87 / 96
第十四章 女神のバグと、黒のアバター
黒き天使と、十一の絆
しおりを挟む
「「「「キイイイイイイイイイッ!」」」」
甲高い耳を劈くような、叫び声。
玉座の間から見下ろす、王都の上空を無数の「黒い天使」たちが埋め尽くし始めていた。
「くっ…! なんという数だ!」
国王陛下が歯噛みする。
「陛下!」
俺は王と、その隣で震えるアリストリアス王子に向き直った。
「国民の避難を! ここは、俺たちが引き受けます!」
「…うむ! 勇者殿、感謝する!」
王は即座に覚悟を決めた。
「聞けい! 全騎士団! 戦闘は、勇者殿とその『妻』たちに一任する! 我らの最優先任務は、国民の安全確保! 全員を、城内の大聖堂へと避難させよ!」
「父上! わたくしも!」
「アリストリアス!」
王が息子の肩を強く掴む。
「お前は、王族として国民の先頭に立ち、彼らを導くのです! それがお前の戦場ですわ!」
「…姉上…」
セラフィーナの凛とした声に、王子は涙をぐっと堪え「…はい!」と力強く頷いた。
「翔太さん」
俺の服の裾を、静香さんが掴む。
「…私たちも、戦います」
「お兄ちゃん! 理奈たちもここに残る!」
「…うん。お兄ちゃん守る」
理奈と瑠奈が、真っ直ぐな瞳で俺を見る。
俺は三人の頭を、優しく撫でた。
「ああ。分かってる。お前たちは俺の最強の家族だ」
俺は三人に、向き直る。
静香さん、理奈、瑠奈には、それぞれの特性に合わせた魔法をレクチャーしてある。
「静香さん、理奈、瑠奈。三人はこの玉座の間、大聖堂に通じるこの場所を死守してくれ。ここが国民の最後の砦だ。後方待機頼んだぞ」 「でも、無理は絶対にしないで」
「はい!」
「任せて!」
「うん!」
三人の顔には、もう迷いはなかった。
俺の『妻』としての覚悟が決まっていた。
「…さて」
俺は残りの八人の嫁たちを見渡した。
陽奈美、セラフィーナ、ルナリア、ブリジット、エレオノール、凛花、麗華、ミミ。
俺の最強のハーレム同盟だ。
「俺たちは、あのアバターを叩く! そのためにはあの眷属どもを蹴散らしながら、中央突破する!」
俺は王都の地図を広げた。
「四つのチームに分かれる。眷属を倒しながら、王城の中央塔で合流する。そこがアバターに一番近いポイントだ」
「「「「「「「「御意!」」」」」」」」
八人の声が、重なる。
「よし!」
「陽奈美とセラフィーナ!」
「「はい!(ですわ!)」」
二人の正妻が一歩前に出る。
「お前たちは東の商業区を抜けろ。空の敵が一番多いルートだ。お前たちの支援と殲滅力で空を切り裂け!」
「エレオノールとブリジット!」
「「はっ!(であります!)」」
二人の聖騎士が胸を張る。
「お前たちは、正面突破だ。王城の大通りを突っ切れ。お前たちの鉄壁の守りで道を作れ!」
「ルナリアと凛花!」
「「フン(承知)」」
二人の賢者が静かに頷く。
「お前たちは上空から、広範囲魔法で他のチームを援護しつつ、西の貴族街を制圧しろ!」
「麗華とミミ!」
「「任せろアル!(だぴょん!)」」
二人のスピードスターがニヤリと笑う。
「お前たちは最短ルート。南の裏路地を駆け抜けろ。敵の指揮官クラスがいたら即座に叩け!」
「俺はお前たちの全てをサポートしながら、中央塔で待つ!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
「行くぞ! 俺たちの世界を守る!」
俺たちは玉座の間を飛び出した。
◇
【後方待機チーム:静香・理奈・瑠奈】
玉座の間を守る静香たち三人の前に、ついに黒い天使たちが現れた。
窓ガラスを突き破り、五体の眷属が侵入してくる。
「きゃっ!」
「来た!」
理奈と瑠奈が身構える。
「二人とも落ち着いて」
静香さんの声は、震えていなかった。
彼女は翔太の妻。
この世界に来る前に誓ったのだ。
この人たちを守ると。
「理奈、瑠奈。打ち合わせ通りに」
「「うん!(はい!)」」
静香さんは戦闘ジョブではない。
だが俺との『誓約』によって彼女の中には、俺のEX級の魔力が流れ込んでいる。
彼女の本質…『母性』と『献身』 が魔法として開花していた。
「【マザー・サンクチュアリ】!」
静香さんが両手を広げると、暖かい光の障壁が玉座の間の入口を塞いだ。
黒い天使たちの闇の槍が、障壁に当たりキン!と音を立てて弾かれる。
「すごい…! お母さん!」
「((((((これが、お兄ちゃんとの、愛の、力…!))))) 」
理奈と瑠奈が、目を輝かせる。
「理奈! 瑠奈! お願い!」
「任せて!」
「うん!」
二人はもはや、現代の中学生ではない。
勇者の妹であり妻だ。
二人の魔力が、異世界の濃密な魔力と共鳴する!
「「【ツイン・ストライク】!」」
理奈の炎と、瑠奈の氷が、螺旋を描き一体の天使を直撃する!
「キイイイッ!」
天使が蒸発する。
「よし! 次!」
理奈が駆け出し、天使の注意を引く!
「こっちだぴょん! あ、違う、こっちよ!」
「理奈! 危ない!」
瑠奈が的確に援護射撃の氷の矢を放つ。
天使の足が凍りつき動きが止まる。
「ナイス、瑠奈!」
そこへ理奈の回し蹴りが炸裂する!
「おらぁ!」
「キイッ!」
天使が吹っ飛ぶ。
だが残りの三体が、静香さんの障壁に襲いかかった!
「くっ…!」
障壁にヒビが入る!
「お母さん!」
「大丈夫です…!」
静香さんは、歯を食いしばる。
((((((翔太さん…! あなたの帰る場所は、わたくしたちが守ります!)))))
彼女の中の俺の魔力が呼応する。
「【ラブ・バースト】!」
障壁が眩いピンク色の光を放ち、天使たちを吹き飛ばした!
「「すごい…!」」
理奈と瑠奈が息を呑む。
静香さんは頬を赤らめ「…今のは、忘れてね…♡」と呟いた。
俺の家族チームは、確実に王城を守り抜いていた。
◇
【正妻チーム:陽奈美・セラフィーナ】
東の空は、黒い天使たちで埋め尽くされていた。
「うわー…! すごい、数…!」
「怯んではいけません、陽奈美さん!」
セラフィーナが。聖女としての戦闘衣装に身を包み。空中に浮かぶ。
「わたくしたち二人で、あのアバターへの、道を、切り開くのです!」
「分かってるよ! セラさんこそ、足、引っ張らないでよね!」
陽奈美も、付与術師としてのローブを翻す。
「行きますわよ! 【ホーリー・ジャッジメント】!」
セラフィーナが手を掲げると、天から無数の光の槍が降り注ぐ。
だが女神の言葉どおり、聖属性は反転している。
光の槍は漆黒の闇の槍と化し、天使たちを貫いていく!
「キイイイイッ!」
「すごい…! あれが、異世界の、聖女の、力…!」
陽奈美が息を呑む。
「陽奈美さん! ぼーっとしないで! 援護を!」
「はいはい! 【マルチ・エンチャント! ホーリー・ウェポン!】」
陽奈美がセラフィーナの攻撃に、更なるバフを上乗せする。
「!」
セラフィーナの闇の槍が、倍の太さになり威力が跳ね上がった!
「まあ! これが、現代の、付与術…! なんて、効率的な!」
「でしょ?♡ 合わせるよ、セラさん!」 「ええ!」
天使の大群が二人を包囲しようと迫る!
「((翔太(勇者様)は、わたくし(あたし)が、守る!))」
二人の正妻の心が一つになる。
「セラさん、あれ、やるよ!」
「あれ、ですの!?」
「「【デュアル・アーツ:ブライド・ノヴァ】!」」
陽奈美がセラフィーナにありったけの魔力を注ぎ込む。
セラフィーナはその増幅された魔力を、全て反転させ漆黒の太陽として解き放った!
「キイイイイイイイイイイイッ!!」
東の空を覆っていた天使たちが、一瞬で蒸発していく。
「…はぁ…はぁ…」
「…や、やった…」
「…ふぅ。なかなか、やりますわね、陽奈美さん」
「…そっちこそ。とんでもない、魔力だね、セラさん」
二人のライバルは互いの実力を認め合い笑い合った。
「さあ、翔太(勇者様)の、元へ、急ぎますわよ!」
「うん!」
◇
【聖騎士チーム:エレオノール・ブリジット】
「突貫するであります! エレオノール殿!」 「だから、無策な、突撃は、美しくありませんわ!」 王城の大通りは黒い天使たちで溢れ返っていた。 「問答無用!」 ブリジットが大きな盾を構え文字通り天使の群れに突っ込んでいく! 「【シールド・ストライク】!」 「キイッ!」 数体の天使がボーリングのピンのように弾き飛んだ。 「ああ、もう!」 エレオノールも続くしかない。 「【グラン・クロス】!」 彼女の聖なる剣が反転した闇の十字を描き天使たちを切り裂く。
「((((((この人、強い…!))))) 」 二人の聖騎士は互いの戦いぶりに舌を巻いていた。 ブリジットの一撃は重くまさに鋼の城壁そのもの。 エレオノールの剣技は美しく流れるように敵を捌いていく。 「ブリジットさん! 右!」 「エレオノール殿! 左!」 黒い槍が左右から二人を襲う。 「「【デュアル・ガード】!」」 二人の聖なる盾が完璧なタイミングで交差し鉄壁のドームを作る! ガギィィィィン! 凄まじい衝撃が二人を襲うが 「「ぬううううっ!」」 二人は一歩も引かない。 「…やりますな、エレオノール殿! その、細腕で!」 「そちらこそ! 力だけかと、思えば、見事な、足さばきですわ!」 二人の間に戦友としての絆が芽生える。 「「行きます(であります)!」」 「「【ツイン・ホーリー・ブレード】!」」 二振りの聖剣が反転した闇の光を纏い 竜巻のように回転しながら天使の群れを殲滅していく。 最強の二枚盾は誰にも止められない突撃槍と化していた。
◇
【賢者チーム:ルナリア・凛花】
「…見えますわ」
「…見えておるわ」
王都の遥か上空。
二人の賢者は冷静に戦場を見下ろしていた。
「凛花よ。あそこ。西の貴族街に、ひときわ大きな魔力反応がある」
「ええ。あれが、この区域の眷属を指揮している指揮官個体でしょう」
「フン。面倒じゃ。まとめて消し飛ばす」
ルナリアが手のひらに、超巨大な氷の槍を生み出す。
「待って」
凛花さんがそれを制する。
「…なんじゃ」
「下を見て。民間人の避難が遅れていますわ」
「…チッ!」
ルナリアが舌打ちする。
「あんな大技を使えば、街ごと吹っ飛びます。…わたくしに考えが」
「…言ってみよ」
「まず、わたくしが魔力の指向性を変更するフィールドを展開します。あなたはその中心に、最大火力の魔法を」
「…ほう? 妾の魔力を制御できると申すか? 人間ごときが」
「できますわ。…『科学』ならね」
凛花さんが伊達メガネを光らせる。
「…よかろう! 乗ってやろう!」
ルナリアもニヤリと笑った。
「【パラボラ・フィールド:ターゲット・ロック】!」
凛花さんが無数の魔法陣を展開し、指揮官個体の頭上に一点集束させる。
「ルナリアさん! 今!」
「任せよ! これがハイエルフの真髄じゃ!」
「【メテオ・ストライク】!」
ルナリアが放ったのは、本来広範囲殲滅魔法である隕石召喚!
だがその凄まじい破壊の力は、凛花さんの魔法陣に吸い込まれ、一本のレーザーのように収束され指揮官個体の頭上に、寸分の狂いもなく直撃した!
「キイイイイイイイイイイイッ!?」
西の空の天使たちが、指揮官を失い混乱し始める。
「…ふぅ」
「…フン。まあまあ、じゃな」
「…あなたこそ。とんでもない魔力ですわね」
最強の二つの頭脳が空を制圧した。
◇
【特攻チーム:麗華・ミミ】
「麗華! 遅いウサ!」
「ミミこそ! 獲物を横から取るなアル!」
王都の裏路地を、二つの影が弾丸のように駆け抜けていた。
この二人に連携など必要ない。
あるのは「競争」だけだ。
「あ! あそこのデカいの、ミミがやるぴょん!」
「ワタシの、獲物ネ!」
路地を塞ぐ大型の天使に、二人が同時に襲いかかる!
「【アサシネイト・ダガー】!」
「【百裂脚】!」
ミミが影から現れ、天使の首を掻き切ろうとする!
同時に麗華の無数の蹴りが、天使の胴体を滅多打ちにする!
「「キイイイッ!」」
天使は何が起きたかも分からず、崩れ落ちた。
「ふん! 今のはワタシの勝ちアル!」
「むー! ミミのナイフが先だったウサ!」
「「「キイイッ!」」」
口論している間にも新たな敵が二人を囲む!
「「あーもう! うるさい(アル)(ウサ)!」」
「「【龍ノ咆哮】!」」
「「【ラピッド・スラッシュ】!」」
麗華の闘気を込めた掌底と、ミミの目にも止まらぬ斬撃が炸裂する。
最強の特攻コンビは、まるで遊ぶかのように敵陣を突破していく。
「…すごい」
俺は王城の中央塔の頂上から、その全てを見ていた。
家族は城を守り。
八人の嫁たちは俺の作戦を完璧に遂行している。
全員が中央塔へと集結しつつあった。
「…待たせたな、ラスボス」
俺は空に浮かぶ漆黒のアバターを睨みつけた。
「ここからが、本当の、最終決戦だ!」
甲高い耳を劈くような、叫び声。
玉座の間から見下ろす、王都の上空を無数の「黒い天使」たちが埋め尽くし始めていた。
「くっ…! なんという数だ!」
国王陛下が歯噛みする。
「陛下!」
俺は王と、その隣で震えるアリストリアス王子に向き直った。
「国民の避難を! ここは、俺たちが引き受けます!」
「…うむ! 勇者殿、感謝する!」
王は即座に覚悟を決めた。
「聞けい! 全騎士団! 戦闘は、勇者殿とその『妻』たちに一任する! 我らの最優先任務は、国民の安全確保! 全員を、城内の大聖堂へと避難させよ!」
「父上! わたくしも!」
「アリストリアス!」
王が息子の肩を強く掴む。
「お前は、王族として国民の先頭に立ち、彼らを導くのです! それがお前の戦場ですわ!」
「…姉上…」
セラフィーナの凛とした声に、王子は涙をぐっと堪え「…はい!」と力強く頷いた。
「翔太さん」
俺の服の裾を、静香さんが掴む。
「…私たちも、戦います」
「お兄ちゃん! 理奈たちもここに残る!」
「…うん。お兄ちゃん守る」
理奈と瑠奈が、真っ直ぐな瞳で俺を見る。
俺は三人の頭を、優しく撫でた。
「ああ。分かってる。お前たちは俺の最強の家族だ」
俺は三人に、向き直る。
静香さん、理奈、瑠奈には、それぞれの特性に合わせた魔法をレクチャーしてある。
「静香さん、理奈、瑠奈。三人はこの玉座の間、大聖堂に通じるこの場所を死守してくれ。ここが国民の最後の砦だ。後方待機頼んだぞ」 「でも、無理は絶対にしないで」
「はい!」
「任せて!」
「うん!」
三人の顔には、もう迷いはなかった。
俺の『妻』としての覚悟が決まっていた。
「…さて」
俺は残りの八人の嫁たちを見渡した。
陽奈美、セラフィーナ、ルナリア、ブリジット、エレオノール、凛花、麗華、ミミ。
俺の最強のハーレム同盟だ。
「俺たちは、あのアバターを叩く! そのためにはあの眷属どもを蹴散らしながら、中央突破する!」
俺は王都の地図を広げた。
「四つのチームに分かれる。眷属を倒しながら、王城の中央塔で合流する。そこがアバターに一番近いポイントだ」
「「「「「「「「御意!」」」」」」」」
八人の声が、重なる。
「よし!」
「陽奈美とセラフィーナ!」
「「はい!(ですわ!)」」
二人の正妻が一歩前に出る。
「お前たちは東の商業区を抜けろ。空の敵が一番多いルートだ。お前たちの支援と殲滅力で空を切り裂け!」
「エレオノールとブリジット!」
「「はっ!(であります!)」」
二人の聖騎士が胸を張る。
「お前たちは、正面突破だ。王城の大通りを突っ切れ。お前たちの鉄壁の守りで道を作れ!」
「ルナリアと凛花!」
「「フン(承知)」」
二人の賢者が静かに頷く。
「お前たちは上空から、広範囲魔法で他のチームを援護しつつ、西の貴族街を制圧しろ!」
「麗華とミミ!」
「「任せろアル!(だぴょん!)」」
二人のスピードスターがニヤリと笑う。
「お前たちは最短ルート。南の裏路地を駆け抜けろ。敵の指揮官クラスがいたら即座に叩け!」
「俺はお前たちの全てをサポートしながら、中央塔で待つ!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
「行くぞ! 俺たちの世界を守る!」
俺たちは玉座の間を飛び出した。
◇
【後方待機チーム:静香・理奈・瑠奈】
玉座の間を守る静香たち三人の前に、ついに黒い天使たちが現れた。
窓ガラスを突き破り、五体の眷属が侵入してくる。
「きゃっ!」
「来た!」
理奈と瑠奈が身構える。
「二人とも落ち着いて」
静香さんの声は、震えていなかった。
彼女は翔太の妻。
この世界に来る前に誓ったのだ。
この人たちを守ると。
「理奈、瑠奈。打ち合わせ通りに」
「「うん!(はい!)」」
静香さんは戦闘ジョブではない。
だが俺との『誓約』によって彼女の中には、俺のEX級の魔力が流れ込んでいる。
彼女の本質…『母性』と『献身』 が魔法として開花していた。
「【マザー・サンクチュアリ】!」
静香さんが両手を広げると、暖かい光の障壁が玉座の間の入口を塞いだ。
黒い天使たちの闇の槍が、障壁に当たりキン!と音を立てて弾かれる。
「すごい…! お母さん!」
「((((((これが、お兄ちゃんとの、愛の、力…!))))) 」
理奈と瑠奈が、目を輝かせる。
「理奈! 瑠奈! お願い!」
「任せて!」
「うん!」
二人はもはや、現代の中学生ではない。
勇者の妹であり妻だ。
二人の魔力が、異世界の濃密な魔力と共鳴する!
「「【ツイン・ストライク】!」」
理奈の炎と、瑠奈の氷が、螺旋を描き一体の天使を直撃する!
「キイイイッ!」
天使が蒸発する。
「よし! 次!」
理奈が駆け出し、天使の注意を引く!
「こっちだぴょん! あ、違う、こっちよ!」
「理奈! 危ない!」
瑠奈が的確に援護射撃の氷の矢を放つ。
天使の足が凍りつき動きが止まる。
「ナイス、瑠奈!」
そこへ理奈の回し蹴りが炸裂する!
「おらぁ!」
「キイッ!」
天使が吹っ飛ぶ。
だが残りの三体が、静香さんの障壁に襲いかかった!
「くっ…!」
障壁にヒビが入る!
「お母さん!」
「大丈夫です…!」
静香さんは、歯を食いしばる。
((((((翔太さん…! あなたの帰る場所は、わたくしたちが守ります!)))))
彼女の中の俺の魔力が呼応する。
「【ラブ・バースト】!」
障壁が眩いピンク色の光を放ち、天使たちを吹き飛ばした!
「「すごい…!」」
理奈と瑠奈が息を呑む。
静香さんは頬を赤らめ「…今のは、忘れてね…♡」と呟いた。
俺の家族チームは、確実に王城を守り抜いていた。
◇
【正妻チーム:陽奈美・セラフィーナ】
東の空は、黒い天使たちで埋め尽くされていた。
「うわー…! すごい、数…!」
「怯んではいけません、陽奈美さん!」
セラフィーナが。聖女としての戦闘衣装に身を包み。空中に浮かぶ。
「わたくしたち二人で、あのアバターへの、道を、切り開くのです!」
「分かってるよ! セラさんこそ、足、引っ張らないでよね!」
陽奈美も、付与術師としてのローブを翻す。
「行きますわよ! 【ホーリー・ジャッジメント】!」
セラフィーナが手を掲げると、天から無数の光の槍が降り注ぐ。
だが女神の言葉どおり、聖属性は反転している。
光の槍は漆黒の闇の槍と化し、天使たちを貫いていく!
「キイイイイッ!」
「すごい…! あれが、異世界の、聖女の、力…!」
陽奈美が息を呑む。
「陽奈美さん! ぼーっとしないで! 援護を!」
「はいはい! 【マルチ・エンチャント! ホーリー・ウェポン!】」
陽奈美がセラフィーナの攻撃に、更なるバフを上乗せする。
「!」
セラフィーナの闇の槍が、倍の太さになり威力が跳ね上がった!
「まあ! これが、現代の、付与術…! なんて、効率的な!」
「でしょ?♡ 合わせるよ、セラさん!」 「ええ!」
天使の大群が二人を包囲しようと迫る!
「((翔太(勇者様)は、わたくし(あたし)が、守る!))」
二人の正妻の心が一つになる。
「セラさん、あれ、やるよ!」
「あれ、ですの!?」
「「【デュアル・アーツ:ブライド・ノヴァ】!」」
陽奈美がセラフィーナにありったけの魔力を注ぎ込む。
セラフィーナはその増幅された魔力を、全て反転させ漆黒の太陽として解き放った!
「キイイイイイイイイイイイッ!!」
東の空を覆っていた天使たちが、一瞬で蒸発していく。
「…はぁ…はぁ…」
「…や、やった…」
「…ふぅ。なかなか、やりますわね、陽奈美さん」
「…そっちこそ。とんでもない、魔力だね、セラさん」
二人のライバルは互いの実力を認め合い笑い合った。
「さあ、翔太(勇者様)の、元へ、急ぎますわよ!」
「うん!」
◇
【聖騎士チーム:エレオノール・ブリジット】
「突貫するであります! エレオノール殿!」 「だから、無策な、突撃は、美しくありませんわ!」 王城の大通りは黒い天使たちで溢れ返っていた。 「問答無用!」 ブリジットが大きな盾を構え文字通り天使の群れに突っ込んでいく! 「【シールド・ストライク】!」 「キイッ!」 数体の天使がボーリングのピンのように弾き飛んだ。 「ああ、もう!」 エレオノールも続くしかない。 「【グラン・クロス】!」 彼女の聖なる剣が反転した闇の十字を描き天使たちを切り裂く。
「((((((この人、強い…!))))) 」 二人の聖騎士は互いの戦いぶりに舌を巻いていた。 ブリジットの一撃は重くまさに鋼の城壁そのもの。 エレオノールの剣技は美しく流れるように敵を捌いていく。 「ブリジットさん! 右!」 「エレオノール殿! 左!」 黒い槍が左右から二人を襲う。 「「【デュアル・ガード】!」」 二人の聖なる盾が完璧なタイミングで交差し鉄壁のドームを作る! ガギィィィィン! 凄まじい衝撃が二人を襲うが 「「ぬううううっ!」」 二人は一歩も引かない。 「…やりますな、エレオノール殿! その、細腕で!」 「そちらこそ! 力だけかと、思えば、見事な、足さばきですわ!」 二人の間に戦友としての絆が芽生える。 「「行きます(であります)!」」 「「【ツイン・ホーリー・ブレード】!」」 二振りの聖剣が反転した闇の光を纏い 竜巻のように回転しながら天使の群れを殲滅していく。 最強の二枚盾は誰にも止められない突撃槍と化していた。
◇
【賢者チーム:ルナリア・凛花】
「…見えますわ」
「…見えておるわ」
王都の遥か上空。
二人の賢者は冷静に戦場を見下ろしていた。
「凛花よ。あそこ。西の貴族街に、ひときわ大きな魔力反応がある」
「ええ。あれが、この区域の眷属を指揮している指揮官個体でしょう」
「フン。面倒じゃ。まとめて消し飛ばす」
ルナリアが手のひらに、超巨大な氷の槍を生み出す。
「待って」
凛花さんがそれを制する。
「…なんじゃ」
「下を見て。民間人の避難が遅れていますわ」
「…チッ!」
ルナリアが舌打ちする。
「あんな大技を使えば、街ごと吹っ飛びます。…わたくしに考えが」
「…言ってみよ」
「まず、わたくしが魔力の指向性を変更するフィールドを展開します。あなたはその中心に、最大火力の魔法を」
「…ほう? 妾の魔力を制御できると申すか? 人間ごときが」
「できますわ。…『科学』ならね」
凛花さんが伊達メガネを光らせる。
「…よかろう! 乗ってやろう!」
ルナリアもニヤリと笑った。
「【パラボラ・フィールド:ターゲット・ロック】!」
凛花さんが無数の魔法陣を展開し、指揮官個体の頭上に一点集束させる。
「ルナリアさん! 今!」
「任せよ! これがハイエルフの真髄じゃ!」
「【メテオ・ストライク】!」
ルナリアが放ったのは、本来広範囲殲滅魔法である隕石召喚!
だがその凄まじい破壊の力は、凛花さんの魔法陣に吸い込まれ、一本のレーザーのように収束され指揮官個体の頭上に、寸分の狂いもなく直撃した!
「キイイイイイイイイイイイッ!?」
西の空の天使たちが、指揮官を失い混乱し始める。
「…ふぅ」
「…フン。まあまあ、じゃな」
「…あなたこそ。とんでもない魔力ですわね」
最強の二つの頭脳が空を制圧した。
◇
【特攻チーム:麗華・ミミ】
「麗華! 遅いウサ!」
「ミミこそ! 獲物を横から取るなアル!」
王都の裏路地を、二つの影が弾丸のように駆け抜けていた。
この二人に連携など必要ない。
あるのは「競争」だけだ。
「あ! あそこのデカいの、ミミがやるぴょん!」
「ワタシの、獲物ネ!」
路地を塞ぐ大型の天使に、二人が同時に襲いかかる!
「【アサシネイト・ダガー】!」
「【百裂脚】!」
ミミが影から現れ、天使の首を掻き切ろうとする!
同時に麗華の無数の蹴りが、天使の胴体を滅多打ちにする!
「「キイイイッ!」」
天使は何が起きたかも分からず、崩れ落ちた。
「ふん! 今のはワタシの勝ちアル!」
「むー! ミミのナイフが先だったウサ!」
「「「キイイッ!」」」
口論している間にも新たな敵が二人を囲む!
「「あーもう! うるさい(アル)(ウサ)!」」
「「【龍ノ咆哮】!」」
「「【ラピッド・スラッシュ】!」」
麗華の闘気を込めた掌底と、ミミの目にも止まらぬ斬撃が炸裂する。
最強の特攻コンビは、まるで遊ぶかのように敵陣を突破していく。
「…すごい」
俺は王城の中央塔の頂上から、その全てを見ていた。
家族は城を守り。
八人の嫁たちは俺の作戦を完璧に遂行している。
全員が中央塔へと集結しつつあった。
「…待たせたな、ラスボス」
俺は空に浮かぶ漆黒のアバターを睨みつけた。
「ここからが、本当の、最終決戦だ!」
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
2025/12/7
一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる