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学園1年生編

sideエリゼ

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「きゃああああ!!!」


「セレス!!!」


 脇腹に剣を受け崩れ落ちる彼女を…一番近くにいたシャルロットが辛うじて受け止めた。


「お兄様…お兄様…っ!!」

 だが彼女には今、いつもの冷静さはなく涙を溢しながら狼狽している。

「そのまま動かすな!!剣に触れるな、動ける奴は総出でバルバストル先生を探して呼びに行け!!!」

 場は混乱に陥り、シャルロットのように泣き喚く者も多数いる。
 だがその中でもパスカルや殿下達のようにすぐ動ける者は、ボク以外で唯一治癒魔術が使える先生を呼びに行ったり…

「取り押さえろ!!!」

「離せ!俺は勝った!!審判、俺の勝利宣言をしろ!!」

 今すぐその頭を潰してやりたいが…ランドール先輩に任せ、ボクはこっちだ!


「ごぼ…っ」

 セレスが大量に血を吐いた。マズい、時間が無い!
 彼女の細い腰に3分の1程、剣が水平に食い込んでいる。内臓もやられてるな…急げ!


「お兄様あ…!!」

「代われラサーニュ嬢!ラブレー、俺は何をしたらいい?」

「そのまま揺らさず抱いていろ。そして剣が抜け落ちないよう持っていてくれ」

「わかった」

 シャルロットに代わりゲルシェ先生が補助をする。シャルロットの制服は血塗れだ…今はルネ嬢が彼女を支えてくれている。
 そのルネ嬢も、顔面蒼白で涙を流しているが…絶対に助けるんだ、集中しろ!!!


 治癒の魔術に魔法陣は必要無い。対象に手を触れ、僕の魔力を流すのだ。


「はっ……はっ……はっ……」


 セレスは弱々しく…浅い呼吸を繰り返す。駄目だ、このままじゃボクの魔力が先に底を突く…!くそっ、くそ…!!

「くっそう…!」

 泣いている場合じゃない、そんな暇があったら魔力を流せ!!





「どうしたんですか!?」

「先生!!!」

 パスカルがバルバストル先生を連れて来た…!
 そしてパスカルは「セレスを助けてください…!」と言い、離れた。自分に出来ることはここには無いと判断したようだ。


「今すぐ完治は不可能だ!!なんとか一命を取り留めるところまで治癒をしてくれ!!」

「…っ分かりました!血の精製は私がします、貴方は塞ぐことに集中してください」

 先生もすぐに状況を把握し、魔力を流し始める。少しずつ、塞がってきた…!


 周囲は騒がしく、ルキウス殿下が指示を出しているようだ。
 そうだ全員早くどっか行ってくれ。そして今ランドール先輩がぶん殴っている決闘相手をとっとと罰してくれ。



「ラブレー君…まだ魔力は足りますか?そろそろ剣を抜かないと…!」

 ああ…魔力が残っているうちに抜き、一気に治さないと助からない。その為にも…


「全員下がれ!!いいか誰も半径15メートル以内に入るなよ!」

 セレスの服が邪魔だ。その場にいる生徒達を遠ざけてからボク達が壁となり隠し、彼女の服を引き裂いた。当然バルバストル先生は、彼女のサラシに反応する。

「え。ラブレー君、まさか…」

「後でいくらでも説明してやる!
 今だ、剣を抜け!」

 ゲルシェ先生はボクの言葉にすかさず抜いた。すでにセレスに意識はなく、無反応だったが…患部から鮮血が噴き出す。


「うっ…!!」

 ここまで酷い怪我は初めて見た…怯んでいる暇は無い、ボクの魔力を全部注ぎ込め…!

 ボクなら出来る、絶対に死なせない、これ以上誰にも涙を流させない!!



「きゃあっ!?」

「!?」

 なんだこのクソ忙しい時に…ってえええ!!?
 悲鳴が上がったほうに目を向けると…地面に、魔法陣が展開されている。しかもこれって…見覚えが…


「最上級精霊の召喚陣です!誰ですか一体!?」

 やっぱりー!!?バルバストル先生の言葉に、全員更に後ずさった。
 なんなんだフェニックス事件の再来か!!…今度はボクじゃないぞ、全員ボクに疑いの目を向けるんじゃない!!
 前科があるのは認めるが、今そんな魔力無いわ!

 ってボク達はこっちに集中しないと、先生の魔力がもう無い。だが…セレスの容体は、充分安定値に入ったと言ってもいいだろう。


「ゲルシェ先生、患部を固定して包帯を巻いてくれ!ひとまず危機は乗り越えた、後は時間を掛けてゆっくり治す」

「ああ」

 バルバストル先生を休ませ、ボクは魔力を流しながらもゲルシェ先生が処置する姿を眺める。



 ボクは今、生まれて初めて…膨大な魔力を持って生まれたこと。己の才に感謝した。




「…!?」

 って、そんな浸ってる場合じゃなかった!?後ろから突風と閃光が…!誰だよこんな時に最上級なんて喚びやがったのは!?
 セレスには処置を終えたゲルシェ先生が自分のジャケットを被せ、吹っ飛ばないよう優しく抱き締めている。

「ニナ!」

 ニナを呼び寄せた。ボクはまだ忙しいから、今から出て来る奴なんとかしといて!え、無理?そこをなんとか!


「……っ!!」

 光が収まると、そこには…青い目に真っ白な巨体の、狼…?
 その神々しさ、美しさ、威厳は…ただの精霊なんかではあり得ない。バルバストル先生がポツリと呟く。

「フェンリル…」

「え」

 フェンリル…?あの、光の最上級精霊…?なんで、ここに。

 え、なんだニナ?ふんふん…誰に呼ばれた訳でなく、勝手に顕現した…?いつかのドライアドのように、と。じゃあ…ここに何か用が?


「確か、光の精霊は穏やかなんだろう?」

「ええ。よほど逆鱗に触れるような真似をしなければ」

「…あれ、怒ってねえか…?」

 ボクも…ゲルシェ先生の言葉に同意する。

 あの顔は…どっからどう見ても怒ってる。顔に皺を寄せて、恐ろしい牙を剥き出しにしていらっしゃる。
 その視線の先は…ランドール先輩がフルボッコにしている、セレスの決闘相手…?
 しかも、そっちに向かってのしのし歩き…目を丸くする先輩達の前で、ぐるるるる…と低く唸った。


「…まさか。おいランドール先輩!!ソイツから離れろ!!!」

「!」

 彼は即座に飛び退き、次の瞬間。

 決闘相手…サイカが、フェンリルの爪に引き裂かれた…!?


「うわ…」
「ひい…!」

 サイカは断末魔の叫びを上げる間もなく…絶命した。確かめなくても分かる、真っ二つだからな…。
 さっき以上に、グラウンド中に悲鳴が響き渡る。だから無関係な奴らはとっとと帰れというのに…。

 …サイカを憐れとは思うが、正直言ってセレスをここまで傷付けた輩に同情する気は無い。
 と言うより、同情している暇が無い。何せそのフェンリルが、今度はこっちに近付いて来ているのだから…!!



「…!!ラブレー、今ラサーニュ姉を動かすのは拙いか」

「多少は…でも、抱えて走るのはマズい」

 ゆっくりと近付いてくるフェンリル。なんかよく分からんが…不思議と恐怖は無い。さっきその恐ろしい爪で、人を殺したというのに。

 ゲルシェ先生が、セレスと魔力切れで動けないバルバストル先生を引き寄せて身構える。ボクは彼らを庇うように前に立ち…え?


「敵意は、無い?彼はセレスに用がある…?」

 ニナが一生懸命説明してくれている。
 その間にもフェンリルはのそのそ近付き…ボクの横を「くるる」と鳴きながら通る。鳴き声可愛いなおい。


「く~…くるぅ」

 そのままセレスの顔を、舐めてる?どういう事だ?



「……あ、まさか。お前…セレネか?」

 セレネ?パスカルが呟くと、フェンリルが今度は彼に向かって歩き出す。

「いった、あだっちょっ、おい!」

 そして「フン!フン!」と言いながら、パスカルを鼻でど突く。何度も、何度も。
 満足したのかフェンリルは、ふんすと鼻を鳴らしてまたこっちを見て…その場に座り、伏せた。


「…乗れ?セレスと、ボクと、ゲルシェ先生と、バルバストル先生、が?
 揺らすような真似はしない、って?」

 ニナがそう言う。フェンリルもこっちをじーっと見ているし…どこかに連れて行く気か?

 分からない事ばかりだが、無視して最上級の精霊を怒らせると後が怖い。それにセレスに向ける優しい目と、パスカルへの態度から味方だと分かる。

 それでは遠慮なく。うわ、ふっかふかじゃないか!なのに4人乗っても、凄い安定感だ…!
 ボク、バルバストル先生、セレス、ゲルシェ先生の順で乗る。


「エリゼ…!お、お兄様は…?」

 まだシャルロットは涙を流している。
 大丈夫、危機は脱した。このフェンリルがどこかに連れて行ってくれるらしい、落ち着いたらすぐに手紙を送ると言ったら…安心したように座り込んだ。


 セレス…あのシャルロットをここまで揺さぶるのは、お前しかいないんだよ。
 だから早く良くなって、また笑ってやれよ…。




 フェンリルが立ち上がる。だが彼の能力なのか…本当に、全く揺れなかった。

「はっ?おわぁ!?」

 更にその大きい口でパスカルを咥えた。さっきから彼の扱いが酷い。

 咥えたと思ったら…そのまま跳んだ!?そして屋根の上を、木の上を、川を飛び越え、平な道を疾走する。なのに、ボク達は上下する浮遊感も空気抵抗など一切無く快適だ。





 ※※※




 目的地はどこだったかと言うと。


「ここ…ラサーニュ領の教会じゃないか?」

 見覚えのある林檎の木、遊具、荘厳な教会…間違いない。なんでここに?
 あ、そっか!ここは霊脈だった…!!


「先生!もう魔力は回復しているな?」

「そんな早くは……してますね」

「ボクはここに詳しい、教会にいる人に協力を要請して来る!先生はセレスの治療を続けてくれ。
 ここは霊脈だ、魔力をガンガン使っても尽きる事はない。全力で頼んだ」


 それだけ言って、ボクは教会に向かった。確か…セレスが自分の部屋を作ったって言ってたな。そこに寝かせよう。


「誰かいるか!!」

 バターン!と裏口から入る。普段は鍵を開けっ放しなんだここは。
 するとそこに、丁度洗濯物を運んでいるグラスがいた。


「!な、なんだ。エリゼか…」

「相変わらずだなお前は!まあいい、セレスが怪我をした!今すぐ部屋を用意しろ!」

「お嬢様が…!?分かった」

 その場にいたのが彼でよかった。余計な詮索をせずに行動してくれるからな。
 ボクはそのまま職員を捕まえて話を通し、外にいる3人を部屋に通す。

 霊脈のお陰で、30分ほどでセレスは痕も残さず完治した。後は目覚めるのを待つばかり。
 ボクはシャルロットに『教会にいる。セレスは完治した。こっちに来る場合、セレスの部屋にいる精霊達も連れて来るように』と手紙を送る。もう夜なので、明日来るだろう。




「ふう…では私が彼女を着替えさせますので、皆さんは部屋の外に」

「頼んだ。ちなみにここではセレスは性別不明なので、女扱いも男扱いもしないようにな」

「なんですかそれ…」

 バルバストル先生に後は託し、ボク達男は教会の外まで出た。そこには…





「いい加減下ろしてくれー…」

「うぐるう!」

「分かってる…セレスを守れなかった俺に怒ってるんだろう…分かってるよ…!」


 教会の上にいるフェンリルと、咥えられたままのパスカルだ。
 下から声を掛けると、ゆっくりと降りて来てパスカルをぺっと吐き出した。


「エリゼ…セレスタンを治してくれたこと、感謝する」

「ああ。お前も、すぐにバルバストル先生を連れて来てくれて助かった」

「いや…俺は、目の前で彼が斬られたのを…ただ眺めていただけだ…!」

 パスカル…セレスのことが好きだと一部では公言している彼は、本当に悔しそうに俯いた。
 恐らく、自分は何も出来なかったと悔いているんだろう。


「……先生は中入ってるわ。この教会、なんか面白そうだし」

 ゲルシェ先生が気を利かせて消えた。ボク達は今夜泊めてもらうことになったのだが…パスカルは、膝を抱えて座ってしまい動かない。
 仕方ないので、ボクも隣に腰掛けた。全く、貴族の息子が揃って土の上に直接座るなど…たまにはいいか。

 フェンリルも何故かパスカルの横に寝転んだ。彼らは仲が良いのか悪いのかどっちなんだ?



「なあ、そのフェンリル…契約、してるのか?」

「していない。こいつは昔…俺とセレスタンが初めて会った、そのきっかけになった犬…だった。
 セレネってのはセレスタンが名付けたが、すぐにどっか行って…。さっきは久しぶりに会ったが、雰囲気で分かった。
 最初からセレスタンには優しくて、俺の扱いがぞんざいなんだ…いて」

 その通りらしく、フェンリルはパスカルの頭を大きな前足で叩く。その爪、引っ込むんだな…。


「エリゼ…今回、俺は…本当に…セレスタンが死んでしまうじゃないかと…怖かった…」

「…ボクもだ」


 本当に、怖かった。
 どんどん呼吸が弱くなるし、顔も白くなっていくし…どうしてこうなった?なんでセレスが決闘なんて…。


「…止めるべき、だった。誰になんて言われようと。貴族の誇りなんざ知った事じゃない、と止めるべきだった…!
 俺は、なんにも出来なかった…」

「………お前がバルバストル先生を連れて来てくれなかったら…ってのは言っても無駄なんだろうな」

「ああ。俺でなくとも、誰かが見つけて連れて行ってくれたよ」

 下手な慰めは逆効果か。
 …しかし、なあ。


「お前はどうなりたいんだ?」

「は?」


「ボクのように治癒が出来るようになりたいのか?それは無理だ、努力でなんとか叶えられる問題じゃない。

 じゃあジスランのように、誰にも負けない実力が欲しいのか?いくら今からお前が頑張ろうと、あいつを超えるのは難しい。

 ではバジルのように、仕えて側で守りたいのか?だったら家も何もかも捨てることだな。それが本当にセレスの為になるのかは知らん。

 それともルシアンのような地位を望むか?流石に皇族にはなれんが、現当主を失墜させてお前が侯爵になる事は可能かもな。ただの侯爵子息よりは遥かに上になれるぞ」


「そんなの…どれも、望まない」

 だろうな。


 はっきり言って、今回の事件は防げたはずだ。

 まずパスカルの言う通り、決闘自体取り止めるべきだった。
 だが… 放送は聞いただろう? セレスが。妹を貶されて黙っている訳ないじゃないか。決闘は無しにしても、なんらかのトラブルは必至だったろうよ。
 だからせめて胸当て、腰当て等フル装備をさせるべきだった。相手は大剣を持ち出して来たくらいだ、当然の対処だろう。

 そして、なぜ相手が激昂してセレスに襲い掛かったか。
 当然、退学を認めたくないから。他に…セレスの剣の斬れ味を目の当たりにし、欲が膨れ上がった。自分より年下で華奢なセレスに負けを認めたくない…いくらでも予想はつく。
 勝敗が決まって気が抜けたところを襲われた、折れていようと武器を取り上げるべきだったんだ。


 だがボク達は何も出来なかった、しなかった。これはパスカルだけでなく、友人として全員の責任だ。


 という風に、後悔はいくらでも出てくる。起きた事は覆せない、戻せない。今後どうするかに目を向けろ。



「例えば学園に、決闘という制度を廃止させるよう働きかけよう。もう時代は違う、なんでも暴力で解決するご時世じゃないんだから」

「俺も…そう思う。生徒達の署名とか集めるか」

「それがいいな。…ボクな、セレスに闇の精霊を召喚するように言ったんだ」

「闇の?なんでまた」

「元々は…お前がセレスを襲わないよう、護衛にするつもりで」

「誰が襲うか!!!」

「うるせえ、酔っ払ってパンツ一丁で襲い掛かったお前に弁解の余地はない」

「………!いや、酔ってなければ…あんな事しないし…」

「…………今もしも目の前に、全裸のセレスがいたらどうする?」

「正気を疑うな…そしてお前の目を潰す」

「…ふざけんな…いや、ボクの質問が悪かった」


 やはり無理矢理にでも、契約させるべきだったんだ。そうすれば、セレスが油断していても精霊がサイカを撃退したはずだった。
 確かに魔術とか剣術の授業では有利になってしまうだろうけど…そん時は影から出しておけばいい。

 他にもあーだこーだと意見を出し合う。
 そんなやり取りをしているうちに、少しずつパスカルは元気を取り戻して来たようだ。
 そして立ち上がり、フェンリルの肩を撫でた。フェンリルも気持ち良さそうに目を細めている。


「俺には…エリゼのようにセレスタンを癒す事も出来ない。
 セレネのように、彼を傷付けた者を殺す…のはやり過ぎだが。成敗する事も出来ない。
 でも…側にいたいんだ、それだけ、なんだ…」


 ……はあ、ここまで想われるなんて…ボクにはまだ恋愛って分かんないなあ…。

 ボクにもいつか好きな人でも出来れば…「ああ、あの時パスカルはこんな気持ちだったんだなあ」なんて、思う日が来るんだろうか。想像もつかないけど…。




「おーい、お前ら。飯だってよ、食欲はねーかもしんねーが、なんか腹に入れとけ」

 肌寒くなってきた頃、ゲルシェ先生が呼びに来た。そうだな、何か食べないと。セレスが目覚めた時、元気な姿を見せないと。
 そう思いボクも立ち上がる。だが…


「……エリゼ助けて」

「「ん?」」

 パスカルが…フェンリルの前足で潰されている。なんか言いたげだな…ニナ、通訳。


「ふんふん……え?」

「なんだ、なんて言ってる?腹減った、か?」


 いや、それが…信じられんが………。



「フェンリルが…セレスの為に、パスカルと契約する、って言ってる…」


「「…………は?」」





 最上級の精霊ってのは、半ば伝説とされている。人間の前に姿を見せるだけでもレアなのに…契約とか…物語でしか聞かないぞ…?


「………いや待てラブレー。ラサーニュ兄の為なら、なんで本人と契約しない?
 別に精霊の契約って、人間に負担がある訳じゃないだろ」

 先生の言い分ももっともだ。召喚時には魔力を吸われるが、それ以降精霊は自分の魔力で行動するし力を使う。
 という訳で、ニナもっかい通訳。



「ふむ…じょせ、っとと。(女性のプライベートに立ち入るのは失礼?こいつオスか…そして紳士だ…)
 え~と、それに…え、ここは訳すな?(セレスほどでは無いが、パスカルの事もそれなりに気に入っているってとこ?そして彼女を守りたいと言うのであれば、力を貸すのに吝かではないと。結構お気に入りじゃないか…)
 えっと、だから…何々、セレスはさっき闇の最上級精霊と契約したから、自分が直接見守らなくても大丈夫。自分はパスカルの寿命が尽きるまで、のんびり人間界を謳歌する、だって。


 ………………え?」




 今、なんつった?

 セレスが…闇の…?



「「「……ええええええぇえぇぇええええ!!!!!??」」」


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