イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。

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第16章「夏だ!水着だ!リンクライブ撮影会♥」

水着アバター、死守せよ!?

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 ──翌日。LinkLive事務所・収録スタジオ。



「……ぜったい見せない。断固拒否、見せない……!」



 モーションキャプチャールームの隅で、ひより(※中の人は天城ひより・15歳)がパーカーのフードを深く被って、ぶつぶつ呟いていた。



「ひより? 今日リハーサルだけど、大丈夫?」



 心配そうに声をかけたのは、メグ。今日もヘッドセットを首にかけ、キャプチャテスト用のタブレットを抱えている。



「……うん。でも、あの白ビキニ……絶対、やだ」



「うーん、まぁ……わからなくもないけどさ。視聴者人気投票で一位だったし、“妹属性の王道水着”ってやつでしょ? みんな期待してるよ?」



「その“みんな”の中に……お兄ちゃんも入ってるって考えたら……しぬぅ……!」



 ひよりが床にうずくまった。



 ちょうどその頃、スタジオ奥のモニタールームでは──



「……カオルさん、ひよりの水着、もうちょっと布面積増やしてもいいんじゃないですか?」

 コウ(=レイ)が、モニターを見ながら小声で囁いていた。



 となりでコーヒー片手に座っていた神代カオルマネージャーが、ゆるりと微笑む。



「だめ。これは“彼女の壁を超えるための戦い”だから」



「いや、それを超えていい壁じゃない気がするんですが」



「だいじょうぶ。ひよりちゃん、強いから。あと、お兄ちゃんの前でだけ甘々になるの、完全にファンにバレてるから」



「ッ……!?」



 否定できない。



 それはさておき──



「問題は他にもありますよね? いのりの“透けるスク水風”とか、夜々さんの“挑発ハイレグ”とか……」



「ふふ、夜々ちゃんは自分から“露出度高い方がバズる”って言ってたし、いのりちゃんも“勝てばいいんでしょ勝てば”って」



「小学生かよ……」



 そうこうしている間に、スタジオでは“アバター最終調整”の確認作業が進んでいた。



* * *



「はい、次! いのりちゃん、3ポーズ連続でいってみようかー!」



「はーい! お兄ちゃんが見てると思って、がんばる!」



 いのりがぴょんっと跳ねて、アバターがくるくると動き出す。



「まずは“にゃんこポーズ”──はい! 次、“しょんぼりポーズ”──そしてラスト、“ぷいっ顔そらし”!」



 完璧だった。

 可愛さも背伸び感も、全部詰まってる。視聴者人気、爆伸びの未来しか見えない。



「……でも、後ろから見ると透けてるのよね」

 ポツリと誰かが呟いた。



「なんか……ダメな気がしてきた……!」

 と、急に後ろを向いて走り出すいのり。



「ちょ、いのり!? カメラそこじゃない、こっち! ……あ、転んだ」

 るるがやれやれとタオルを取りに向かう。



「はーい、次は夜々さん、お願いします!」



「……ふふ、見せてあげる。覚悟はいいかしら?」



 そう言って登場した夜々のアバターは、脚長シルエットが強調された黒のハイレグに、透け素材のロングスカートを合わせたセクシー仕様。

 VRカメラ前で一回転して、視線をくいっと上げる。



「ポージングはこう。“上目遣いで小悪魔風”……ふふ、やるでしょ?」



「……やるぅ」

 と誰かが呟いた。



 ちなみにその場にいた全員が、“夜々のデータはノー修正でいける”と満場一致だった。



* * *



「さて。ひよりちゃん、準備できた?」



「……むり」



「じゃあ、ちょっとカメラテストだけ。真正面からのだけだから。横と後ろは切っておくよ」



「……うぅ、約束だよ?」



 カメラの前に立つひよりのアバター。

 真っ白なビキニ、パステルピンクのリボン、すこし赤らんだ頬と視線の揺らぎ。



 見た目は、まごうことなき“夏の天使”。



「……ふぅ。みんな、見てるんだよね」



「見てるよ。めっちゃ期待されてる。『ひよこまるが一番輝くのは夏!』ってコメントも多いよ」

 モニター越しにメグが声をかける。



「そっか……じゃあ、がんばる」



 そう言って微笑んだとき、ちょうどカメラが回り始め──



 ──その背後に、“ひより大好きお兄ちゃん”ことコウがいるとは、知らずに。



* * *



「さて、これで全員水着アバター完成、っと。ポージングテストもOK。明日はいよいよ本番だね」



「全員テンション下がってる気がしますけど」



「大丈夫大丈夫。始まったらテンション上がるから。あと、コメント欄は地獄みたいに盛り上がるから」



「不安しかないんですが」



 そんなコウの不安をよそに、カオルはにっこりと笑った。



「というわけで──“LinkLive VR撮影会 in ビーチ”、明日配信です。全員、水着姿でよろしくね♡」



「……いや、“よろしくね”じゃないから!」



 翌日。

 視聴者数・同時接続数・トレンド入り・悲鳴と歓声と笑いが交差する──地獄のような夏祭りが、幕を開ける。
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