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獣退治
しおりを挟む「うわぁお」
フクロウの口は、音を出さずに言葉を描いた。
彼は、イルカと合流して、食堂へやって来た。
食堂で、食事を召し上がっていたのは、獣だった。人が食べられている。
入り口でライフルを構え、イルカと目配せをして突入した。
ズドン、ズドン、と乾いた発砲音が響き、トン、トンと弾が床を転がる。
獣は悲鳴を上げず、人々が騒ぐ声だけが聞こえてきた。
目視できた獣は、三匹。二匹はフクロウが仕留めた。
一匹は、イルカの弾が被弾したが、まだ息があった。
「この、畜生め!」
立ち上がった獣に、土竜が包丁を突き刺した。
「あら、残念」
フクロウの呟きに、イルカは目を剥いた。
フクロウは、唇に人差し指を当てて、ニッコリ笑った。
「……こっわ」
イルカがフクロウを見て、震えた。
「やぁ、皆さん。大丈夫かい? 生きてる人~」
フクロウは、ライフルを肩に掛けて、食堂へと乗り込んだ。
「遅ぇんだよ! 何だよこいつらは!」
腕に食いつかれた土竜は、落ちていたタオルを巻き付けた。
「息子さんが、拾ってきた……ワンちゃん? そんな感じかな?」
フクロウは、土竜に手を貸し、タオルをキツく縛った。
「はぁ?」
「驢馬が、帰って来ました。獣を連れて」
イルカが答えた。
「本当に生きてたのか?」
土竜は眉を顰めた。嬉しそうな様子はない。
フクロウは、大袈裟に肩をすくめた。
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