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第十五章 佐藤櫻として
10、想いにふける夜
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櫻は父と食事をとった後、女中に風呂を促され、1日の疲れを癒した。
さすがというか、この家は洋風の風呂で、初めてバスタブというものに入った。
佐藤支店長は外国に出張も多く、百貨店でもそういう商品を扱っているからそうしていると言っていた。
驚くことばかりだなと櫻は思った。
そして、気持ちよく浴室を出て、寝巻きに着替えて部屋に戻った。
すると、すでにデスクのランプがついていた。
女中の誰かが見計らってつけたのだろう。
こんな待遇を受けたことがない櫻は少し戸惑った。
(本当に私にいいのかしら。。。)
実際、望月の家にいたときは、弟子ということでこま遣いもしていた。
だから、今までの奉公な感じでいられたので戸惑いも少なかった。
しかし、この家ではお嬢様である。
偽お嬢様で学校に偽りを持って入学した自分が本当のお嬢様になっている。
櫻は持ってきたノートを開いた。
夢がいっぱい書いてある。
その中で目に留まったのはこの一行だった。
「世の中が平等にみな、健やかな生活を送れますように」
今日の体験をしたとき、実際、望月の姉弟子たちにもあのバスタブに入って欲しいなと思った。
しかし、今は選ばれたものしかそれを利用できない。
自分の役割はなんだろうと思った。
辻先生の奥さんになって、外遊したい。
でも、貧しい人も救いたい。
この一見すると相容れない二つの問題を一緒にできないものかと思った。
目の前には素敵なランプの火が灯っている。
この世の中にはランプを知らない人もいる。
知っていても使えない人もいる。
私は今、恵まれた状況でそれを使っている。
それをそっと、考えていた。
ノートを閉じて、ランプを消し、窓のカーテンを開けた。
少し興味があって、窓を開けた。
ひんやりとした春の風が入ってきた。
そして空を見上げた。
明るく光る星がある。金星かな、と思った。
輝きを失わない限り、ずっとこうしていられる。
誰かを助ける手助けもできるのではないかと、あの金星に言われた気がした。
そして、そっと窓を閉め、カーテンを閉めると櫻はベッドに入った。
ふかふかだった。
神様なんて信じていなかったけど、本当に自分の周りの人たち全員に感謝をしたい気分で眠りについた。
さすがというか、この家は洋風の風呂で、初めてバスタブというものに入った。
佐藤支店長は外国に出張も多く、百貨店でもそういう商品を扱っているからそうしていると言っていた。
驚くことばかりだなと櫻は思った。
そして、気持ちよく浴室を出て、寝巻きに着替えて部屋に戻った。
すると、すでにデスクのランプがついていた。
女中の誰かが見計らってつけたのだろう。
こんな待遇を受けたことがない櫻は少し戸惑った。
(本当に私にいいのかしら。。。)
実際、望月の家にいたときは、弟子ということでこま遣いもしていた。
だから、今までの奉公な感じでいられたので戸惑いも少なかった。
しかし、この家ではお嬢様である。
偽お嬢様で学校に偽りを持って入学した自分が本当のお嬢様になっている。
櫻は持ってきたノートを開いた。
夢がいっぱい書いてある。
その中で目に留まったのはこの一行だった。
「世の中が平等にみな、健やかな生活を送れますように」
今日の体験をしたとき、実際、望月の姉弟子たちにもあのバスタブに入って欲しいなと思った。
しかし、今は選ばれたものしかそれを利用できない。
自分の役割はなんだろうと思った。
辻先生の奥さんになって、外遊したい。
でも、貧しい人も救いたい。
この一見すると相容れない二つの問題を一緒にできないものかと思った。
目の前には素敵なランプの火が灯っている。
この世の中にはランプを知らない人もいる。
知っていても使えない人もいる。
私は今、恵まれた状況でそれを使っている。
それをそっと、考えていた。
ノートを閉じて、ランプを消し、窓のカーテンを開けた。
少し興味があって、窓を開けた。
ひんやりとした春の風が入ってきた。
そして空を見上げた。
明るく光る星がある。金星かな、と思った。
輝きを失わない限り、ずっとこうしていられる。
誰かを助ける手助けもできるのではないかと、あの金星に言われた気がした。
そして、そっと窓を閉め、カーテンを閉めると櫻はベッドに入った。
ふかふかだった。
神様なんて信じていなかったけど、本当に自分の周りの人たち全員に感謝をしたい気分で眠りについた。
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