私の可愛い悪役令嬢様

雨野

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幼少期

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 も~我慢ならん!可愛い娘をなんだと思ってんだ!!リリーは襲撃された過去があんだぞ!そん時だってむしろ護衛増やすか、それこそ外出禁止するとか対応するだろ普通!!
 禁止されたら会えなくなるからヤだけど。
 終いにゃ「おめえに護衛いらねえから」だとおぅ!?ターコ!!つか外より家ん中の方が危険だわダボがあ!!


 という訳で。私が護衛になる!!いや、いつでもずっと一緒にいられるように、メイド?いや侍女?
 …戦闘侍女。かっこいい!!
 よっしゃ!!



「という訳でリリー様、私を侍女として雇ってください!!」
「どういう訳!?…ま、まあ、もしもアシュリィが側にいてくれたら…こんなに心強い事ありませんけども…」


 そうでしょうそうでしょう!!善は急げ、さっそく…あら?


「どうすればなれるんです?面接?実技??」

 私の言葉に、3人ががっくりしてる。
 ししし仕方ないでしょう!?そんな、日本で使用人とか少ないんだから!!見たことない、と思うし!


「はあ…そもそも、孤児を雇って貰えるかどうか…少なくとも私は聞いたことありませんわ。
 今侯爵家の使用人は、皆それぞれ身元も経歴もしっかりした者達ばかりですし…」
「なんですと?じゃあじゃあ、よく漫…物語とかであるようなスラムで行き倒れてる少年に
『あら貴方、行く当てがないの?では、わたくしの執事におなりなさいな!今日から貴方の名前はセバスチャンよ!』
 的な展開ないの!?」
「何言ってますの…?そもそも執事は上級使用人ですから、それこそ爵位の低い貴族の次男三男だったり、平民だとしてもかなりの能力と時間が必要よ?
 あと、セバスチャンてどなた?」


 だああーーー!!ゲーム世界のくせに!そんなとこだけしっかりしてんじゃなーい!!!
 そんな時、さっきから黙っていたトロくんが口を開いた。


「でも…アシュリィちゃんが側にいるってのは僕も大賛成です。
 最近お嬢様…お姉様やメイドから危害を加えられているでしょう」
「っ!!?トロ!!なんで知って…!いえ、アシュリィが聞いたら…!!」



「……へえ…?」



 へーえ?ほおー?ふぅーん???


 さっきまでの興奮が、一気に氷点下。
 やば、キレそう。むしろキレた。




 ゴオオォォ…

 何かが、私の周囲を渦巻いている。
 風のようなモノを纏っているけど…部屋のテーブルや椅子に被害は無い。何これ。





「リリー様!あれなんすか!?風みたいの吹いてるけど…!」
「魔力が漏れ出してますわ!!さわ、れるわね。恐らく彼女が敵と認識した者が触れたら、魔力の刃で八つ裂きにされるわ…
 魔力をそのまま実体化するなんて、相当な魔力量が必要よ…?」

 ほう、良いこと聞いた。

「ならこの状態のまま、侯爵家に特攻すればいいんですね?お任せください」
「駄目だろ!?落ち着けっつーの!!」

 歩き出そうとした私だが、アシュレイに羽交い締めにされる。振り解くのは簡単だけど…
 アシュレイの身体が震えている…本能的に、今の私が怖いのか…



「…ごめん」



 落ち着くと、なんとか魔力を霧散させる事ができた。…うおっMPが600減ってる!魔力の刃、使えそうだけど燃費が問題か。


「ごめんなさい、取り乱しました」


 ぺこりと頭を下げる。みんな許してくれた。
 ところでアシュレイ、もう離していいぞ?

「え?…わあああっ!?すっすまん」

 顔真っ赤にしちゃって…思春期か?



「では話を戻しますが…トロくん、さっきの話は本当だね?」
「うん。お世話を放棄されたりドレスを汚されたり。お姉様なんかは直接手をあげたりしてるみたい」
「…もう。その通りですわ。年々酷くなってるのよね」

 そりゃ大変。一刻も早く側につかねば。



「どうしよう…誰か、侯爵家に紹介でもしてくれればいいのに…!あとついでに勉強!!」
「…私に貴族の友人でもいればよかったのですが…この間のお茶会で初めて他家の方と交流したのよ…」



 私達は4人揃って頭を抱えた。もういっそ、侯爵家の芋の皮剥きからスタートするか…?



 すると誰かが、会議室の扉を開けた。
 
「お話は終わったかしら?もうみんなお昼寝してるわよ」
「シスター…」

 シスターは私達の様子を見て、心配そうにしている。でも彼女に相談したところで…。するけど。


 かくかくしかじか。


「あら、それなら私の実家に相談してみましょうか。きっと力になってくれるわ」
「「「「え?」」」」
「そういえば言ってなかったわね。私の昔の名前はサラティナ・ベンガルド。これでもベンガルド伯爵家のお嬢様だったのよ~」

 うふふ~と笑うシスターもといサラさん。


 え?



「「「「えええええええーーー!!!?」」」」



 これは!私の運9999の効果か!?

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