魔法の華~転移した魔女は勘違いされていても気づかないわよ?~

マカロン

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二章 吸血鬼の花嫁『色欲』

3night

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「なるほど……ヴィンスさんのお父様は、シャミレット家の出ですか……まさか末裔だなんて……。」
「ワタシが言うのもなんですが、理解速いデスネ……。」
「まぁ私は精霊ですから。そこらの人間とは頭のできはちがいます。」
「あっ、なんか腹立つ~。俺(王子)がそんなこと思っちゃダメなの分かってるけど腹立つわ~。」
鼻で笑うジェイさんに、地団駄を踏むような大工さんの足音が聞こえる。というか……
(なんか私の知らないところでなにか起こってる感じかしら??)
お茶菓子を出そうと、ただいま扉の前に棒立ちとなっています。だってなんかスッゴク真剣そうな話してるんだもの!!
(というかいつの間にか大工さんたちが増えてるわ!?お茶菓子もってきてここに来たときにはいたわよね!?いつ入ってきたの!?)
もはや恐怖である。どうしよう……と扉の前で悩んでいれば、これまたいつのまにいたのやら、シアンさんが私の横にたっていた。
「あら……っ!?」
「女神様……お気をつけください。なんだか……おかしな気配がします。」
「おかしな……?」
「ええ……気配のもとはなぜかイスハークの部屋の方からするのですが…。よく分かりません……。」
シアンさんは、少し辺りを探ってきますと言い残し玄関へ向かう。できればお茶菓子を出すのを手伝ってほしかったわ。二の足を踏みながらいつ入ろうか悩んでいると、へ……ば……。と声がする。
「?」
気になって声の方へ向かってみれば、イスハークくんの部屋から陛下……万歳……と呟いているこえがする。その耳元には、紫色のイヤリングが。
(昼間に町に買い物に行ってもらったときにでも買ったのかしら……それにしても、すごく陛下が好きなのね……。)
たしかファルークさんと兄弟だそうから、民族柄だろうか。イスラムとかで神様に祈りを捧げる時間があるって聞いたことあるし。キリスト教とかもアーメンとか言うし……そういう系よね。
(そっとしときましょう。)
踵を返そうとしたとき、そういえばイスハークくんに、明日の買い物メモを渡すのを忘れていたと言うことに気がつく。急いで杖でメモを作りだし、そのメモをポケットに四つ織りにして忍ばせておく。まぁ文脈とかめちゃくちゃだけど、伝わればいいのよ。
(後で渡しましょう。忘れないようにしなくちゃね。)
そっと部屋から離れ、またもやお茶菓子が出せずぼーっとたつ。ここにおかっぱの巨大な女の子がいたら、ぼーっと生きてんじゃねーよっ!と言われていたかもしれないわ。なんて思っていると、そういうかのように杖が光り出す。
「えっ!?はっ!?なにこの眩しい光り!?ドアが光ってる!?」
「なっ……なんデスカ!?これは……!」
もうこれは隠れているのは無理だと悟る。愛想笑いをしながら入り、そっと机の上にお茶菓子をおいた。
「なぁ……もしかして魔女さん……!」
「お嬢様……まさか……!」
すごくなにかを期待しているかのような視線が刺さる。なにか起こってるのは確実だが、意味が分からずそんな目を向けられ失神したい思いだ。

そして私は忘れていた。万能の魔女だと言うことを。つまり……支配の魔法、やろうと思えば解けることを。

「恩がある……私にできることならなんでもしよう……働かせてくれ……。」
商人さんが口を開きそんなことを言う。
「エッ!?ええ………!??」
(えっ!?あっ!?なにも聞いてなかったわどうしましょっ!?)
働かせてくれと言ってる限り、もしかしたら商人の仕事ののり悪いのかもしれない。となると副業探しかしら……??と憶測をたて、なるべく短いことばで返答する。
「私にできる範囲なら手伝いますよ。」
商人さんだけではなく、大工さんもお医者さまもジェイさんも助かったかのようなほっとした顔をしている。そんなに業績不味かったのね商人さん……。なんだか気まづい思いをしながら、私はずっと光ってる杖をみて、いつまで光るのと思い杖を部屋に転移させようとした。しかし、コントロールをどこで誤ったのか、私ごと部屋に転移してしまった。
(あちゃ~……やっぱり寝不足のときはダメね……。)
なんだか寝不足や体調不良のときは、魔法の質は下がるのだ。

ちなみに、杖は光り輝き続け、一晩明けるまで止まなかった。



魔女さんのからだが光っている。いや、正確には彼女が懐にいれている杖が、輝いていた。
「なぁ……もしかして魔女さん……!」
彼女の力がどこまですごいのかはまだ計り知れないが、その輝きを俺たちに見せたと言うことは……彼女は、この呪いの解き方を知っていると言うことだ。きっと……魔女さんの魔法で、解けると言うことを杖は暗示しているのだろう。
そこに気づいたのは俺だけではないらしく、ダニエルもジェイさんもファルーク王も目を見開いて、彼女を凝視した。この異変を、
彼女は解決できると示したのだから。
(また彼女に助けてもらうなんて……男として…王子として情けないな。)
しかも、城の住人ではなく、この国ベクトルで、だ。ファルーク王は、覚悟を決めたような顔で、彼女に膝ま付いた。
「……私はイスハークから逃れる際、あなたに助けられた。どうか……もう一度だけ、図々しいとお思いだろう……今度は私の大切な友好国を、助けてくれないか。この国にはイスハークから逃れる際の恩がある。私にできることなら、なんでもしよう。あなたの奴隷として働かせてくれ。だから……」
「ええ……私にできる範囲なら手伝いますよ。」
彼女は、全てお見通しだと言うように微笑み、頷いてくれる。
ダニエルと顔を見合わせ、この国は救われるとほっと息をつく。
魔女さんは、いまだ光り輝く杖にふと目をおとし、そのあとこちらをみて、お邪魔しましたとその麗しい唇から紡いだ。次のとたん、彼女は部屋から消えていた。瞬きの一瞬のことだった。
彼女の居た場所には、丁寧におられた紙が落ちている。
「コレハ……?」
ダニエルが拾い、折り目をただす。俺はそれを横から眺め、でてきた文字をみる。

“イスハークくん 買い物お願いね。
町へいったら 果物足りないから
             お願い。
        そういえば……その
イヤリング 素敵ね!私も
つけられる かしら……?
おそろい いいわよね!      その宝石 きれいね!
      ファルークさんとかの
家族は…… そういうのつけるの?“

暗号を見慣れている俺たちは気づいた。この空白は、わざとなのだと。
「この空白の前の文字を文章にすると……イスハークが町でイヤリングをつけられ、それには他の操られている人々とおそろいの宝石がついているということか。ヴィンス殿も耳飾りを見せつけてきたしな……。まて、イスハークは無事か!?」
「安心なさい、お嬢様がいるかぎり、操られているとしても、害をなすことはできないでしょう。そもそも、ダニエルさんの発明品で必要以上近づけないのでは?」
「操られていたら欲情しないかもしれないじゃナイデスカ!!あれ欲情の際の心拍数とかに反応するんですカラ!」
「使えない人間ですね……。まぁ、私がいる限りお嬢様には基本的にイスハークを近づかせないので、そこは安心していいかと。彼の魔法の使い方や手口はしってますし。」
「まて、イスハークは魔法が使えるのか?」
俺も初耳だ。なんかの弟子をやってるとはしっていたが。まさか魔法とは。普通の人間に使えるのか?
「あー……めんどくさいので詳しい説明は省きます。簡単に言えば彼女が(魔法石を見つけてその)力を(使う方法を)与えたってことです。」
「さすが魔女さんですネ……!!?そんなこともできるのデスカ……!!」
俺も彼女の底知れない力には驚き声を失う。だがそんなことよりも……。
「これ、俺たちに当てられた暗号だよな。一見内容は普通のだけど、みる人によって暗号の意味が分かるって言う……。だけど、この方法は新しいよな……。」
「さすが……女神殿だ。気が利くと言うか、先を見る力があると言うのか……。まて、つまり女神殿は、この方法でヴィンス殿にばれないように連絡し合えと伝えているんじゃないか?」
「そうだよファルーク王!家族は……って最後にあるし、これはきっとヴィンスの家族のことだよ!黒幕の可能性がある……!ヴィンスの父の家は代々王族に使えていたから、暗号にも詳しかったけど……これならばれずに使えるんじゃない!?」
三人とも、納得したのか、神妙に頷いた。




※正直、焦ってメモを作ってたため、行とか文脈とか空白とかめちゃくちゃ。完全なまぐれである。暗号の意思はない。しかもこの世界暗号だとかの性能が低いため、暗号にしたらこんっな分かりやすいものないわよ!?っていうこの文章でも普通に暗号の一種となる。だいぶ確認がザルである。

 
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