【R18】『官能の残響』〜死の運命を極上の××で上書きせよ〜

のびすけ。

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Scene 4: 快楽と死のアーカイブ

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情事の余韻が漂うベッドの上。 
俺は、汗ばんだ透子の背中を指でなぞりながら静かに語り始めた。

「信じられないかもしれませんが、聞いてください。……あなたが死ぬのはこれで七回目だったんです」

透子は俺の胸に頬を埋めたまま、ピクリと肩を震わせた。 
否定はしない。
今の異常なセックスを経て、彼女の本能はすでに「通常の理屈」を超えた何かを感じ取っているからだ。

「死ぬたびに……時間が戻っているの?」 
「ええ。俺の記憶だけを保持して。……そしてあなたの『体』の記録だけを引き継いで」

俺は彼女の耳元で、過去のループの歴史――すなわち、彼女がどのように死に、どのように俺たちか愛し合ったかを紐解いていく。

「一回目と二回目。あなたは僕を突き放し一人で横断歩道を渡って……トラックに轢かれました。即死です」 
「……っ」 
「三回目。俺はあなたを強引に引き止め路地裏に連れ込みました。でも、そこでは頭上から鉄骨が落ちてきた。……俺はあなたを庇って初めて抱きしめた。その時、あなたの体が震えて俺の匂いに反応したのを覚えています」

俺の指先が彼女のうなじを愛撫する。
透子の吐息が熱くなる。

「四回目と五回目。死の運命から逃げられないと悟った俺たちは、最期の瞬間までホテルに隠れました。……そこで、俺はあなたに触れた。死への恐怖を忘れるために、あなたは俺に縋りつき、初めて俺を受け入れた」

「それが……わたしの、『初めて』……?」 
「そうです。未熟で、痛がって……でも、イくときだけはまるで少女みたいに泣いて喜んだ」

俺は言葉を重ねるごとに彼女の敏感な場所――耳の裏、脇腹、太腿の内側――を刺激していく。 
言葉による「記憶の再生」と指先による「快感の再生」を同期させる。

「そして、六回目。……昨日のことです。俺たちは事故を回避できたと思った。でも、暴走した車が歩道に突っ込んできた。……その直前まで俺たちは車の中で繋がっていました。あなたは俺のモノを咥え込んだまま『幸せ』と言って……血の海に沈んだんです」

「ぁ……あぁ……っ」

透子の瞳から一筋の涙が零れ落ちる。 
悲しいのではない。 
俺の言葉がトリガーとなり、彼女の細胞に刻まれた「死の瞬間の絶頂」がフラッシュバックしているのだ。

◆ 氷川透子

(嘘よ……そんな、映画みたいな話……)

頭では否定している。 
けれど、彼が語る「死に方」を聞くたびに体の対応する場所がズキズキと疼くのだ。 
トラックの話を聞けば腰が砕けそうになり、鉄骨の話を聞けば背筋が凍りつき……そして、最後の話を聞いた瞬間、子宮の奥がキュン!と激しく収縮した。

(覚えてる……わたし、覚えてる……!)

映像はない。 
けれど、熱だけがある。 
彼に抱きしめられながら死んでいく瞬間のどうしようもないほどの安心感と、焼き尽くすような快楽。

「三枝くん……わたし……わたしっ……!」

(頭が割れそう。……何か、大事なことが……)

その時だった。 
さきほどのアクメで脳の回路が焼き切れたせいか、あるいは「七回分」という限界を超えた快楽負荷のせいか。 
わたしの脳裏に、**今まで一度も見えなかった「ノイズ」**が走った。

『……また、失敗か』

誰かの声。 
低い、男の声。 
トラックの運転手でも通り魔でもない。 
もっと近くで……わたしを見ていた、誰かの声。

「きゃぁああッ!!」

わたしは激しい頭痛と共に三枝くんの腕の中で頭を抱えた。



「透子さん!? どうしました!」

俺は慌てて彼女の顔を覗き込む。 
様子がおかしい。 
ただの混乱ではない。
何かに怯え、何かを見ている目だ。

「こ、声が……聞こえたの……」 
「声?」 
「知らない男の人……。『また失敗か』って……。ううん、違う……この声、知ってる……」

透子はガタガタと震えながら俺の腕を強く掴んだ。 
その爪が食い込み血が滲むほどに。

「三枝くん……時間が戻るのは、事故のせいじゃない……」 
「えっ?」 
「誰かが……誰かが、わたしを使って……『実験』してる……」

その言葉が出た瞬間、部屋の空気が凍りついた。 
今まで「不運な事故」だと思っていた死因。 
だが、彼女の口から出たのは明確な「作為」の存在だった。

俺はハッとしてサイドテーブルのデジタル時計を見る。 
11:05。 
本来なら、彼女が死んでいるはずの時間をすでに35分過ぎている。

死ななかった。 
いや、違う。 
今までのループでは、ここまで深く激しく彼女を抱き潰すことはなかった。 
今回、限界を超えた「絶頂」を与えたことで彼女の脳内で何かがバグり**隠されていた記憶(エラーログ)**が吐き出されたのだ。

「……セックスが鍵だったのか?」

俺は震える彼女を抱きしめ直す。 
彼女の体はまだ快感の余韻で火照っているが、その顔色は蒼白だった。

「思い出せますか、透子さん。その声の主を」 
「わか、らない……でも、すごく近くに……」

彼女は涙目で俺を見上げ、そしてすがるように囁いた。

「……もっと。……もっと、して」 
「透子さん?」 
「もっと激しくして……頭の中を真っ白にして……そうしたら、思い出せる気がするの。……怖い記憶の、その奥にある顔が」

彼女は自ら俺の手を自分の胸へと導いた。 
それは快楽への逃避ではない。 
真実を暴くための生体認証(パスワード)の解除を求めていた。

「わかった」

俺は覚悟を決める。 
このループを脱出するためには、彼女をただ守るだけでは駄目だ。 
彼女を文字通り**「イかせて、暴く」**しかない。

「犯人が誰なのか……あなたの体を使って俺が引きずり出してみせます」

中盤戦の幕開けだ。 
俺たちは見えざる「観測者」への反逆を開始する。 
ベッドという名の戦場で。
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