神様の住まう街

あさの紅茶

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神様の使いとお月見

05

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いろいろツッコミたかったけれど、毛むくじゃらうさぎ、モフ太(名前がないというので勝手に私が命名した)は、お腹が空いたと煩い。透さんがお月見団子を差し出せば、「やったー!」と無邪気にむしゃむしゃ食べ始めた。もちろん、床の間に散らばったお月見団子を拾って食べてもらってるだけなんだけど。

「それで、用件はなんですか?」

「我が主《あるじ》より、咲耶姫様の結婚式に代わりに出てほしいと言われて遥々やって来たのだ」

「そうですか。でも結婚式はまだ先ですよ」

「なんだと?」

モフ太はこちらを見るので、私は大きく頷く。

「なんと! 早まってしまったか!」

あああ、と嘆くモフ太は前足で頭を抱える。うさぎだからか、その仕草は可愛らしい。灰色の毛から白い毛が覗いて、私は首を傾げた。

「モフ太、もしかして毛の色って白色?」

「そうだ、ボクは真っ白な白うさぎなのだ。はっ、なぜこんな汚れてしまっているんだ。落とさねば!」

モフ太は体を擦りつけるように畳の上をゴロゴロする。みるみる汚れていく畳に透さんと共に青ざめる。

「ストップ! ストーップ!」

「こら、モフ太!」

捕まえようとするも、うさぎなだけあってぴょんぴょんと跳びはねる。モフ太が跳びはねるたびに汚れていく畳。すったもんだしていたためか、よく見れば私たちもモフ太の煤があちこちに付いてしまっている。

はあー、と透さんの大きなため息が聞こえた。

「モフ太、月見団子のお代わりはどうだ?」

「食べる!」

「ここで大人しく食べているならお茶のお代わりもやろう」

「やったー!」

無邪気なモフ太はお月見団子につられ、ようやく大人しくなった。ほっと一安心すると共に、いつの間にかモフ太に対する透さんの砕けた話し方に、ドキリとする。彼はいつも、丁寧語で話すからだ。それはとても良い事だとは思うけれど、実は少しよそよそしさも感じていて……。

透さんのそんな一面が見られて嬉しい。

透さんと目が合うと、透さんは困ったように眉尻を下げた。

「掃除、してもいいですか?」

「もちろんです。私も手伝います」

ふふっと笑い合う、私たち。
モフ太はお月見団子に夢中だ。
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