イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。

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第11章 ドキ❤️ドキ❤️温泉慰安旅行!ポロリと恋と混浴と!?

『ととのうごちそうと、はじける推しカバー祭り!』

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「すっご……! なんかお祝いでもされてる気分なんだけど……!」



大広間のふすまが開いた瞬間、ひよりの目がまんまるになった。

十畳ほどの座敷の中央に、大きく組まれた宴会用のテーブル。その上にはずらりと並ぶ湯気と香りに満ちた料理の数々。



「前菜に、前菜ってこんなにあるの!? あとこのお刺身の舟盛り、でっか!?」



「アワビが踊ってる……踊ってるんですけどぉおぉ!!」



メグが興奮のままに目をギラつかせ、踊りアワビの蓋をガバッと開けてのけぞる。

るるはというと、炊きたての土鍋ごはんを見つめながら、ほっぺを手で包んで小さく叫んでいた。



「しあわせ……るる、結婚する……この土鍋と」



「気が早い」



みなとは端の席でちゃっかりお品書きを読み込んでいた。

「この“豆乳仕立ての蟹しんじょう椀”、絶対美味しいやつだよ。胃が踊る」



「……いや、今アワビが踊ってる」



夜々が冷静に突っ込みながらも、日本酒の瓶を手にとってラベルを確認している。



「ふふっ、《原酒・黒椿》。この旅館、わかってるじゃない……コウくん、あとで一緒に一杯どう?」



「え、えっと……」



「未成年はだめです!」



即座にひよりが割り込んでくる。



「じゃあ、ひよりちゃんはほら、こっちの“いちごみるく杏仁”食べよ? ね?」



「お兄ちゃん、あまい……甘すぎるっ……!」



そんなこんなで、乾杯からわずか数分後には――

食べる、笑う、つっこむ、また食べる。

テーブルの上の料理は次々とお腹に吸い込まれ、湯上がりの顔はすっかり満たされていった。



* * *



「では……このへんで、宴の第二部ぅ~!」



突如、部屋の照明がやや落とされ、カオルマネージャーがスポットライト(という名の小型ライト)を持って登場。



「やってまいりましたっ! 《Vの曲限定・カラオケカバー祭り》~!」



「イエーーーーー!!」



メグが先陣を切って手を挙げる。



「トップバッターは、わたししかいないでしょ!? るるちゃん、デュエットしよ!」



「いっくよー☆ せーのっ《シャララ☆トキメキ♡マジカルDays!!》!!」



キラキラの合いの手と、全力の振り付け。

二人はまるで本物のライブのようにぴょんぴょん跳ねながら、部屋を縦横無尽に使って盛り上げる。



「次は……え? みなとちゃん? 歌うの?」



「……うん。静かなやつだけど、いい?」



静かに立ち上がったみなとは、《花のかたちで君を抱く》という、幻想的な人気Vのバラードを熱唱。

その声は、凛と澄んでいて、どこか切なくて。

みんなが箸を止めて聴き入るほどの美しさだった。



「……っ、なにその透明感。みなとちゃん、やっぱ推せる」



「私の推しなのに……!」



ひよりとメグが小競り合いを始める中、夜々が静かにマイクを手に取った。



「じゃあ、私も一曲だけ。……ノワール=クロエのデビュー曲、《月夜に咲いた嘘》」



妖艶でミステリアスなイントロ。

静かに始まったその歌声は、観る者すべてを引き込む魔力を持っていた。



「やっぱ夜々さん……かっこいい……っ」



「うぅ、ちょっと、涙でる……」



コウもその余韻に少しだけ目を細めた――が、そんな彼の横に、ぽんとるるがマイクを差し出す。



「ねえねえ、コウくん、歌って!」



「えっ!? お、俺が!?」



「レイ=アマギ、ここに降臨ってことで!」



「お兄ちゃんが歌えば、全員即死確定だから……!」



「やれやれ、覚悟して聴いてくれよ」



コウが歌ったのは、《恋声革命》。人気男性Vの定番ソング。

そのイケボで朗々と歌い上げられる旋律に、ヒロインたちは誰もが心拍数を上げ――



「やっぱり……反則……っ!」



「結婚しよ……今すぐ……」



「コウくんのイケボは麻薬だってるる言ったよね!?!?」



部屋は歓声と溜息と、なぜか崇拝の空気に包まれた。



* * *



「さーて! そろそろ“あの時間”ですねっ!」



カオルが手を打ち鳴らし、改めて全員の注目を集める。



「この後、19時から――《スペシャル!ビンゴ大会》を開催します!!」



「き、きたあああああっ!!」



メグが立ち上がり、なぜか筋を伸ばし始めた。



「ビンゴ大会って、あれでしょ? まさか、景品……っ」



「景品の詳細は、会場でのお楽しみ♡」



意味深なウィンクとともに、神代マネージャーは手をひらひらと振って去っていく。



「ぜ、絶対、なんかあるって……これ、やばいやつだって……!」



「みんな、本気でかかろうね……ビンゴは戦争よ」



戦いの鐘が――

静かに鳴った。
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