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学園
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しおりを挟む一体何があった?最後の記憶は…カル様に抱っこされた事。
そんで次…反射的に目の前の人物を殴った。てっきり…ディードだとばかり…!
「ごめんね、痛くない?」
「平気だ」
よかった…アシュレイはすぐに意識を取り戻し、私達は地面に並んで座っている。
リリー達もいたとの事だが、今は三人衆とお祖父様しかいない。……ん?
「お祖父様!?なんでここに!」
「おはよう、アシュリィ。ちょっと近くに来たから顔を見に来たんだ~」
きゃー。お祖父様は地面に膝を突き、私をぎゅうっと抱き締める。
一通り撫でられ、お祖父様は満足したのか立ち上がる。
「じゃあもう行くね。アシュレイくん、頑張って」
?お祖父様は満面の笑みで手を振り、どこかに飛んで行った…ばいばーい。
「ではな、アシュリィ。妾も帰るが…何かあったらすぐ呼ぶように」
「うん!」
正直グレフィールがいる理由も不明だが。
彼女は魔国で過ごすのが好きなので、帰っててもらう。またねー。
「で…なんでお祖父様達いたの?」
「実は…」
かくかくしかじか。4人から詳細を聞いた。
「……へ!?ディードと決闘して、勝って、キス…した…!?」
「わ、悪い…。でもあの、オレ…ディードにはさせたくなくて…!」
ひゃわあ。アシュレイとキス…!なんで寝てたんだ私、もったいない!!!
アシュレイは顔を真っ赤にして、頭からプスプス煙を出している。
ごめん…としきりに謝るけど。べ、別に…嫌じゃないし。その…
「……その。私、意識無かったし…」
「うん…本当にごめん…」
いやそうじゃなくて。だから…
「も…もっかい…」
「…………へ?」
「…なんでもない!!!!」
くうぅ…!もう1回キスしたい!なんて言えないよー!!!
あーもう恥ずかしい!立ち上がると…腕をがしっと掴まれた。
犯人はアシュレイ。喉をごくりと鳴らし、キリッとした目を私に向ける。
「オレ…1人じゃなかったけど、ディードに勝ったんだ。
魔王陛下はもっともっと強いだろうけど…オレ頑張るから!陛下に勝ったら…お前に告白するって決めてるんだ!」
「アシュレイ…?」
「お前は。陛下じゃなくて…オレを、応援してくれるか…!?」
彼の決意が…震える腕からも伝わってくる。
「うん…。アシュレイの応援する。
お父様に勝ったら…アシュレイ=アルデバランになってくれる…?」
「(アルデバラン…?って確か、ライナス様の…公家の名?つまり…!)
なる!!オレ、お前と一緒に魔国に行く!!!」
アシュレイは私を正面から強く抱き締めた。顔に掛かる彼の髪がくすぐったい。
鎧が硬くて冷たいはずなのに。彼の鼓動が…直に伝わる。
…違うか。すっごくドキドキしてるの、私なんだ…。そっと背中に腕を回して、この幸せな時間を噛みしめる。
「(ねえねえアイルちゃん、パリスちゃん)」
「(うん。これ…)」
「(ああ、これは…)」
「「「(もう…お互いにプロポーズしてるじゃん…)」」」
三人衆は遠い目をしているけれど、幸せ絶頂の私にはどうでもよかった。
だが、その日の夜。ふと…「あれ、私。アシュレイに…お婿に来てって言った?」と自覚し。
ぎゃああああっ!と部屋中を転げ回り、壁やら家具を破壊するに至ったのでした。
翌日…アシュレイも同じだったのか、私の顔を見た途端「にょへえっ!?」と奇声を発し、柱とかにぶつかりながら逃げた。
それから顔を合わせればぎこちないが…その時間すらも愛おしい。そう感じてしまう…
数日後、何やらディードが招集をかける。私以外…な!!!仲間外れ、なんでや!!
「では会議を始めるぞ」
なんの?と首を傾げるのはオレ、アル、リリー、会長。
あ、この間の反省会?手をポンっと叩いたが、違うと呆れられた。
「魔王陛下への対策に決まってるだろうが。私が入ったとしても、今のままでは勝てないぞ」
「ディードも手伝ってくれんの!?」
勢いよく立ち上がったせいで椅子が倒れた。
これは失礼。直していると、ディードは再び呆れ顔。
「はあ…私は負けたんだ、当然だろう。
シュリも言っていた。「ライバルは負けたら仲間になるのがお約束だからね!」と」
よく分からんが、とにかく最大戦力ゲット!
腰を落ち着け、張り切って会議しようか!!キリッ!
「…全く。
それで、私が入ろうと…陛下にはまだまだ及ばない。更に向こうはガイラード、ルーデン、ドロシー、アンリエッタもいるからな」
ごくり…。全員気合を入れる。
「私は仲間になっても、お前達と呼吸を合わせるのは不得手だ。
それに気になっていたんだが。この中で…戦闘の指示をするのは誰なんだ?」
「「「「…………」」」」
……誰だろう?会長…じゃないな。全員割と…自由に動いてたし。
「だと思った…。まずそこからだ。
レイの力になると決めた以上、ある程度の指示には従うつもりだが。
私の所感で…アル。お前は自由に動いていい」
「え、そうなの?」
「ああ。お前は戦局を読み、臨機応変に動くのが巧い。逆にリリーは下手だ、お前達はペアになって動け」
「アルビーと?」
「そうだ、お前は誰かに指示された方がいい。
ただしアルも全体を見ていては動きが鈍る。指揮は向いてない」
よし…!と気合を入れる魔法使い2人。
アル達にはディードが魔法指導をすると。本格的になってきた…!
「俺は?」
「トレイシーは…そうだな。とにかく突っ込むのをやめろ」
「う…」
口を結ぶ会長。自覚あったんだな…
「残りの体力を考慮しろ。仲間がいるんだ、やられる前にやる!という考えは捨てろ」
「……しゃーねえな…」
会長は頭を掻いて不満気な声を漏らすが。
何故か表情は…若干嬉しそうに微笑んでいる。
「まあ私はひたすら突っ込むがな」
「ずっりい!」
「で、レイ。お前は相手を引き付ける役割だが…時には攻撃にも回る必要がある」
「おう」
「その辺の判断を私は出来ない。というか魔族は基本的に戦闘中、仲間の様子を気にしない。
やられたら下がって回復しろ!治ったら戻れ!の繰り返しだからな」
おおう…。じゃあオレもアルみたいに、自己判断で動けばいい?
「違う。お前は役割に徹しろ。だから…
私の見立てでは、あと1人仲間が欲しい」
「それは…どんな人物をお望みで…!?」
「まず絶対条件。
全体を見通す視野を持ち、場を纏める力がある、戦況を読み、的確に人員を動かせる。つまり統率者の器。
次いで…魔法と武術、両方に長けた者がいい。オマケによく通る大きい声を出せると助かるな」
「………ん…?」
その時…オレの脳裏に。
「1人浮かんだが…」
「奇遇だね、僕も」
「あら、私もよ」
「俺もだな」
「私もだ」
………どうやら全員、同じ人物を思い浮かべているようだ。でも…それなりに親しいとはいえ、力を貸してくれるかな…?
パメラ嬢も言ってた。戦時中でもないのに…命を懸けてくれる友人は貴重だと。
「まあそこは本人に聞くしかないだろう。行くぞ」
「え、今から!?」
「行動は速やかにするべきだ」
えーーー!?ディードはオレの首根っこを掴んで歩き出す。
3人は「行ってらっしゃーい」とにこやかに手を振る。けど!!
けど…彼以上に適任がいないのも事実。
ここは、どうにか説得するしかない…!拳を握り、誘い文句をいくつか考える。引き摺られた状態だがな。あいったたた、階段は勘弁!
「……ん?」
ん?途中でディードが止まった。オレも服をはたきながら立ち上がると…視線の先に。
学内のカフェにて目的の…デメトリアス殿下を発見!!問題は、その向い側に座る人物。
「なーに、話って?」
「…………」
なんで…アシュリィとお茶してんの!!?
こうしちゃおれん、オレはサササッと移動、2人の会話が聞こえる場所に身を隠した。
ディードも胡乱な目だが、気になっているのか付き合ってくれた。どれ…
「……ん?もっかい言って…?」
「…だから。来週…帝国で俺の誕生日パーティーがある。
そこに出て欲しい…パートナーとして」
………………え?
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