214話 普通の女の子

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 神々のもとに連れていかれたみんなを見送った翌日。私はジャンヌを呼び出し、王宮にある広めの庭に足を運びました。

「ジャンヌ」

「はい、姫様」

 ジャンヌは私の後ろにただついてくるだけ。今日は魔法のトレーニングとだけ話している。

 実際に最前線で戦ったジャンヌだからこそ、この意味が授業で落第しないためとかそういう感じではないことを理解しているはず。

 ジャンヌも周囲をきょろきょろしている。登城こそ初めてではないが、やはり自分の身分を気にしているのでしょう。今更気にする人なんていないのに。

「あの、ここで何を?」

「ジャンヌの魔法の光はね。誰よりも早くそして誰よりも強いわ。でもそれだけ。アリゼを倒すには光をコントロールできるようにするのよ」

「光のコントロール?」

「ええ」

 ジャンヌはいまいちピンと来ていない様子。でもそれはこれから教えることだから問題ないわ。

 ジャンヌはまだ発光と高出力のレーザーが基本。過去に一度だけ光を編むようにして鎧を作ったことから、それを応用することで形のある光を作れるはず。

 あの時の鎧は正確にはジャンヌの身体付近だけ高出力の光となって発光していたもの。それでも十分形にはなっていたし、あとは作った物を自在に動かす能力があればいいのだけれど。

 こればっかりは先駆者がいない。つまりこれから私とジャンヌは、理論のない実験を繰り返す。だからこそ彼女のコーチは私しかいないんだ。

「ジャンヌ。私に命を預ける覚悟はあるかしら?」

「…………あります」

 私の問い。彼女は答えるまで少し間があった。むしろ迷わず答えられる方がすごい回答だ。騎士であれば当然かもしれないことですが、彼女はただの農家の娘。軍人でも革命家でもない。魔力適性があったから魔法学園に訪れて、偶然私と同じクラスになっただけの女子生徒。

 時代故に貴族と平民の格差から彼女は少し目立ってしまっただけのただの生徒。

 誰かの血筋というわけでもなく、何かの運命を背負っているわけでもない。誰も恨まず、誰もを愛す。

 力なきことに絶望しても、誰かに手を差し伸べることに迷わない。

 力が覚醒して少しだけ自尊心が芽生えたけど、それでも人を守るために戦う意志のある人。彼女こそ、語り継がれるべき聖女だ。

 そんな貴女だから、そんな貴女だから。きっと私に命を預けてくれると答えるとわかっていた。

 それがいけないことと理解しても、彼女が選ぶ道がここだと私は理解していた。

「ジャンヌ、これから私とともに来てもらいたい場所があります。そして私たちは十分後。ここに戻ります」

「十分後? ずいぶん短いですね」

「ええ、十分後。でもね…………それはこの世界の時間の話よ」

 彼女が私の言葉の意味を理解するのに、十秒はいらなかった。互いの視線は常にぶつかりあい、それることはない。

「わかりました」

「物分かりがいいのね。これは私たちの寿命に関わる魔法。禁術指定されている時空魔法。これから私たちは時間を浪費して、帰ってきたときには何歳になっているかわからない。それでも、前に進むのね?」

「姫様」

「なあに?」

「しわくちゃの御婆ちゃんになるまで一緒にいてくれますよね?」

「いい度胸ね。くぐるわよ」

 時空魔法で造った異空間。その空間に入ることで私達は肉体の限界まで時間を使える。この魔法の解除方法は、術者が意図的に解除するか、私が天寿を全うするするか。

 でもこれは覚悟を確かめるための問い。きっと私も彼女も二歳から三歳は老いるでしょう。それまでに答えを導き出せばいい。

 いいえ、導き出して見せる。
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