親友彼氏―親友と付き合う俺らの話。

はちみつ電車

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後片付けまでが文化祭

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文化祭が終わった校内はゴミだらけである。
大きなゴミ袋を手に、我らゴミ拾い班、いざ出陣!

柳が燃えるゴミ用の袋、俺は資源ゴミ用の袋。

「イヤホンだ。これ使えるのかな」
「誰のか分からんもんはゴミだ。てか、イヤホンて燃えるゴミなんか?」

誰かこの文化祭でイヤホン片方失くしたな。ご愁傷様です。
明翔がイヤホンひとつを袋に入れる。

「あ! 自転車の鍵だ! これは捨てちゃあダメだよねっ」
「職員室行くのめんどいから捨てちゃえば? たいがい自転車の鍵って2個付いてるから問題ないっしょ」

颯太もめんどくさいようだ。自転車の鍵が袋に入れられる。
まあ、スペアキーは家だろうから帰りは歩きだけどな。落としたのが悪い。

「俺、バイクのキー絶対落とさないように重いキーホルダー付けてんの。これ落としたら絶対に気付く」
「タカトゥー、免許持ってんの?」
「呂久村、今俺が無免で乗ってんじゃねーかと思ったな」
「お前ならやるな、と」
「やらん。ちゃんと免許持ってるよ」

タカトゥーが財布から免許証を取り出す。
免許証の写真までイケメンなのがムカつく。

バイクなんて縁のなさそうな黒岩くんが目を輝かせる。

「趣味バイクってカッコいいね」
「ガチの趣味ならカッコいいけど口だけだったらダサい」
「ビビッて全然スピード出せないとかねっ」
「塔夜はガチだよ。俺も何回も乗せてもらった。超気持ちいい」

へー。
バイクのニケツって後ろ乗ってる子が運転手をギュ~ッてしてるイメージあるわー。

ムカついてタカトゥーの足元を蹴ってやろうとすると、野生の勘が働いたのかサッと避けられて余計にムカつく。
距離を詰めて再度キックチャレンジ!

「クッソ、大人しく蹴られてろよ」
「蹴られるわけあるか!」
「コラ、二人とも遊んでないでゴミを拾いなさい」
「はあい」

学級委員長サマに叱られてしまった。
タカトゥーがさっさと蹴らせねえから。

「あはは! おみくじの大吉が落ちてる! これ神社の本物のやつだよね」

明翔が広げたおみくじを見る。うん、たしかに本物だ。

「大吉落としてる時点で不運そう」
「劇の小道具かな?」
「かもねっ。1年生の教室前だし」

大吉だろうが容赦なく燃えるゴミ袋へイン。

「うさぎの抱き枕だ! ぴょーんぴょんっ」

颯太があざとく大きな抱き枕をかかえてうさぎの耳をぴょこぴょこと曲げ伸ばしする。

「かわいい……」

やってみると案外大変なゴミ拾いの中、癒しである。

元気が出たところで張り切ってゴミをポイポイ袋に入れていく。
ふと、手が止まった。

「やっべーもん落ちてんぞ。母子手帳だって」
「母と子の手帳? なんで高校の廊下にそんなもんが落ちてんの」
「誰か妊娠した生徒でもいるんだろうか」
「いや、けっこーボロボロだから生徒本人のじゃねえかな」

うまれた子の名前を見てみると、出口さつき。

「迷わず捨てよう」
「こらこら! ゆりにでも渡してやれよ!」
「えー、落としてんのが悪いんじゃん」

明翔に母子手帳を取られてしまった。
てか、なんで文化祭に母子手帳持ってきてんだよ。

「ハサミが落ちてる。明翔、さっきの手帳貸して」
「何すんの」
「切れ味を確かめようかと。あれ? 切れない」
「これ、左利き用のハサミじゃね」

一条がチッと舌打ちしてハサミと母子手帳をゴミ袋に入れる。

「だから、手帳は捨てんなっての!」

明翔が慌てて袋に手を突っ込む。
一条も俺がハンカチを洗いに出た後あの高飛車地味女にウザ絡みされたらしく、すっかり嫌いなようだ。

「うわ、そのハサミこれ切ったんじゃねえ?」

またしてもヤバいものを見つけてしまった。
男女のツーショット写真のようだが、男の方の顔がめちゃくちゃに切り刻まれている。
更に、油性ペンで「しね」と熱いメッセージ付き。

全員ドン引きである。

「うわあ……元カレの写真なのかな」
「この3年生、左利きなんだろうな」
「女は別れたら容赦ないなー」
「いや、ただ捨てるんじゃなくてここまでするのは絶対この男やらかしてるよ」

怖い怖い。写真の端っこを持ってサッと袋に入れる。

「たらしの呂久村は元カノの写真とかってどうすんの? スマホに残ってたりする?」
「不適切なあだ名はいじめと認定されるんだぞ」
「めちゃくちゃ適切じゃん」
「不適切だわ」

てかタカトゥー、明翔の前で元カノの話すんなよ。
デリカシーってもんがないのか。完全に明翔聞き耳立ててるし。

「俺は全部消去する。1個も残ってねえよ」
「動画も?」
「動画も」
「呂久村って彼女の変な動画撮ってそう」
「お前の中の俺を一回全消去してくれ」

よし、校内全部回った。
スッキリ綺麗になった廊下を見回す。

「深月!」

腰を伸ばしてバギィッと鳴らしていたら、明翔が小走ってくる。

「どしたん」
「さっきの、本当に?」
「さっきの?」
「写真とか動画」
「ああ。見る?」

明翔とも結構写真撮ってるから気になったんかな。
ほれみ、全部明翔かツンデレの2匹ばっか。

へへ、とマッシュの髪からちょこっとだけ見える耳を赤くして明翔が笑う。
かっわいいな、マジ。
今この瞬間を撮りたい。

カシャッって音が思いのほか廊下に響いた。

「何ツーショ撮ってんの。文化祭後はみんなでだろー。みんな集まってー」

タカトゥーがテキパキとクラスメイトたちを集めてしまう。
えーこれ、俺がクラスメッセージに上げなあかんくなるじゃん。めんどくせ。

「撮るよー」

腕つりそうになりながら、一応3枚ほど撮っておく。

写真を確認してみると、いい感じにみんなアホなポーズしてんなあ。
え、ちょっと待って、何これ?!

3枚目の明翔が神がかってる!!
何これ、天使? めちゃくちゃかわいい……。

彼氏を呆けさせるかわいさ。やっば。これ一生保存。

……あ。
しまった、廊下で撮ったもんだから、はんなが端っこに映り込んでる……。

うーん……。
この大天使明翔を消すことはできん。ただの映り込みくらい、気にすることねえか。
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